襲名披露公演も話題!市川海老蔵改め、十三代目市川團十郎が鬼気迫る表情を見せたドラマ「桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜」

11月〜12月にかけて歌舞伎座で襲名披露公演を行っている市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿。11月の「十一月吉例顔見世大歌舞伎」、12月の「十二月大歌舞伎」は同時に息子・堀越勸玄の八代目市川新之助襲名披露も兼ねており、親子揃っての晴れ舞台のために特別CMも制作されるなど大きな話題となっている。

そんな襲名記念企画として作られた特別ドラマが、時代劇専門チャンネルで12月30日(金)に放送される「桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜」だ。もともと2020年5月から予定されていた襲名披露公演が新型コロナウイルス感染症拡大によって延期されたことを受け、この作品の放送も延期されていたが、海老蔵(当時)との協議の結果、公演に先立ち2021年3月に地上波にてオンエアされた。
本作の題材は、今川義元の2万5千の軍勢をわずかな兵力の織田信長軍が打ち破った、時代の変革の象徴ともいえる「桶狭間の戦い」。型破りな発想と戦術を駆使し、一躍戦国時代の主役へと躍り出ていく信長の視点から奇跡の戦いの様子が描かれていく。


織田信長といえば、市川團十郎家の屋号「成田屋」が歌舞伎で演じてきた大切な役柄。海老蔵にとっても演じるのは2017年の大河ドラマ「おんな城主 直虎」以来となったが、天下統一の礎を築いた戦国の英雄像を本作でも彼ならではの演技で表現している。
ドラマ冒頭の「敦盛」を舞う姿にはじまり、不適な笑みを浮かべた堂々とした佇まい、兵士を鼓舞する際の腹の底から絞り出すような猛々しい声色、戦での鬼気迫る表情...と、歌舞伎役者ならではの演技で存在感を発揮。また、新しい世の中を作り出そうとする信長のカリスマ的な姿は、歌舞伎界で新たな挑戦を重ねてきた海老蔵と重なるところもあり、襲名という門出を祝うに相応しい作品となっている。


本作では海老蔵に加え、信長の幼少期である吉法師を勸玄が、そして信長の正室となる濃姫の幼少期を長女の市川ぼたんが演じており、親子3人で初めて共演した映像作品という意味でもメモリアルな1作だ。

脇を固めるキャストも豪華で、濃姫には広瀬すずがキャスティングされており、時代劇初出演ながら信長の背中を押す女性を、快活な彼女のイメージとは一線を画す奥ゆかしい魅力を携えながら好演。その父で"美濃のまむし"こと斎藤道三を佐藤浩市が貫禄たっぷりに演じ、物語に深みをもたらしている。


一方、宿敵・義元には三上博史が扮し、白塗りのお歯黒姿でおなじみの、どこか不気味に描かれてきた人物を、三上ならではの美麗な魅力を生かしながら個性豊かに怪演。そのほか中尾明慶、竹中直人、北村一輝、松田龍平、黒木瞳といった一流の俳優たちが名を連ねており、時代劇ならではの仰々しさとリアリティが絶妙なラインで融合した仕上がりになっている。

今後の歌舞伎界を引っ張っていく市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿。歴史の分岐点を描いた「桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜」は、彼にとっても分岐点となった1作であり、今後への覚悟を感じることができるはずだ。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜
放送日時:2022年12月30日(金)15:35~ ほか
チャンネル:時代劇専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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