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新垣結衣のコメディエンヌぶりがキュートで魅力あるヒロインに昇華させた「掟上今日子の備忘録」

2025/02/01

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「掟上今日子の備忘録」 (C)西尾維新/講談社(C)NTV
「掟上今日子の備忘録」 (C)西尾維新/講談社(C)NTV

ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(2016年、TBS系)でのコミカルな演技で大ブレイクした新垣結衣が、"逃げ恥"の1年前に圧倒的なキュートな姿を見せていたのがドラマ「掟上今日子の備忘録」だ。

本作は、寝てしまうと記憶が1日ごとにリセットされるため、どんな事件も1日で解決する最速の探偵である掟上今日子(新垣)が、隠館厄介(岡田将生)とともに事件を解決していくミステリー。「化物語」といったヒット作が次々とアニメ化されている西尾維新の小説が原作になっている。ライトノベルが原作とあって、忘れてはいけないことを体にマジックで書く習慣を持っていたり、銀髪&丸眼鏡の外見など、今日子の設定はかなりファンタジー。また演出として、テロップが多用されるなど、コメディーテイストがふんだんに取り入れられているのも特長だ。

■掟上今日子をキュートに魅せた新垣結衣の演技

「掟上今日子の備忘録」
「掟上今日子の備忘録」

(C)西尾維新/講談社(C)NTV

物語をリアリティーあるように見せているのが新垣結衣の演技力。原作に忠実な掟上今日子をキュートに演じながら、実際に存在してもおかしくないと思わす人間味を出しており「新垣結衣以外の今日子は想像できない」と言われるほど作品になじんでいた。

今日子は淡々と事件を解決するのかと思いきや、表情がクルクルと変わったり、ときにはボケたり怒ったりする人間らしいキャラクター。コメディーが得意な新垣だからこそ、今日子をキュートで生き生きしたキャラクターに昇華できていたのだろう。

生きてきた証である記憶がリセットされてしまうはかなさを伝えつつ、クヨクヨしても仕方がないと前を向いて生きる今日子からは、人間の強さと美しさが感じられる。単なるかわいいだけではない凛とした美しさも今日子の魅力になっているのだ。

■ヒロイン・今日子を支える個性的なキャラクターたち

「掟上今日子の備忘録」
「掟上今日子の備忘録」

(C)西尾維新/講談社(C)NTV

そんな今日子に恋をするのが、岡田将生扮する隠館厄介。毎回、何かの犯人に間違われては今日子の世話になる"史上最も運が悪い男"。次第に今日子のことが好きになっていくが、どんなに仲良くなっても次の日には「はじめまして」の関係に戻ってしまう。そんな報われない恋をしつつも、今日子を信じ助けていく姿は応援したくなる。最終話、「寝たら忘れてしまう。忘れたくないんです」と訴える今日子に優しい眼差しを向けながら「大丈夫、僕が覚えていますから」と声をかける姿は厄介の真摯な姿そのものだった。

今日子や厄介を応援している探偵斡旋所の所長・絆井法郎(及川光博)や斡旋所の助手・也川塗(有岡大貴)、アパルトマンの従業員・幕間まくる(内田理央)といったドラマオリジナルのキャラクターたちも個性的で魅力的。彼らの掛け合いをずっと聞いていたいと思わす魅力を持っている。

基本、1話完結で事件を解決していくスタイルで、事件も一筋縄ではいかず意外な裏事情が絡まっている。ミステリー作品としてももちろん面白いが、事件に巻き込まれた今日子が何を感じていくのか、今日子の気持ちの変化もきちんと描かれている。

第1話で登場する「私には1日しかないから。今日という日を後悔したくないんです」というセリフは、現状を受け入れつつも今を全力で生きる今日子の潔さと美しさを表現。彼女の全てが、この一言に詰まっている。突拍子もない設定のミステリーと思われがちだが、実は人間ドラマの側面も色濃いうえ、ラブコメとしても秀逸な本作。新垣結衣の魅力が存分に詰まっているので、改めて注目したい。

文=玉置晴子



放送情報

掟上今日子の備忘録
放送日時: 2月22日(土)9:40~
※全10話一挙放送
チャンネル: ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります



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