若き日のアーノルド・シュワルツェネッガーが多彩なアクションで躍動!SF映画「トータル・リコール」

『コナン・ザ・グレート』(1982年)、『ターミネーター』(1984年)などヒット作で注目を浴び、80年代以降ハリウッドのアクション映画を牽引したアーノルド・シュワルツェネッガー。マッチョなボディと親しみやすいキャラクター、圧倒的存在感でいまだアイコニックな存在として人気を誇るアクション・スターだ。
カリフォルニア州知事を務めたことで一時は俳優業から遠ざかったが、退任後は復帰し『エクスペンダブルズ2』(2012年)ほか話題作に出演。70代後半とシニア世代に突入してもNetflixのドラマシリーズ『FUBAR』(2023年)に出演するなど健在ぶりを見せている。そんなシュワルツェネッガーの代表作のひとつが、SFアクション大作『トータル・リコール』(1991年)だ。

(C) 1990 Canal+ DA. Tous droits réservés.
時は2084年。妻と平凡に暮らすクエイドは、毎晩のように見る火星の夢に悩まされていた。気晴らしのため記憶を販売するリコール社を訪れたクエイドは「スパイとして火星で活躍する夢」を購入。ところがそれが封印されていた記憶を揺り動かす。
やがて彼は自分が火星を支配する独裁者と戦う活動家で、記憶を消されて会社員という模造記憶を植え付けられていたことを知らされる。自らの使命を知ったクエイドは火星に向かったが、そこには巨大な罠が仕掛けられていた。
原作は『ブレードランナー』(1982年)、『マイノリティ・レポート』(2002年)ほか著書が多く映画化されているSF作家フィリップ・K・ディック。監督はオランダ・アムステルダム出身で、『ロボコップ』(1987年)や『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997年)を手がけたポール・ヴァーホーヴェンで、企画に関わったシュワルツェネッガーが自ら依頼して実現させた。
シュワルツェネッガー主演作の見どころといえば、もちろんアクション。

(C) 1990 Canal+ DA. Tous droits réservés.
本作も序盤からクライマックスまで躍動感あふれる見せ場の連続だが、そのバリエーションの多さにも驚かされる。定番の格闘戦や銃撃戦にはじまって、採掘現場でエレベーターを使った死闘、未来カーのチェイスや手持ちドリルで巨大重機に立ち向かうなど実に多彩。
序盤ではスリムな女性と死闘を演じ、パンチやキックの応酬を受け押しまくられるユニークな姿も描かれた。未来都市やガラス張りの火星の居住区、異星人の巨大遺跡などシチュエーションも豊富で、スペクタクルも味わえる。

(C) 1990 Canal+ DA. Tous droits réservés.
過去を失ったクエイドの他、シュワルツェネッガーはこの日に備えて未来の自分あてにメッセージを残す過去の自分も演じている。戸惑いが隠せない現在のクエイドと、沈着冷静な過去の自分はその雰囲気が異なっている。ヒーローなら清く正しい正義の味方で、ヴィランだと平気で人を殺める憎々しげな殺人マシンと振り切った役柄が多いシュワルツェネッガーだが、本作ではどれが真の姿か見えない複雑なキャラクターを演じている。記憶が蘇ったクエイドと過去の彼の顔つきを比べてみると面白い。
本作も大ヒットしネームバリューを高めたシュワルツェネッガーは、翌1991年公開の『ターミネーター2』(1991年)でアクション・エンタテインメントのトップスターの座を獲得。その直前に製作された本作では、頂点へと駆け上る勢いあふれるシュワルツェネッガーの勇姿を味わってほしい。
文=神武団四郎
放送情報【スカパー!】
トータル・リコール(1990)
放送日時:2025年7月6日(土)12:00~
チャンネル:WOWOWプラス
※放送スケジュールは変更になる場合があります
こちら