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藤井聡太名人VS永瀬拓矢九段の対局で話題となった千日手!そんな千日手の過去の記録を紹介!

2025/06/19

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⒞囲碁・将棋チャンネル
⒞囲碁・将棋チャンネル

将棋の対局は基本的に勝ちか負けしかない。例外は千日手(持駒含め、同じ局面が4回繰り返されると引き分け)、持将棋(お互いに玉が敵陣に入って玉が捕まる見込みがなく、確保している駒の数もほぼ同等だった場合に引き分け)で、これらは引き分け扱い。基本的には指し直しとなる。今回は千日手、持将棋に関する記録を見ていきたい。

まずは今年度最初のタイトル戦となった第83期名人戦七番勝負。藤井聡太名人に永瀬拓矢九段が挑んだシリーズだ。第5局、第6局と連続で千日手となった。通常の対局であれば千日手が成立すると30分後に再開となるのが基本だが、名人戦は二日制のため少々事情が異なる。二日制のタイトル戦においては千日手成立が1日目の決められた時刻以降の場合、指し直しは翌朝に行い、一日制で対局する。なお、千日手成立から本来の封じ手の時刻までの時間を折半し、両者の持ち時間から差し引く。これが今期の第4局で行われたが、6年前の第77期名人戦第1局でも同様の事例があった。

第49期棋王戦五番勝負で伊藤匠七段と持将棋を行った藤井聡太棋王
第49期棋王戦五番勝負で伊藤匠七段と持将棋を行った藤井聡太棋王

⒞囲碁・将棋チャンネル

持将棋も基本的には千日手同様、成立から30分後に指し直しを行うが、タイトル戦の場合は事情が異なる。第49期棋王戦五番勝負で藤井聡太棋王に伊藤匠七段が挑んだシリーズの第1局、伊藤が深い研究を見せて、持将棋に持ち込む。通常は時間がない中でお互いに寄せ損ねがあって成立するのが持将棋だが、伊藤が持将棋になりやすい定跡に誘導。この将棋では珍しく互いに時間があって持将棋となった。タイトル戦においては持将棋は一局と見なし、引き分け扱いにして指し直しはせず次の局へと進む。あっさりした決着はタイトル戦としては異例だ。

第5期叡王戦七番勝負は異例のシリーズだった。現在は五番勝負の叡王戦も当時は七番勝負で、永瀬拓矢叡王に豊島将之竜王・名人が挑んだ。第1局は千日手になり、指し直しは豊島が制す。続く第2局、第3局はまさかの連続持将棋。粘り強い両者らしいが、4局指してわずか1局しか決着していない。このシリーズはフルセットの末、4勝3敗で挑戦者が奪取。十番勝負とも呼ばれた。

似たような例で中原誠名人に加藤一二三九段が挑んだ第40期名人戦七番勝負もある。4勝3敗1持将棋2千日手で挑戦者が奪取したシリーズだが、当時は千日手でも後日の指し直しだったので、決着するまでが長かった。

長時間の対局で有名なのは2004年の第63期順位戦B級1組での一局。中川大輔七段と行方尚史七段(段位はいずれも当時)戦は夜中に持将棋が成立。深夜の指し直しとなるが、こちらも熱戦となり、何と終盤で千日手が成立。明け方の指し直しとなった。2度目の指し直しも熱戦となるが、最後は激闘を行方が制した。朝10時に始まった対局が決着したのは翌朝9時15分で、実に23時間以上対局したことになる。

現在は消費時間の計測方法や休憩時間の変更など、対局の時間を短くする傾向であることも考えると、一日制の対局でこの記録が破られることはなさそうだ。

文=渡部壮大

放送情報【スカパー!】

ALSOK杯 第74期 王将戦 七番勝負 第4局 藤井聡太王将 vs 永瀬拓矢九段 対局日:2025年2月15日,16日
放送日時:2025年6月20日(金)22:00~
放送チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくは
こちら

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