小泉今日子&永瀬正敏が演じた夫婦の絆が胸に響く――笑い悩む、等身大の母を体現した「毎日かあさん」
今年、還暦を迎えた俳優・小泉今日子。"キョンキョン"の愛称で1980年代の新たなアイドル像を切り開き、ミリオンセラーも記録するなど数々のヒット曲を生み出したアイドル時代はもちろん、俳優としても長年活躍してきたことは周知の通り。近年ではドラマ「最後から二番目の恋」シリーズや「監獄のお姫さま」のような親しみやすくも胸にじんわりと沁みるような味わい深い演技や、凛とした佇まいで挑んだ映画「碁盤斬り」での貫禄のある演技も印象的だった。
そんな小泉が2011年に主演した映画「毎日かあさん」でも、温かな演技を楽しめる。
日々締め切りに追われている漫画家・サイバラリエコ(小泉)には、まだまだ手のかかる6歳と4歳の子どもがいる。息子・ブンジ(矢部光祐)、娘・フミ(小西舞優)と、母のトシエ(正司照枝)とともに暮らす日常は、平凡だが慌ただしい。そして、リエコにはもうひとり家族が。それは、元戦場カメラマンで小説家志望の夫・カモシダユタカ(永瀬正敏)。酒浸りの日々を送っていたユタカは、深酒で体を壊して入退院を繰り返す上に、家にいたらいたで酒に酔っては大騒ぎと、子ども以上に手のかかる存在。そんなユタカにヤキモキしながらも見捨てることはできずに一緒にいたリエコだったが、彼が子どもたちに暴力を振るったことを機に離婚を決意する。しかしその矢先、ユタカの身体が深刻ながんに侵されていることが判明する...。
西原理恵子によるエッセイ漫画を、「かぞくのひけつ」の小林聖太郎監督が実写映画化した同作。西原自身の実体験をベースに、笑いと悲しみが共存する家族の日々を描いている。公開当時、小泉と永瀬の共演も話題となった。
リエコは人気漫画家でありながらまだ幼い2人の子どもを育て、アルコール依存症の夫に振り回されながらも明るく生きる女性。「褒めて伸ばすを心掛けている」と言った直後にブンジの頬を引っ張りながら叱ったり、酒を飲みながら子どもたちを寝かしつけたり、ユタカと喧嘩してあからさまに苛立ったりと、とても人間味のある人物だ。そんなリエコを演じる小泉の芝居は実にナチュラルで、肩肘を張らない佇まいは、演技ではなく本当にこの家で暮らしている母親のように感じさせるほど。
一家を支える大黒柱でもあり、アルコール依存症のユタカに向き合う妻でもあるので、一見"肝っ玉母ちゃん"のように見えるのだが、決して強いばかりではない。怒り、戸惑い、疲れ、諦めそうになりながらも前へ進む姿がひたむきで美しい女性だ。離婚後も何かとユタカのことを思い出し、メールを送ろうとしたり、彼への思いも一筋縄ではいかないわけだが、そんなところにも2人なりの夫婦の絆を感じる。そんなリエコの感情の揺れを時に繊細に、時に明るく表現する小泉が魅力的だ。
ユーモアと温もりに溢れる日常の中での悲喜こもごもを描いた家族映画で小泉が演じた、笑いながら何とか毎日を生き抜く等身大の"かあさん"の奮闘が、静かに胸に響く。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
毎日かあさん
放送日時:2026年7月26日(日)19:00~、8月20日(木)11:00~ほか
チャンネル:WOWOWシネマ(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
出演:小泉今日子 永瀬正敏 矢部光祐 小西舞優 正司照枝 古田新太 大森南朋 田畑智子
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