2024/11/24
爆美女な石原さとみとポーカーフェイスな山下智久が織りなすラブコメディ!「5→9~私に恋したお坊さん~」
圧倒的なビジュアルの持ち主ながら、どこか親しみやすさも感じる俳優として、共に根強い人気を誇る石原さとみと山下智久。10代の頃から日本のエンタメ界を牽引してきた彼らが共演したラブコメディが、2015年に放送されたドラマ「5→9~私に恋したお坊さん~」だ。
ある日、地元町内会の長老の葬儀に出席していた英会話教室の講師・桜庭潤子(石原)。長時間の正座で足が痺れた状態で焼香台に向かった潤子は、僧侶・星川高嶺(山下)の頭から香炉の灰を浴びせかけてしまった。そんな折、潤子は母・桜庭恵子(戸田恵子)の策略で見合いをすることに。高級料亭に足を運んだ潤子が通された部屋にいたのは、なんと高嶺だった。その上、驚く潤子に対し、高嶺は「あなたを私の妻にして差し上げます」と言い放つ...。
人気コミックを原作に描く本作で石原が演じたのは、将来はニューヨークで働くことを夢見る英会話教室の講師・潤子。明るく気さくな性格も手伝い、旧友で商社マンの三嶋聡(古川雄輝)や、憧れの上司・清宮真言(田中圭)、蜂屋蓮司(長妻怜央)や里中由希(高田彪我※「高」は正しくは「はしご高」)といった生徒に囲まれている"キラキラ系女子"だ。ビジュアルは最強、ファッションセンスも抜群の上に、仕事では英語の発音やイントネーションもパーフェクトで、非の打ち所のない爆美女...かと思いきや、初登場シーンでは足の痺れで大失態を演じたり、下町の集合住宅で両親と女子高生の妹と同居し、学生時代のジャージを部屋着にしていたりと、その素顔は実に庶民的。石原はそんな潤子を元気いっぱいのセリフ回しといきいきとした表情で演じ、存在感を与えた。
■山下が演じる高嶺の変化も大きな見どころ
石原が演じる潤子の躍動感と反比例するように、常にクールで感情が読み取れない僧侶・高嶺を見事に演じきったのが山下だ。どんな時でも、その心の中が読めないほど無感情な高嶺は、潤子に香炉の灰を頭からかけられても一切動じないという徹底ぶり。見合いの席で潤子に「あなたを私の妻にして差し上げます」と言い放った時の高嶺は、山下の美しいビジュアルや魅惑の低音ボイスも相まって、誰もが「完璧すぎる」と思ってしまったはずだ。
潤子をいきいきと演じる石原と、無表情・無感情を貫く高嶺役の山下が作り出す鮮やかなコントラストが魅力の本作だが、潤子への求愛を続けていくうちに、感情が少しずつ表に出てくる高嶺の変化も大きな見どころ。特に第4話では、高嶺が体調を崩した際、寺まで見舞いに来てくれた潤子に膝枕をしてもらったりと、2人の関係が少しずつ進展していく。そんな中で、潤子の看病のおかげで元気を取り戻した高嶺が、初めて笑顔を見せるシーンが登場。それまでのローテンションな演技の積み重ねがあったからこその笑顔の破壊力に、潤子はもちろん、視聴者も「その笑顔が見たかった!」と心の中で叫んだに違いない。
また、2人の流暢な英会話も注目ポイントで、2013年から英会話学校のCMに出演していた石原はもちろん、同時期に放送されていた語学バラエティ「山Pのkiss英語」でも、その英語力に磨きをかけていた山下が披露する英会話学校内での掛け合いも、彼ら自身の魅力を最大限に活かした演出となっている。
高嶺の一途な愛に次第に心を動かされ、彼の想いを受け入れる潤子。しかし、「寺の嫁に相応しくない」と2人の仲を引き裂こうとする高嶺の祖母・ひばり(加賀まりこ)という最大の敵のほか、潤子に恋する男性たちや高嶺に想いを寄せる足利香織(吉本実憂)など、さまざまな障害が立ちはだかる。そんなドラマチックな物語の中で、2人は最高の輝きを披露している。
さまざまなアワードで、石原は主演女優賞、山下は助演男優賞を受賞するなど、2人の活躍が高く評価された本作。後半で大活躍する高嶺の弟・天音役の志尊淳など、脇を固める俳優陣の豪華さにも注目しながら、胸キュンシーン続出のラブコメディを最後まで味わってほしい。
文=中村実香