爽やかさは完全封印!?田中圭が猫背に不気味なオーラの刑事に扮して未解決事件を紐解くドラマ「死神さん」

親しみやすい笑顔と自然体の演技で人気の俳優・田中圭。癒やし系のシングルファーザーや天才科学者、史上初の女性総理の夫や動物が苦手な公務員など、多彩な役柄も我がものとするだけでなく、「こんな人、実際にいそう」と視聴者に思わせるほどのリアリティを作品に与えることが出来る存在だ。そんな田中が、独特のリズムで話す怪しげな刑事という、今までにないキャラクターを熱演したのが、人気小説が原作のドラマ「死神さん」だ。

(C) HJホールディングス
田中が演じるのは、再捜査専門の警部補・儀藤堅忍(ぎどうけんにん)。黒いハットとゆるいウェーブのかかったボブヘアー、鼻には大きなほくろがあり、激しい猫背、というクセの強いビジュアルの持ち主でもある儀藤は、初動捜査ミス、隠蔽工作、見込み捜査など警察の怠慢な動きを忖度なしに明らかにしながら、証言、証拠の徹底的な洗い直しで事件の全貌を180度転換し、真犯人を見つけ出す。その仕事ぶりから警視庁内では最も疎まれ、嫌われている存在だ。「儀藤が捜査した後に幸せになった人間はいない」と言われるため「死神さん」と呼ばれて恐れられている儀藤が、事件ごとに相棒を変えながら、迷宮入り寸前の事件を解決していく姿を描く。

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自分のことを「儀藤」と呼び、誰に対してもボソボソとした丁寧語で話す儀藤は、終始うつむき加減。不気味な雰囲気を漂わせながら、上目遣いの鋭い視線で、対峙する人々を圧倒していく。そんな儀藤を、田中はいつもの爽やかさや癒やし系オーラを完全に封印して挑んでいる。しかしながら、どこかコミカルな雰囲気が漂うのは、田中の声に残る温かさと、独特の心地よいリズムで紡がれるセリフ回しの効果が大きいと言えるだろう。
第1話「死神の目」では、毒ガス・爆弾騒ぎを起こしていたエンジェル伊藤と名乗る愉快犯をまさに追いかけている最中の刑事・大邊(小手伸也)に突然体当たりし、手錠をかけて拘束するという形で初登場。薄暗い屋内駐車場というシチュエーションも相まって、儀藤を演じているのが田中だとは気づかない視聴者も少なくないはず。1年前に起きた資産家殺人事件の再捜査の相棒として儀藤に選ばれた大邊は、常軌を逸した儀藤のやり方に反発。そんな非協力的な相棒にも、淡々と対応していた儀藤だが、「再捜査なんて馬鹿馬鹿しい。今起きている事件に目を向けるべきだ」と大邊に怒鳴られた際は、態度を一変させる。

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儀藤は亡き妻・フローラが、幼い頃に目の前で父親を殺されたという話を持ち出しながら、「儀藤は亡き妻に誓いました。どれだけ確率が低かろうが無罪判決の後ろには、未だ野放しになっている真犯人がいるんです」と、それまでの無気力さからは想像できないほどの熱さで、自らの信念を語る。そして、大邊の目の前に人差し指を立て、「『逃げ得』は許しません」と宣言する。その際に田中が見せる、強い視線の奥に揺らめく情熱の炎は必見だ。
前田敦子が演じる、儀藤の連絡係を務める警視庁広報課所属の巡査部長・南川メイの存在感や、青を基調とした暗くスタイリッシュな映像など、さまざまな見どころが盛りだくさんの刑事サスペンス。俳優・田中圭の新たな魅力と高い演技力を、このドラマで再確認してほしい。
文=中村実香
放送情報【スカパー!】
死神さん
放送日時:2022年1月9日(月)13:00~
チャンネル:日テレプラス
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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