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2024/02/11

羽生善治九段が多くの記録をもつ年度対局数、年度勝数記録を紹介!

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⒞囲碁・将棋チャンネル
⒞囲碁・将棋チャンネル

将棋界のあらゆる記録を塗り替えている藤井聡太竜王・名人だが、縁のない記録もある。それが記録部門四冠のうちの年度対局数、年度勝数で、歴代トップ10のうちでは勝数の4位に入っているのみで、対局数には入っていない。過去の記録とともに、その理由について触れてみよう。

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年度対局数・勝数がもっとも多かったのは2000年度の羽生善治九段で、89局、68勝はどちらも歴代1位になっている。この年の羽生のタイトル戦は防衛戦が4つ、挑戦が2つ。棋聖戦、王位戦、王座戦、竜王戦ではフルセットになっている。これだけでも数字が伸びるのだが、加えて当時行われていた勝ち抜き戦で16連勝(勝ち抜き戦における最高記録)している。勝ち抜き戦は成績上位の棋士が対局し、敗れるまで対局を続けるシステム。この棋戦のみで16勝1敗の数字が稼げたわけだ。

歴代2位の対局数は1980年度の(故)米長邦雄永世棋聖。挑戦したのは4つで、防衛戦は2つだった。88局で1位とは一局差だが、勝数は55勝で、そちらは歴代10位にも入っていない。6回のタイトル戦のうち敗退が4つあるのが要因だろう。

対局数の歴代3位タイの谷川浩司十七世名人
対局数の歴代3位タイの谷川浩司十七世名人

⒞囲碁・将棋チャンネル

対局数の歴代3位タイの佐藤康光九段
対局数の歴代3位タイの佐藤康光九段

⒞囲碁・将棋チャンネル

対局数の歴代3位は86局の谷川浩司十七世名人と佐藤康光九段だが、このうち2006年度の佐藤の記録がすごい。棋聖戦は防衛戦を戦ったが、そこから王位戦、王座戦、竜王戦、王将戦、棋王戦と驚異の5棋戦連続で挑戦者に。トーナメントやリーグ戦で勝ちまくって数字が伸びた。ただし、勝ったシリーズは棋聖戦と棋王戦のみだったため、勝数の方は57勝と歴代8位になっている。なお、この年にはすでに勝ち抜き戦が終了していたため、続いていれば対局数の歴代記録を更新していた可能性は十分にあっただろう。

年度勝数歴代2位は64勝の羽生。若手時代の1988年度の記録だ。若手の頃は予選は下の方から出られるのと、若手棋戦もあるため必然的に白星を稼ぎやすい。歴代3位は1991年度の森内俊之九段(63勝)で、こちらも羽生と同じく若手時代に勝ちまくったものだ。

藤井の記録は歴代4位タイの61勝で、2017年度に記録したもの。先述した事情と同様で、シードがないため予選の一番下からの登場かつ、若手棋戦もあったためだ。

こうしてみると藤井が歴代の対局数、勝数の部門にはあまり縁がない理由はお分かりだろう。大きな理由は廃止になった勝ち抜き戦で、歴代上位の記録はここで稼いでいるパターンが多い。現在にこの棋戦があったら藤井はどれだけ勝つだろうか。
 
なお、藤井は年度単位では最多勝利賞を5回、最多対局賞を2回受賞している。しばらくは予選を戦うことが少なくなるのでこの部門からは遠ざかることになりそうだ。勝利数の部門より対局数の部門が少ないのは、強すぎるゆえにタイトル戦の番勝負がもつれにくいことが要因だろう。藤井に限らず、現状の将棋界の棋戦では対局数、勝数の歴代1位の更新は難しいと言える。

文=渡部壮大

放送情報

(将棋)[生] 将棋)第71期 王座戦 五番勝負 第4局 永瀬拓矢王座 vs 藤井聡太竜王・名人
放送日時:2月13日(火)10:15~
放送チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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