ジャッキー・チェンと「コブラ会」でも活躍したラルフ・マッチオの初競演への期待も...シリーズ人気を加速させた「ベスト・キッド(2010)」

今年4月に71歳を迎えたアクション映画界の"生ける伝説"ジャッキー・チェン。生涯現役を表明している彼は今なおパワフルなアクションを披露しており、最新アクション映画となる「ベスト・キッド：レジェンズ」が5月30日(金)より全米公開(8月29日(金)より日本公開)される。

この「ベスト・キッド」シリーズは、いじめに遭う高校生のダニエル(ラルフ・マッチオ)＆空手の達人ミスター・ミヤギ(ノリユキ・パット・モリタ)を主人公とする"オリジナル"の「ベスト・キッド」(1984年)の世界的ヒットを起点として、第4弾まで製作されるに至った映画版シリーズや、今年配信されたシーズン6をもって遂に完結したスピンオフドラマ「コブラ会」(2018〜2025年)など、いまなお絶大な人気を誇っている。

そんな人気シリーズにおいて、ジャッキー・チェン主演で"オリジナル"をリメイクしたのが、2010年夏に日本公開された「ベスト・キッド(2010)」(ＷＯＷＯＷプラスで6月2日(月)に放送)だ。

父を亡くし、母と共にデトロイトから北京へと引っ越してきた少年ドレ(ジェイデン・スミス)は、新しい環境になじめず、学校のカンフー少年たちからいじめの標的にされてしまう。ある日、マンションの管理人・ハン(ジャッキー・チェン)に助けられたドレは、"身を守るため"に使う事を条件にカンフーの達人であるハンに弟子入りする。

ジャッキーが演じる"カンフーの達人"ハンは、オリジナル版でパット・モリタが演じた"空手の達人"ミスター・ミヤギにあたるキャラクター。ドレの窮地を救う初登場シーンから、鋭い眼光で只者ならぬオーラを放っており、必要最小限の動きだけでカンフーキッズたちを退けていく様子はまさに神技。当時すでに50代半ばだったジャッキーだが、一瞬のキレと滑らかさが同居した老練の体さばきはさすがだ。

また、寡黙なキャラクターの心の内を表情だけで物語っており、生意気なドレへの呆れ顔や、急成長していく"弟子"に対する驚きの目線、悲惨な過去に対する嘆きなど、エモーションを盛り込んだ演技で作品のドラマ性を盛り立てている。

そんなジャッキーと肩を並べ、ダブル主演を務めているのが、俳優ウィル・スミスの息子として幼い頃から活躍し、26歳となった現在は"Jaden(ジェイデン)"としてアーティスト活動も展開するなどマルチな才能を発揮するジェイデン・スミス。12歳だった当時は小さな体を駆使したアクションにも果敢にチャレンジ。過去のジャッキー作品を勉強したという勤勉さで、ドレ役を見事に演じ切った。

父を失くし、言葉も通じない土地で疎外感を感じながら生きるドレと事故によって妻子を失い、生ける屍のように過ごしてきたハン。悲しい思いを抱える者同士が、試練を乗り越えながら特別な絆を育んでいく師弟を越えた人間ドラマには、思わず熱いものが込み上げてくることだろう。

この「ベスト・キッド(2010)」の"その後"にも連なるシリーズ最新作「ベスト・キッド：レジェンズ」では、オリジナルの"カラテ・キッド"であり、スピンオフドラマ「コブラ会」でも活躍を見せたダニエル役のラルフ・マッチオがスクリーンに復活することも大きな話題に。ダニエルと、ジャッキー・チェン扮するハン――2人のレジェンドの初競演にも心躍らせつつ、2010年版の「ベスト・キッド」をおさらいしておきたい。

文＝HOMINIS編集部