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どこか影のある吉岡里帆から目が離せない、主演北川景子との共演も見どころの傑作ミステリー 連続ドラマW 湊かなえ「落日」

2025/08/28

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今秋から放映される岡山天音主演のNHKの夜ドラ「ひらやすみ」で不動産会社に勤務する"よもぎ"を演じる吉岡里帆。映画「正体」で第48回日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞を受賞した吉岡が主演を務めた北川景子と初共演、ミステリー作家・湊かなえの原作にチャレンジしたのが連続ドラマW 湊かなえ 「落日」だ。

メガホンをとったのは「ミッドナイトスワン」の内田英治。北川といえば主演ドラマ「あなたを奪ったその日から」の母親役の執念と鬼気迫る熱演が話題になったばかりだが、本作で演じたのは国際映画祭で賞をとった新進気鋭の映画監督、長谷部香。なかなか芽が出ない若き脚本家、甲斐真尋を吉岡が演じている。

物語は香が面識のない真尋に新作の脚本の相談を持ちかけることから展開。脚本家として大チャンスにも関わらず、映画の題材として自身が育った笹塚町で15年前に起きた一家殺害事件を使うと知って真尋の顔は曇っていく。"事件を映画にしなければならない"という使命感を持つ監督を演じる北川、そしてコンプレックスを抱えて生きてきたことを思わせる脚本家を演じる吉岡も影のある役どころだ。

吉岡里帆が不思議な雰囲気を纏った脚本家を熱演
吉岡里帆が不思議な雰囲気を纏った脚本家を熱演

(C)2023 WOWOW INC.

本作には黒木瞳、竹内涼真、久保史緒里(乃木坂46)、高橋光臣らが出演。4話完結のストーリーの多くを香と真尋のやりとりが占め、事件の闇と秘密にじわじわと引き込まれていく。ここでは吉岡が演じた脚本家の役に焦点を当ててみたい。

■不思議な雰囲気を纏った脚本家を吉岡が演じる

(C)2023 WOWOW INC.

有名脚本家、大畠凜子(黒木)の事務所に勤めている真尋はこれまでに書いた脚本が1本しか採用されていないため、プレッシャーをかけられている。

そんな中、香からの連絡に二人で会うことになるのだが、自分が唯一書いたドラマに出てくるロケ地が依頼の理由だったこともあり、怪訝な顔に。事件を映画にしたいと思いつめた顔で語る香にそっけない態度をとってしまう。脚本家として事件に関わった人たちの想いを知りたくないのかと問われ、「ありません」と即答する真尋。

では、なぜ彼女は脚本家という職業を選んだのか?吉岡が演じているのは視聴者にそんな疑問を抱かせる謎めいた女性だ。やがて、真尋は事件の犯人、立石力輝斗(竹内)の妹、沙良(久保)の同級生を従兄弟の神池正隆(高橋)から紹介され、殺された沙良の意外なもう一つの顔を知り、香にやはり脚本を書かせてほしいと頭を下げる。

(C)2023 WOWOW INC.

ゆるふわパーマをかけて帽子にパーカーというファッションの真尋は少女のような雰囲気を残しているタイプで地味でカッチリしている香とは見た目からして対照的。姉がピアニストで世界中を飛び回っていることが自慢だが、伏し目がちな真尋に香は小さな違和感を覚えるようになる。心を閉ざしてしまった女性を吉岡は視線や表情で細やかに表現している。

■想像を超える結末。北川と吉岡の緊張感溢れるやりとりに見応え

(C)2023 WOWOW INC.

死刑を間近に控えた力輝斗はなぜ、残虐な事件を起こしたのか?映画化のための取材をそれぞれが続けていく中、香が真尋の過去に立ち入る質問をし、力輝斗に肩入れしていると考えた真尋が香に突っかかる場面は北川と吉岡の緊迫感のある応酬が見応えたっぷりだ。

「知ることでその先に何があるんですか?」と問う真尋と「知らないと前に進めないから」と答える香。監督と脚本家を繋ぐ笹塚町での過去、そして力輝斗が決して語らなかった事件の動機が徐々に浮き彫りになっていく。構築された傑作ミステリーの行方を二人の演技と共に堪能してほしい。

文=山本弘子

放送情報【スカパー!】

連続ドラマW 湊かなえ「落日」(全4話)
放送日時:2025年9月14日(日)17:00~ほか
放送チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
北川景子、吉岡里帆、竹内涼真、黒木瞳、久保史緒里(乃木坂46)、真飛聖
※放送スケジュールは変更になる場合があります。

詳しくは
こちら

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