小泉今日子が「最後から二番目の恋」で見せた、40代女性ならではの「面倒臭くて愛おしい」ヒロイン像

"花の82年組" としてデビューし、2022年に40周年を迎えた小泉今日子。アーティストとして多彩に活躍する一方で、女優としてのキャリアも並行して積み重ねてきた。映画初主演となった「生徒諸君!」(1984年)や、大ヒットしたトレンディドラマ「愛しあってるかい!」(1989年)をはじめ、「パパとなっちゃん」(1991年)、映画「トウキョウソナタ」(2008年)、映画「毎日かあさん」(2011年)、そして2013年度前期連続テレビ小説「あまちゃん」――代表作を挙げればきりがないが、年齢を重ねながらその年代に合った人物像を自然体で演じてきた。
2012年のドラマ「最後から二番目の恋」で演じた45歳の独身ヒロインも同じく、その魅力的なキャラクターが幅広い人気を集めた。

1月23日(月)よりフジテレビTWOで放送される本作は、古都・鎌倉を舞台にした大人の青春ドラマ。小泉演じるヒロイン・吉野千明は、テレビ局でドラマのプロデューサーとして必死に働きながら恋愛も人並み以上にしてきた。最近は恋もご無沙汰で、女友達とは健康や老後といった将来への不安ばかり語り合っている。

そんな時、仕事中に倒れたことをきっかけに、「同い年の独身仲間たちと鎌倉の古民家で一緒に暮らす」という冗談半分で話していたアイデアを実行に移すことに。本気にしていなかった女友達にはあっさり断られてしまい、結局は1人で鎌倉移住を決める。職場ではサバサバとした姉御肌ながら、若者たちとの距離も感じている千明。
気心の知れた女友達には毒舌を交えつつ甘ったれた姿も見せ、そのくせ意地っぱりで寂しがりや。色々な面を持ち合わせ、実に人間らしく面倒臭くて愛おしい。そんな自然体の演技が、小泉の飾らないナチュラルな人柄とも相まって親近感を抱かせる。

移住先の鎌倉で出会う彼女を取り巻く人々もまた、魅力的なキャラクターばかりだ。お隣さんの長倉家の長男・和平は、名優・中井貴一が演じる。
両親が早くに亡くなったため弟妹の親代わりをしてきた和平は、妻と死別した子持ちの50歳独身。市役所勤めの真面目なしっかり者だが理屈っぽい。弟妹に振り回されながら口うるさくツッコミを入れる姿がコミカルで、何かと千明と衝突しては、丁々発止の口喧嘩を展開する。2人のじゃれ合うような掛け合いが楽しく、小泉と中井の息の合った演技は見ものだ。

そして、口うるさい長女・典子を演じるのは飯島直子。千明と同世代の主婦だが、結婚後も実家に入り浸り食卓を賑やかしては周囲を振り回していく。双子の弟妹・真平と万理子は、坂口憲二と内田有紀が演じる。一見、自由奔放で浮世離れした雰囲気を醸し出す真平と、繊細で人見知りなうえ引きこもりがちな少し変わり者の万理子が千明に抱く感情も物語を一層面白くする。


個性豊かな長倉家との新しい出会いが、それぞれの人生をどう変えていくのか。若い頃に思い描いた"穏やかで心に余裕のある素敵な大人"とは程遠い現在の自分を見つめ直すように、千明は鎌倉ライフを過ごしていく。

数多くの名作を世に生み出してきた脚本家・岡田惠和による完全オリジナル脚本を、小泉と中井をはじめとするベテラン役者たちが丁寧に演きった本作は、数々の賞を獲得するなど高い評価と大反響を得て、2014年には続編となる「続・最後から二番目の恋」も放送された。48歳となった千明と52歳となった和平――劇中でも"合計100歳"というワードが登場するが、年齢を重ねて誰よりも身近に感じる2人の関係性がとても素敵だ。

恋を軸にした大人の青春が、リアルな毎日の中でゆったりと描かれる。切なさや寂しさを心に秘めながら毎日を生きる大人に刺さる良質なヒューマンドラマだ。
文=中川菜都美
放送情報【スカパー!】
最後から二番目の恋
放送日時:2023年1月23日(月)12:10~
続・最後から二番目の恋
放送日時:2023年2月7日(火)12:10~
チャンネル:フジテレビTWO ドラマ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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