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佐藤浩市の人間味、斉藤由貴の静かな強さ...対照的な演技が光る相米慎二監督作「あ、春」

2026/11/02

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「あ、春」<4Kデジタルリマスター版>
「あ、春」<4Kデジタルリマスター版>

2026年公開の映画「キングダム 魂の決戦」で、秦国の宰相・呂不韋を演じた佐藤浩市。同年公開の映画「人はなぜラブレターを書くのか」では、息子を亡くした父親役を演じるなど、幅広い役柄で存在感を発揮している。

そして、11月6日(金)公開の映画「4アウト ─もう一度、プレイボール─」に出演するなど、長年にわたって俳優として精力的に活動を続けている斉藤由貴。

そんな2人が夫婦役で共演した映画「あ、春」<4Kデジタルリマスター版>が、11月4日(水)に日本映画専門チャンネルで4K化TV初放送される。

1998年公開の本作は、相米慎二監督が手がけたホームドラマで、第73回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位に輝いた作品だ。

佐藤にとっては「魚影の群れ」(1983年)や「ラブホテル」(1985年)に続く相米作品への出演であり、斉藤にとっても映画デビュー作「雪の断章 情熱」(1985年)以来、13年ぶりの相米作品への出演となった。

公開当時、佐藤は38歳、斉藤は32歳。ともに俳優として充実期を迎えていた2人が見せる、息の合ったアンサンブルに注目したい。

佐藤浩市と斉藤由貴が夫婦役で共演。相米慎二監督が描く、可笑しくも切ない家族のドラマ「あ、春」<4Kデジタルリマスター版>
佐藤浩市と斉藤由貴が夫婦役で共演。相米慎二監督が描く、可笑しくも切ない家族のドラマ「あ、春」<4Kデジタルリマスター版>

(C)1998/2026 株式会社トラム/松竹株式会社/松竹ブロードキャスティング株式会社

証券会社に勤める韮崎紘(佐藤)は、妻の瑞穂(斉藤)、幼い息子、義母(藤村志保)とともに暮らすエリートサラリーマン。ところがある日、幼い頃に亡くなったと聞かされていた父親・笹一(山﨑努)が突然姿を現す。

粗末な身なりで現れ、自由奔放に振る舞う笹一を、紘はすぐには父親として受け入れられない。

しかも笹一は一家の生活に土足でずかずかと入り込み、それまで保たれてきた家庭の均衡を揺さぶっていく。父親と名乗る男の登場をきっかけに、紘は自分が信じてきた家族の姿を見直すことになる。

「あ、春」<4Kデジタルリマスター版>
「あ、春」<4Kデジタルリマスター版>

(C)1998/2026 株式会社トラム/松竹株式会社/松竹ブロードキャスティング株式会社

佐藤が演じる紘は、社会的には順調な人生を歩んできた男だが、家庭では必ずしも周囲の気持ちを汲み取れていない不器用さを抱えている。

笹一の無遠慮な振る舞いには露骨に苛立ち、口をとがらせて反発する。佐藤はそんな紘の感情を隠さない態度から、仕事と家庭を背負い込む男の余裕のなさを巧みに演じてみせる。

父親を知らずに育った紘が、突然現れた笹一に戸惑うのも無理はない。しかし、周囲を顧みず自分の考えを押し通そうとする紘の姿には、長年身につけてきた価値観から離れられない頑なさもうかがえる。

笹一との出会いは、そんな紘にとって父親を知るだけでなく、自分自身をも見つめ直す機会になっていく。

「あ、春」<4Kデジタルリマスター版>
「あ、春」<4Kデジタルリマスター版>

(C)1998/2026 株式会社トラム/松竹株式会社/松竹ブロードキャスティング株式会社

そんな紘と見事なコントラストを描き出すのが、斉藤演じる妻・瑞穂だ。夫の振る舞いに心を痛めることはあっても、現状をただ悲観したり、紘を突き放したりするだけではない。

突然現れた義父の笹一に対しても、紘とは対照的な態度で接し、家族の一員として迎え入れようとする。斉藤は声高に感情を訴えるのではなく、相手を受け止めようとする姿勢を通して、瑞穂の穏やかさと芯の強さを観る者に感じさせる。

また瑞穂は、仕事に追われる紘には見えていないものをしっかりと見つめており、それゆえに傷ついている。互いへの思いがありながらも、その気持ちをうまく伝えられない夫婦。

感情をあらわにする佐藤と、内に複雑な思いを抱えながら相手と向き合う斉藤の芝居が、そのすれ違いを浮かび上がらせる。北村道子が手がけた瑞穂の色彩豊かな衣装も、時代の空気と作品の個性を感じさせる見どころの1つだ。

「あ、春」<4Kデジタルリマスター版>
「あ、春」<4Kデジタルリマスター版>

(C)1998/2026 株式会社トラム/松竹株式会社/松竹ブロードキャスティング株式会社

そして、2人の間に波乱を巻き起こす笹一を演じる山﨑努の存在も欠かせない。

突然息子の前に現れ、周囲の都合などお構いなしに振る舞う笹一。周囲を困らせる一方で、その存在は家族それぞれの内面や関係性を浮かび上がらせていく。自由奔放な振る舞いの合間にふと寂しさを感じさせるところにも、山﨑ならではの芝居の味わいがある。

また、紘の母・公代を演じる富司純子のしたたかな佇まいも印象に残る。家族の過去を知る公代の言動からは、その本心を容易にうかがい知ることができない。笹一とはまた違った形で、紘をはじめ周囲の人々を翻弄する存在となっている。

父親と名乗る笹一の突然の登場を機に、これまでの生き方を問い直される紘と、そのそばで家族を支えようともがく瑞穂。

佐藤浩市の不器用な感情表現と斉藤由貴の静かな強さが交わる相米慎二監督作品「あ、春」<4Kデジタルリマスター版>。可笑しさの奥に、家族それぞれの孤独や思いがにじむ人間ドラマを、ぜひ放送で堪能してほしい。

文=HOMINIS編集部

放送情報【スカパー!】

あ、春<4Kデジタルリマスター版>
放送日時:2026年11月4日(水)20:00~ほか
※11月22日(日)、26日(木)は佐藤浩市の特別インタビューもお届け
チャンネル:日本映画専門チャンネル(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

出演:佐藤浩市、斉藤由貴、山﨑努、富司純子、藤村志保 ほか

詳しくは
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