杉咲花が10代の少女ならではの激しさと奔放さを鮮烈に表現!RADWIMPS・野田洋次郎主演「トイレのピエタ」

広瀬すず、清原果耶と共に主演を務めた坂元裕二脚本映画「片思い世界」のヒットに始まり、主演映画「ミーツ・ザ・ワールド」の公開も控えるなど、今年も活躍が目覚ましい俳優・杉咲花。
そんな杉咲が2015年、17歳の頃にヒロインを務めたのが「トイレのピエタ」だ。ロックバンド・RADWIMPSの野田洋次郎が俳優に初挑戦したことでも話題を集めた本作は、漫画家・手塚治虫の晩年の日記に書かれていたアイデアを原案に、脚本家・映画監督の松永大司が作り上げたもの。
28歳の青年・宏(野田)は、才能は持ちながらも画家になる夢は叶わず、アルバイトで生計を立てるフリーター生活を送っていた。そんな中、宏はアルバイト中に倒れてしまい、病院に運ばれる。検査の結果を知るには家族の同席が必要だといわれるも両親に連絡を取ることを煩わしく思った宏は、病院のロビーにいた女子高校生の真衣(杉咲)に声をかけ、妹になりすましてもらい、検査の結果を聞くことに。その結果、胃に悪性のがんが見つかり、余命3カ月を宣告されるのだった。突然のことに戸惑い、投げやりな気分になる宏は、ことあるごとに周囲から病人扱いされることにもうんざりし始める。やがて、そんな宏のことを病人扱いしない真衣の存在が、彼の心の支えとなっていく...。
■若さゆえの激しさや奔放さ、そしてその中に潜む苦しみまで表現した杉咲花

(C)2015「トイレのピエタ」製作委員会
余命3カ月を宣告されながらも残り少ない時間を投げやりに浪費する青年と、奔放な女子高校生との交流を綴る本作。杉咲が演じているのは、女子高校生の真衣。当時17歳ということもあって、杉咲は自由奔放な真衣をとてもナチュラルに演じている。真衣は初対面の時から宏に対して遠慮のない物言いで、奔放さと同時に気の強さも感じられる少女だ。そんな若さゆえの真衣の無鉄砲さや、苛立ちや怒りなどの感情を隠すことなく周囲にぶつける姿は、作中で強烈な存在感を放っており、そんな真衣を演じる杉咲の芝居は言葉通りの"熱演"だ。いたずらな笑顔で自由すぎる振る舞いをしたかと思えば、激高した様子を見せることも多々ある。野田が静かな演技で内向的な宏を演じている分、真衣を演じる杉咲の演技がより鮮烈に印象付けられ、2人の対照的な演技が作品の中で絶妙なコントラストを生み出している。
真衣は宏を過度に病人扱いするようなことはなく、だからこそ宏のくすぶった態度に苛立って強い言葉を投げかけたり、気まぐれのような自由な言動で宏の心を揺さぶったりもする。そんな真衣の言動は時に宏を苛つかせるが、その一方で、宏が再び生きる意味を見出すきっかけにもなっていくのだ。
そして物語が進むと、真衣にもまた苦しみや悩みがあることが浮き彫りになっていく。杉咲の瞳には、真衣の苛立ち、不安、孤独などさまざまな感情が映し出される。時には溢れ出すように激しく、時には内に秘めるように静かに、真衣の心情を表現する杉咲の演技が見事だ。
28歳のフリーターと女子高生の異色ともいえる交流を描いた本作。病にかかった主人公・宏が自身と向き合うきっかけとなる少女・真衣を鮮烈に演じた杉咲にも注目しながら見てほしい作品だ。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
トイレのピエタ
放送日時:2025年9月13日(土)14:15~
チャンネル:WOWOWプライム
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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