橋本環奈の振り切れた演技と原作への誠実さが実写化を成功に導く鍵に!コメディエンヌの才能を裏付けた「斉木楠雄のΨ難」

4月より放送中のドラマ「天久鷹央の推理カルテ」で主演を務めている俳優・橋本環奈。ヒットメーカー・知念実希人の人気小説を原作にした同作で橋本が演じているのは、超人的な知能や記憶力をもつ異色の天才ドクター。身の周りで起こる非科学的現象への興味を抑えられず、"診断"と称して謎を解き明かし、医師という立場でありながら、難事件を解決していく。3月末に最終回を迎えた朝ドラ「おむすび」のヒロインが記憶に新しい橋本だが、「天久鷹央の推理カルテ」での演技も早速話題で、彼女の新たな代表作の1つになる予感がする。
そんな橋本の代表作を挙げる中で欠かせないのは、やはり福田雄一が監督を務める、いわゆる"福田組"作品の数々だろう。その中の1つ、「斉木楠雄のΨ難」が5月にWOWOWで放送される。
本作の公開は2017年10月。同年7月に、橋本の福田組初参加作となる「銀魂」が公開されたばかりだった。当時の橋本といえば、ブレイクのきっかけがアイドル時代に撮影され、"1000年に1人の逸材"と評された1枚の写真だったこともあり、美少女の印象がとにかく強かった。そんなイメージもあってか、「銀魂」のヒロイン・神楽役に抜てきされた当初は、原作ファンからキャスティングを不安視する声もちらほら。
そんな中、神楽の「~アル」「~ネ」を語尾につける特徴的な口調を完全にコピーし、変顔もいとわない体当たりの演技を披露。ヒロインにはあるまじき鼻をほじるシーンも原作に忠実にやってのけ、公開後には「完全にハマり役!」と称賛を勝ち取った。
■コメディエンヌとしての才能が確かなものだと証明した「斉木楠雄のΨ難」

(c)麻生周一/集英社・2017映画「斉木楠雄のΨ難」製作委員会
「銀魂」でコメディエンヌとしての才能を開花させた橋本だったが、その才能が確かなものだと完全に裏付けたのが、その後間もなく公開された「斉木楠雄のΨ難」だ。
生まれながらに超能力を持つ高校生・斉木楠雄(山崎賢人※「崎」は正しくは「立さき」)は、「普通に生きたい」という切実な願いを常に抱いている。平凡に目立たないようにと努力する斉木だが、周囲にはワケありのクラスメイトたちばかりで、何かと絡まれる日々。その矢先、毎年恒例の一大イベント・文化祭がやってくる。その日を無事にやり過ごしたいだけの斉木だが、災難がふりかかりまくり、あわや地球滅亡の危機に...。
本作で橋本が演じるのは、すれ違う人すべてが振り返り、思わず「おっふ...」と口にしてしまうほどの美貌を持つ"完璧美少女"・照橋心美。橋本は圧倒的な透明感を携えた美貌で、この"完璧美少女"という役柄にいとも簡単に説得力を与えた。
しかし、この照橋というキャラクターは、ただの美少女では収まらない。彼女は表に出す謙虚さとは裏腹に、心の中では自身が完璧美少女であることを、これでもかというほどに自覚している。そんな裏表の激しい照橋の二面性を、橋本が見事に表現。クラスメイトや学園の男子たちに囲まれて微笑む笑顔の可憐さと、その姿に当てられたなんとも腹黒い心の声のギャップが可笑しく、物語のギャグ要素をぐっと高めている。
主人公の斉木は超能力によって照橋の心が見えるため、彼女の本性を知っており、周囲のクラスメイトのように照橋になびくことはない。照橋はそんな斉木のことを追いかけ回し、なんとか斉木にも他の男子たちと同じように「おっふ」と言わせようと、あの手この手で奮闘する。そんな必死な照橋の姿を、コメディ感満載のオーバーなリアクションと顔芸を駆使して体現した橋本。このさすがの振り切り具合には、原作ファンも納得だろう。
腹黒な完璧美少女という設定にギャグ要素が乗っかるという、なんとも個性の強いキャラクターを演じきった橋本。彼女の演技はいつも原作の再現性が高く、どんな演出も取り入れる思い切りの良さには、原作やそれを愛するファンへの誠実さを感じられる。キャラクターの必要不可欠な要素をしっかりと取り入れながらも、その中で橋本自身の演技の色を出す。そのバランス感覚が絶妙だ。そんな橋本の真摯さと感性は、実写化作品を成功に導く鍵の1つになっている。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
斉木楠雄のΨ難
放送日時:2025年5月5日(月)23:10~、5月12日(月)21:00~ほか
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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