昭和・平成・令和と時代を超えてタカ＆ユージの「あぶない」魅力は不変！ 今こそ「あぶない刑事」シリーズを極める

5月24日(金)に劇場版最新作の公開を控える「あぶない刑事」。東映チャンネルで「あぶない刑事」「もっとあぶない刑事」のTVシリーズが5月24日(金)より一挙放送される。さらに、劇場版第6作『まだまだあぶない刑事』第7作『さらば あぶない刑事』も映画・チャンネルNECOで24日(金)＆25日(土)に放送。昭和のバブル期から平成にかけて圧倒的な人気を誇った刑事ドラマシリーズ「あぶない刑事」の作品の魅力を令和の現代に改めて振り返ってみよう。

■トレンディードラマの先駆け的なスタイリッシュさで人気を定着させたドラマシリーズ

舘ひろしと柴田恭兵が演じる名コンビ「タカ＆ユージ」でおなじみの「あぶない刑事」シリーズ。テレビシリーズ第１作の「あぶない刑事」がスタートしたのは1986年10月。半年(2クール)の放送予定だったが、スタートするとたちまち人気が高まり、幅広い層に支持され、放送期間は１年間に及んだ。

物語の舞台は神奈川県横浜市。横浜港警察署捜査課の刑事であり問題児でもある鷹山敏樹＝タカ(舘ひろし)と大下勇次＝ユージ(柴田恭兵)が、時にハードに、時にクールに事件を追い、解決する。「ダンディー鷹山」を自称するタカは、クールで正義感が強い。バイクの運転テクニックも高く、アクロバチックなチェイスシーンを多く見せてくれた。「セクシー大下」を自称するユージは、ユーモアのセンスがありつつ、頭の回転も速いキレ者。身のこなしも軽やかで俊足だ。

2人を取り巻く人物も個性の強いキャラぞろい。少年課のカオル(真山薫／浅野温子)は署内のムードメーカーで、2人の親友というか悪友的な存在。華があって、コスプレも多く披露していた。交通課から捜査課に異動したばかりのトオル(町田透／仲村トオル)は「女性好き」な性格というところを2人に付け込まれ、いいようにこき使われる後輩刑事。問題児の2人の良き理解者だったのが少年課の松村優子(木の実ナナ)。おせっかいなところもあるが、姉御肌で2人以外からの信頼も厚い。

「あぶない刑事」の魅力は、スタイリッシュなところと、スピーディーかつド派手なアクションだと言える。1970年代から引き続き、1980年代も刑事ドラマは人気が高く、さまざまな名作が誕生していた。硬派でハードボイルドな作品が多い中、ファッショナブルでユーモアもあり、カッコよくシャレたセリフがどんどん飛び出し、それが視聴者の目に新鮮に映った。浅野温子がのちに多くのトレンディードラマに出演するが、その「トレンディードラマ」の先駆け的作品と言えるだろう。「〇〇だぜ！」や「イッツ・ショータイム！」といったセリフをマネしたり、タカとユージに憧れ、影響を受けてサングラスをかける若者も続出した。

2本の映画『あぶない刑事』(1987年)『またまたあぶない刑事』(1988年)を挟んで、1988年10月から半年間、テレビシリーズ第2作「もっとあぶない刑事」が放送された。出演者は前作とほぼ同じだが、タイトルにたがわず、スタイリッシュさやアクションなど、全てにおいてもっとパワーアップされていた。この第2作も大ヒット。今なお「あぶ刑事」シリーズが人気なのは、2つのテレビシリーズがあったからだと言える。

また、連続ドラマだけでなくSPドラマも多数放送され、SPドラマ「あぶない刑事フォーエヴァーTVスペシャル'98」が、5月26日(日)にホームドラマチャンネルで放送される。手配中の強盗犯とワインバーで出くわしたタカとユージは銃撃戦を繰り広げ、見事逮捕に成功。しかしワインの損害額370万円を請求され、ユージは金を工面するために怪しいバイトに手を出すが、そこで武器密輸現場に遭遇する...。本作は映画『あぶない刑事フォーエヴァーTHE MOVIE』の同年公開に先駆けて、前編として放送され、映画が後編という「メディアミックス」スタイルで展開された。

■スタイリッシュさも迫力もスケールアップし続け、令和の時代まで脈々と続いていく劇場版

劇場版も「あぶ刑事」らしさが全開。むしろ、劇場版だからこそド派手さに磨きがかかっている。ドラマシリーズ第1作のヒットを受けて1987年に最初の劇場版『あぶない刑事』が公開された。製薬会社の研究所で研究員が殺害され、抗がん剤のデータが破壊される事件が発生するという物語。翌1988年公開の第2作『またまたあぶない刑事』は政界を巻き込んだ陰謀に立ち向かう社会派的ストーリーが展開。1989年公開の第3作『もっともあぶない刑事』は、シリーズが始まった当初からの宿敵だった「銀星会」との戦いに決着をつける内容で、「あぶ刑事」もここで一区切り。第４作は1996年に７年ぶりに復活。小林稔侍が新任課長・深町役で登場し、新たなターンに突入。1998年公開の第5作はスペシャルドラマから続くストーリーの後編となっていた。武器の密輸を行う国際指名手配犯を逃してしまったタカとユージ。辞職させられそうな状況の中、国際テロリスト集団が横浜にやって来る...。さすが、劇場版は事件のスケールも大きい。

2000年以降も「あぶ刑事」は続く。2005年公開の第6作『まだまだあぶない刑事』は、佐藤隆太、窪塚俊介らが若手刑事として登場。トオルが捜査課課長、カオルが少年課の課長、松村が港署署長に昇進しており、すっかり様変わりした港署。消息を絶っていたタカとユージは潜入捜査を終えて７年ぶりに横浜の街に帰ってきたが、７年前に2人が逮捕した銀行強盗犯が脱獄し、関係者を射殺するという事件が発生してしまう...。

そこから10年の月日が流れ、2016年に公開されたのが第7作「さらば あぶない刑事」。定年退職を5日後に控えたタカとユージだったが、銀星会の残党・伊能を追ってブラックマーケットを2人だけで急襲するなど、相変わらず暴れ放題。伊能が惨殺死体となって発見され、各国のマフィアが入り乱れる展開に。懐かしの港署のキャストがそろい踏みしたほか、吉川晃司や菜々緒などの豪華ゲストも登場し、「あぶ刑事」シリーズがついにラストを迎える...。

ラストのはずだった「あぶ刑事」はまだまだ続いていた。5月24日(金)に公開される劇場版第8作『帰ってきた あぶない刑事』で、タカとユージが「探偵」として帰ってきた。タカのバイクでの疾走をはじめ、スタイリッシュさにも磨きがかかり、サングラスも健在。カオルやトオルも登場し、シリーズ開始当初からの一貫したコンセプトは揺らぐことなく、令和の時代にも表現されている。

最新作の公開を前に、東映チャンネルで放送するドラマシリーズ１＆２をはじめ、映画・チャンネルNECOで放送の劇場版第6作、7作をぜひチェックしてもらいたい。

文＝田中隆信