桐山漣が念願の抜擢「仮面ライダーW」で見せた、菅田将暉との真の友情

大きな瞳と均整の取れたスタイル、そして甘く響く美声の持ち主として知られる桐山漣(※「漣」は正しくはしんにょうの点一つ)。「コードネームミラージュ」や「ラブファントム」「復讐の未亡人」などのドラマで、細身のスーツとメガネという圧倒的ビジュアルを披露するなど、キャリアを重ねるなかで大人の魅力を倍増させている。そんな桐山の出世作にして代表作として知られているのが、大人気特撮シリーズの「仮面ライダーW」だ。

(C)石森プロ・東映
舞台となるのは、心地良い風が吹き、行き交う人々を穏やかな気持ちにさせる街・風都。そこでは、USBメモリ型の特殊なアイテム「ガイアメモリ」を用いて、超人的な力を手に入れた怪人「ドーパント」が絡む奇怪な事件が多発していた。風都で「鳴海探偵事務所」を営む、ハードボイルドになりきれない「ハーフボイルド(=半熟)」な私立探偵・左翔太郎(桐山)と、その相棒でもある謎めいた美少年・フィリップ(菅田将暉)の元には、ドーパント絡みのやっかいな依頼が次々と持ち込まれる。翔太郎と相棒・フィリップは、2人で1人の仮面ライダー「W」へと変身し、事件を解決へと導く中で、風都に隠された数々の秘密を解き明かしていく。

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桐山が演じるのは、師匠である鳴海荘吉のようなハードボイルドを目指すも、その優しさと甘さゆえに、周囲からは親しみを込めて「ハーフボイルド」と呼ばれている若き探偵・翔太郎。常にハットとネクタイ&ベストというスタイリッシュなファッションに身を包み、クールな探偵を気取るも、その胸にいつも熱い魂を燃やしている熱血漢だ。
鳴海探偵事務所の大家として、大阪から風都にやって来た鳴海荘吉の娘・亜樹子に声をかけるという翔太郎の初登場シーンで、桐山は前髪を気にしながらトレードマークのハットを被り、「うちに...用かい?」と低音を響かせながらポーズを決める。また、事務所内に亜樹子を迎え入れ、ハードボイルドの概念について渋く語ってみたものの、バイブルでもあるチャンドラーの小説「ロング・グッドバイ」の上に亜樹子が無造作にコートを置いた際に出すちょっと情けない声や、彼女から立ち退きを要求されて盛大にコーヒーを吹くなど、コメディタッチのシーンでみせる軽妙な演技も絶妙だ。
大阪人の亜樹子というツッコミ役を得てからの翔太郎は、「こいつがいると俺のハードボイルドが乱れる!」と嘆くように、お笑い要素が増大するものの、相棒・フィリップのサポートをするなど、仕事に真剣に取り組む姿勢は崩さない。そんな翔太郎を桐山は、豊かな表情と彼の武器の1つでもある美声を駆使して表現した。

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また、本作で連続テレビドラマ初出演にして初主演を飾ったフィリップ役の菅田との絶妙なコンビネーションも見どころの1つ。クライマックスシーンで桐山が見せる本気の涙が観る者の心を強く打つのは、彼と菅田が作品の中で、それぞれ翔太郎とフィリップとして生き、真の友情を育んできたことがしっかりと伝わっていたからに他ならないだろう。
幼い頃から特撮ヒーローに憧れ、将来のなりたいことに「仮面ライダー」と答えてきたという桐山。翔太郎とフィリップ、2人で1人の仮面ライダーという、全く新しいヒーロー役でその夢を叶えた彼の、仮面ライダー愛がみなぎる熱演をその目で確認してほしい。
文=中村実香
放送情報【スカパー!】
仮面ライダーW(ダブル) ベストエピソード
放送日時:2022年12月24日(土)19:00~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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