白衣姿の仲間由紀恵がクールな医療サスペンス「悪女たちのメス」

「ドラゴン桜」などで知られる人気脚本家・秦建日子は、小説家としても活躍し、代表作の「アンフェア」シリーズも彼の小説のドラマ化だった。秦が2011年に書き下ろした小説をもとに自ら脚本も手掛けて同年に映像化したのが「悪女たちのメス」である。

同作は仲間由紀恵が主演し、脳外科の第一人者に上り詰めたクールな天才外科医・桧山冬実を演じている。病院買収問題を軸に、複雑に交差する人間の思惑を描いた医療サスペンスだ。かつて看護師として冬実と共に働いていたが、医療コーディネーターに転身した中原永遠子役で瀬戸朝香が共演。物語上の重要なキャラクターを演じている。
物語は、永遠子(瀬戸朝香)の元に、女子高校生の伊波さやか(小松美月)が頭痛を訴えてやって来たところから始まる。長期の頭痛に悩む彼女に対し、永遠子は聖カタリナ総合病院の冬実(仲間由紀恵)を推薦。冬実は日本を代表する脳外科医だが、出世のためなら人の命にさえ"優先順位"を付けてきた冷酷な悪女だった。永遠子はそんな冬実の姿勢に疑問を持ち、コーディネーターに転身したのである。精密検査の結果、さやかはウィリス動脈輪閉塞症患者だということがわかり、冬実は早々に手術室を押さえるよう看護師に指示。冬実自らが考案した最新の術式による手術が行われた。第一助手の真田拓馬(福士誠治)が右手を負傷したために日比野信吾(森山栄治)に交代するなど、バタバタはあったものの彼女の手術の腕は天才的で、助手たちを驚かせた。オペは成功したかに思えたのだが、その夜、さやかの容体が急変。元看護師の永遠子も巻き込み、必死で蘇生を試みる冬実だったが、さやかは亡くなってしまう。永遠子は冬実に、医療コーディネーターとしてさやかが死に至った原因を徹底的に追究すると告げるのだった...。

仲間は本作が初めての外科医役で、しかもタイトルにもある"悪女"という難しい役どころに挑戦した。専門医の指導のもとでリハーサルを重ねて手術シーンにも果敢に挑み、意欲的に撮影に臨んでいる。本作のストーリーは、さやかが死に至った原因が医療事故なのか、それとも誰かの"陰謀"だったのかを巡る謎にある。少女を死に至らしめてしまった冬実の人生が狂わされていき、そんな苦悩を仲間が丁寧に深みのある演技で表現している。
一方の瀬戸は、出産のための休養期間を経て、本作が女優としての復帰作となった。仲間とは1999年のTBS系ドラマ「P.S.元気です、俊平」以来12年ぶりの共演。制作発表当時、瀬戸は「仲間さんとの久々の共演は嬉しかった。彼女は目力のあるすてきな女優さん。役に真剣に取り組んでいたのが印象的でした」と語った。仲間は「最後まで誰のたくらみなのか、誰が悪なのか全く分からない医療サスペンスに仕上がっていると思います」と本作の見どころをコメントしている。

その言葉通りに、最後まで目が離せないストーリーで視聴者をくぎ付けにする本作。ほかの共演者には、看護師・正木恵役の佐藤江梨子、麻酔科医・中村真彦役のKEIJI(EXILE)、さやかの先輩・望月悠役の神永圭佑、冬実の姉・夏帆役の西田尚美らが顔を揃えた。さらに伊武雅刀、船越英一郎といったベテラン陣も抜群の存在感を発揮。演出は坂口憲二主演の「医龍-Team Medical Dragon-2」(2007年)、山下智久主演の「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」(2008年)など、同局の医療ドラマでの実績が豊富な葉山浩樹が務めている。初回放送時の視聴率は14.0%と好評で、翌年には続編も放送された。仲間と瀬戸を中心に、実力派俳優たちの演技合戦が骨太のストーリーを彩って大いに楽しめる一作となっている。難しい役柄に挑んだ仲間の新境地ともなった作品であり、今見ても新鮮味がある。瀬戸をはじめ福士や西田、船越らの好演もあり、本格派の医療サスペンスとしての見ごたえも十分である。
文=渡辺敏樹
放送情報【スカパー!】
悪女たちのメス episode1
放送日時:2月10日(月)10:30~
悪女たちのメス episode2
放送日時:2月11日(火)10:30~
放送チャンネル:フジテレビTWO ドラマ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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