波瑠&間宮祥太朗のコミカルな掛け合いが楽しい「魔法のリノベ」

2022年、連続ドラマに3本も出演し、すっかりおなじみの顔となった間宮祥太朗が実年齢より少し上のシングルファザーを演じた「魔法のリノベ」。主演を務めた波瑠とのコミカルな掛け合いが好評だった本作が、早くも1月14日(土)から日本映画専門チャンネルで一挙放送される。

個人宅などのリフォームとリノベーションを請け負う小さな会社「まるふく工務店」。福山社長(遠藤憲一)の長男である玄之介(間宮)は、成約件数ゼロのダメダメな坊っちゃん。その弟である竜之介(吉野北人)ら福山家の面々と古株社員がのんびり働いている職場に、大手リフォーム会社に勤めていた敏腕営業の小梅(波瑠)が中途入社してくる。玄之介たちの営業のやり方にダメ出しをし、顧客のニーズを詳細に読むことの大切さを教える小梅。そんなしっかり者の女性とイケメンだが頼りない男性というコンビが、古い木造住宅のリノベやペットの犬と猫が同居できる家づくりなど、さまざまな依頼に応えていく。
私生活では玄之介は33歳にしてバツ2の子持ち。しかも、元妻は竜之介ではないもう1人の弟と駆け落ちしてしまったという、小梅いわく「レベチのひどい話」を背負っている。実は小梅も元の会社で、同僚の久保寺(金子大地)に二股をかけられ、「人間関係でしくじって」転職してきたのだった。「僕ら、営業の星になるしかない!」と仕事に邁進しようとする2人だが、やがてその間に同僚以上の感情が生まれていく。小梅と玄之介が仕事の後、おでん屋の屋台でお酒を飲みながら本音トークをする場面も、回を追うにつれラブラブ度が増してきて楽しい。

波瑠はクランクアップのとき「私自身、小梅を演じながらものすごく元気をもらっていました。演じていて、自分なのか小梅なのか分からないことも。アドリブを言ったり、思いっきりふざけたり...こんなに自由にやったことはないなと思いました」(番組公式サイト)と、撮影を振り返っている。NHKの朝ドラも数々のラブコメも経験している彼女だが、これまでにないほど、素に近いリアクションを見せている。間宮も小梅に怒られて「なんということでしょう......」としょんぼりしたり、「やっと僕のターンが回ってきました」と激シブの重低音で決めてみたりと緩急自在に豊かな表情を見せている。
原作は星崎真紀による同名漫画。今ある住まいを大切にし改築するリノベーションという新しいジャンルを描いた作品で、好評を得て連載が現在も続いている。劇団ヨーロッパ企画の上田誠による脚本はテンポが良く、「おっさんずラブ」(2018年テレビ朝日系)シリーズの瑠東東一郎監督による、カット割りが多くギミック満載の演出も軽快。リノベーションがテーマだけにミニチュアがたくさん出てきて、小梅や玄之介の心の声が建物にプロジェクション・マッピングのように映し出される。リノベーションの依頼者たちがリノベという魔法によってその後どんな生活を送っているかを見せるエンディングにもほっこり。「まるふく工務店」の社員たちがRPGファンタジーゲームのキャラのような扮装をするイメージ映像も凝っている。

脇役のキャストも芸達者揃い。中でもインパクトが大きいのは、小梅の元上司・有川部長を演じた原田泰造。部下に対する圧が強すぎて狂気すら感じさせる怪演は必見だ。有川らが勤務する大企業と「まるふく工務店」のような家族経営の会社が、ややステレオタイプながらも比較され、生活に直結する住宅関連の仕事はどうあるべきかが描かれる。ほんわかした雰囲気の中でも、人間の幸福について考えさせられる一作だ。
文=小田慶子
放送情報【スカパー!】
魔法のリノベ(全10話)
放送日時:2023年1月14日(土)14:40~
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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