吉永小百合&天海祐希、名女優2人のバディ!ハリウッド版との相違点も楽しい「最高の人生の見つけ方」

ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの2大名優が共演して大ヒットを記録した映画を、舞台を現代の日本にアップデートして描いた「最高の人生の見つけ方(2019年)」。吉永小百合と天海祐希という、日本エンタメ界の第一線で活躍し続けている2人が、特別な友情を育んでいく関係性を表現し、抜群のコンビネーションを発揮している。
本作の主人公となるのは、"大真面目な主婦"の幸枝(吉永)と、"大金持ちの女社長"のマ子(天海)。余命宣告を受けたという共通点のある2人が出会い、偶然手にした12歳の女の子の「死ぬまでにやりたいこと」リストを実行しようと決断し、無謀な旅に出る姿を描く。

(C)2019「最高の人生の見つけ方」製作委員会
吉永が演じる幸枝は、子育てと家事に追われ、子どもが独立してからも夫の世話に明け暮れ、常に家族のために生きてきた女性だ。どの瞬間からも、懸命に家族に尽くしてきた一途さや温かさがにじみ出るようで、吉永でなければ作り出せなかったキャラクターとなっている。一方の天海演じるマ子は、上昇志向が強く、一代でホテルチェーンを築き上げてきた仕事人間。背筋をピンと伸ばしてバリバリと部下に指示するマ子役は、カッコいい女性の代表格である天海にピッタリ。理想のキャスティングが実現した映画と言えそうだ。
まったく違う世界に暮らしてきた幸枝とマ子が、「死ぬまでにやりたいこと」リストを実行すべく、「スカイダイビングをする」「ももクロのライブに行く」「好きな人に告白する」など、今までの自分なら絶対にやらないようなことに飛び込んでいく。その過程で2人の関係性や表情が変化していく様が、本作の大きな見どころだ。

(C)2019「最高の人生の見つけ方」製作委員会
一緒に泣いて、笑って、踊って、歌って...。幸枝とマ子は人生を満喫しながら、胸に秘めていた自分の本心や弱さもさらけ出していく。マ子との冒険を経て驚くほど大胆に羽ばたいていく幸枝を、吉永が実にチャーミングに演じている。またマ子は幸枝と過ごすうちに、"毎日を丁寧に生きる大切さ"に気づいていくなど、天海がその繊細な変化を見事に体現。吉永と天海の起こす化学反応によって、観客も人生の輝きを味わえるような感動作として仕上がっている。

(C) Warner Bros. Entertainment Inc.

(C) Warner Bros. Entertainment Inc.
ハリウッド版の「最高の人生の見つけ方(2007年)」のリメイクを考えた本作のプロデューサーは、ワーナー・ブラザース本社から「日本のトップ俳優でしかリメイクさせない」という条件を出されたものの、胸を張って"この人がニコルソンやフリーマンのような日本の名優"と言える俳優を提示できずにいたのだそう。
そこで「女性2人の物語にしたら、日本には吉永という絶対的なアイコンがいる」と思いついたことで、プロデューサー自身の憧れでもあった吉永に思い切って打診したという。そして天海のキャスティングは、なんと吉永から出たアイデアなのだとか。2001年公開の「千年の恋 ひかる源氏物語」で共演をし、撮影当時「いつか『テルマ&ルイーズ』のような映画を一緒にやりましょう」と意気投合していたという彼女たちの夢が叶ったのが本作なのだ。撮影現場では名女優2人が笑い合い励まし合う姿があったようで、その空気感がしっかりと劇中にも映し出されている。

(C) Warner Bros. Entertainment Inc.
また、ハリウッド版はワガママな富豪の男と実直な自動車整備士が旅に出る物語で、「射撃をする」「憧れのマスタングに乗る」など少年の夢を詰め込んだリストがお目見えしたが、舞台は日本、主人公を女性2人にしたことで、冒険に相違点が見られることもまた面白い。マ子の秘書に扮したムロツヨシ、幸枝の娘役の満島ひかりら、脇を固めるキャストも実力派揃いで観る者を大いに楽しませてくれる。
文=成田おり枝
放送情報【スカパー!】
最高の人生の見つけ方(2007年)
放送日時:2022年11月9日(水)19:00~ ほか
最高の人生の見つけ方(2019年)
放送日時:2022年11月19日(土)20:56~ ほか
チャンネル:ムービープラス
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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