ドラマ「silent」での優しく切ない演技も話題!鈴鹿央士の魅力は1つ1つのシーンを味わい深いものにする演技力

ちょっと不器用だけど、優しくて真面目でしかもイケメン。見ていてつい応援したくなってしまう「純な人」役がハマる若手俳優といえば鈴鹿央士だ。
10月6日から放送が始まったフジテレビのドラマ「silent」でも、川口春奈が演じる青羽紬の恋人・戸川湊斗役を好演している。紬が湊斗を評したセリフに「主成分、優しさ」とあるほど真面目で優しい役柄で、ネットなどではその繊細な演技も話題となっている。
ご存知のように、鈴鹿の演技力の高さは折り紙付きだ。映画初出演となった2019年公開の『蜂蜜と遠雷』では、第43回日本アカデミー賞の新人俳優賞、第44回報知映画賞の新人賞など、5つの映画賞で新人賞を受賞するほど。現在、映画やドラマで活躍しているのもうなずける。
そんな鈴鹿の魅力が詰まっているのが、2021年10月に公開された映画「かそけきサンカヨウ」だ。原作は窪美澄の短編集「水やりはいつも深夜だけど」に収録されたうちの1編で、主人公の女子高校生・国木田陽を志田彩良が演じ、鈴鹿は同じ高校に通う男子高校生・清原陸を演じる。
幼い頃に母が家を出たため、陽は父・国木田直と2人で暮らしていた。しかしある日、直から「恋人ができた、結婚したい」と告げられる。父の再婚相手の美子と、連れ子の4歳の娘・ひなたが家を訪れ、4人での暮らしが始まる。
突然できた母と妹。陽は2人のために弁当を作ったり、ひなたのためにおにぎりを作ったりするが、新しい生活に馴染めずにいる。

(C)2020 映画「かそけきサンカヨウ」製作委員会
そんな陽が想いを寄せるのが、幼なじみで同じ美術部に所属する陸だ。陸は、仕事で海外を飛び回る父がほとんど家にいないため、家庭に寂しさを感じていた。また、生まれつき心臓に異常があり、手術をする必要があるという。
家族、身体のこと、相手への気持ち。さまざま状況と思いが交錯し、2人を包み込む。そんな中にあって、鈴鹿の演技によって純で優しい陸の存在が、より印象的なものとなって画面に映し出される。
最初に仲間と喫茶店で語らっている時、食事の支度をしに帰る陽を送る陸の笑顔はこの上なく優しく、その一場面だけで陸がどんな少年なのか感じ取れるほど。父が飛び回る世界地図を眺める時は無防備で愛らしく、陽の家でひなたと遊ぶ時は、ひなたを喜ばせようとする微笑ましい姿を見せてくれる。
陽をデートに誘う時の照れと決意が入り混じった言動は、くさい言い方だが「青春」を感じさせ、とても共感できるシーンとなっている。
また、物語が進むにつれて、陸が自分の本音を吐露したり、周囲の人々の思いが露わになったりという場面も増えてくる。陽に呼び出された時の戸惑い。自分の家族への気持ち、また母の家族へ思い。そこに大きな目でじっと話を聞く、素直で、思いやりのある"鈴鹿演じる陸"がいることで、それぞれのシーンがより優しくて、味わいのあるものとなっているのだ。
「淡く 強く 大人になる」をキャッチコピーとした本作は、全体を通じてゆっくりと、静かな雰囲気で進んでいく。微笑ましいシーンや涙がにじむシーンなどもたくさん散りばめられている。雨に濡れると白い花びらが透明になる花「サンカヨウ」のように、周囲の人々の思いを受けながら大人になってゆく鈴鹿演じる陸の姿、そしてその演技力を、ぜひ本作で味わってほしい。
文=堀慎二郎
放送情報【スカパー!】
かそけきサンカヨウ
放送日時:2022年11月24日(木)4:15~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
こちら