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弱さをさらけ出した泥臭さがしみる!感情豊かなヒュー・ジャックマンの人間味あふれる魅力

2025/01/06

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「グレイテスト・ショーマン」をはじめヒュー・ジャックマン出演作をザ・シネマで放送 「グレイテスト・ショーマン」(C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
「グレイテスト・ショーマン」をはじめヒュー・ジャックマン出演作をザ・シネマで放送 「グレイテスト・ショーマン」(C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

2024年に公開された「デッドプール&ウルヴァリン」で、自身をスターダムへと押し上げた代表的キャラクターのウルヴァリンを7年ぶりに演じたことも記憶に新しいヒュー・ジャックマン。俳優にとって当たり役は強烈なイメージを植え付けるため、同じ役を演じるのを嫌う俳優も少なくない。一度は引退したキャラクターを再度演じることも辞さないヒューの態度は、裏を返せば役の印象を生かし、順調なキャリアを歩んできたことの証とも言える。

歌って踊れる芸達者の男前だが、その根っこにはどことなく人間臭さが漂う。ことあるごとに"いい人エピソード"が取りざたされるように、大スターであると同時にしっかりと地に足のついた人間という印象をヒューからは受ける。

2000年の「X-MEN」から24年間にわたり演じてきたウルヴァリンは驚異的な治癒能力を有するミュータント。ほぼ不老不死といえば聞こえはいいが、度重なる戦いで体は傷つき、愛する人との別れという長生きゆえの宿命によって心も苦しめられてきた悲しき男だ。一見、粗暴でワイルドだが、その胸の内に仲間思いな一面も秘めた激情家。快活さなど一切ない複雑なアンチヒーローが、ここまで愛されるキャラクターとなったのは、思わず感情移入してしまうエモーションを吹き込んだヒューの演技の賜物だろう。

「X-MEN」でのブレイク以降、様々な役柄にトライしてきたヒューは、どの作品でも喜怒哀楽の感情をスクリーンに叩きつけてきた。良くいえば人間らしい、人間の醜さ、弱さをさらけ出した役も多い。そんなヒューが出演している代表作4本を紹介する。

■チャーミングな笑顔の裏で復讐心に燃える狂気の男を熱演

「プレステージ(2006)」(C) Touchstone Pictures. All rights reserved.

例えば、2人のマジシャンの因縁を描いたクリストファー・ノーラン監督の「プレステージ(2006)」。本作では、下積み時代に妻を水槽脱出マジックで失い、事故の一因となったライバル・ボーデン(クリスチャン・ベイル)への憎悪を抱くマジシャンのアンジャーを演じる。ステージ上では、堂々とした振る舞いとチャーミングな笑顔で観客を魅了するアンジャー。しかし、舞台を一歩降りればボーデンへの復讐心から彼のトリックを暴くことに執念を燃やす男へと様変わり。この対比の演技で憎しみに取り憑かれた男のエゴやライバルを打ち負かすためならモラルの一線を超えてしまう人間の狂気を浮き彫りにする。



放送情報

プレステージ(2006)
放送日時:2025年1月18日(土)16:15~ほか
チャンネル:ザ・シネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります



■記憶への潜入を試みる悲哀に満ちた主人公が魅力的

「レミニセンス」(C) 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

ノーラン監督の弟ジョナサンが製作を務め、"消えた女と捜す男"というノワールの定番に記憶という題材を掛け合わせたSF「レミニセンス」(2021年)で表現したのは、愛にすがる男の哀愁。突如消えた愛する人の幻を追い、記憶への潜入を繰り返し、知られざる正体に迫ると、女性の意外な一面に混乱、苦悩し、傷ついていく。過去に捕われた後ろ向きで情けない男だが、それでも憎めないのは、そこはかとなく善を感じさせるヒューの魅力あってこそ。すべてを悟った際の切ないまなざしが心に響く。



放送情報

レミニセンス[PG12]
放送日時:2025年1月18日(土)18:45~ほか
チャンネル:ザ・シネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります



■徹底した役作りで俳優としての地位を確立させた名作

「レ・ミゼラブル(2012)」(C) 2012 Universal Pictures. All Rights Reserved.

ヒューの代表作として外せないのが、アカデミー主演男優賞にもノミネートされた「レ・ミゼラブル(2012)」だ。泥まみれになりながら船の鎖を引く冒頭のシーンでは、パンを盗んだだけで重罪人にされた猛烈な怒りを表現。36時間水を飲まずに撮影に挑んだというヒューの執念がソリッドな顔つきにそのまま投影されている。

舞台で培われた歌も圧巻。身分を隠して市長にまで上り詰めたジャン・ヴァルジャンが、自分と間違えられ捕えられた男の話を耳にし、良心の呵責に堪えず歌い出す「Who Am I」には、「自分は誰か?」と自問自答する心の迷いが、歌声の揺れとして現れている。



放送情報

レ・ミゼラブル(2012)
放送日時:2025年1月18日(土)23:00~ほか
チャンネル:ザ・シネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります



■ヒューの歌唱力に注目のミュージカル映画

伝説的な興行師P・T・バーナムを演じたミュージカル「グレイテスト・ショーマン」(2017年)での高揚感に満ちた歌とダンスももちろん魅力的だが、名声を追い求め、周囲を裏切った愚かな行いやそこから改心していく姿こそ真骨頂。間違いも犯すし完璧ではないが、根っからの悪人ではない。そんな人間臭い役柄がヒューにはよく似合う。

アメコミものから、ミュージカル、サスペンスまでどんなジャンルであろうと感情のこもった演技で観客を作品の世界へ誘うヒュー・ジャックマン。どんな役も自分の魅力で染められるからこそ、スターとして活躍し続けることができるのだろう。



放送情報

グレイテスト・ショーマン
放送日時:2025年1月18日(土)21:00~ほか
チャンネル:ザ・シネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります



文=武藤龍太郎

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