藤井聡太竜王に佐々木勇気八段が2年連続の激突、竜王戦七番勝負の展望はいかに!?

藤井聡太竜王に佐々木勇気八段が挑戦する第38期竜王戦七番勝負。年末を彩る将棋界最高の戦いは、2年連続で同じ顔合わせとなった。前期は互いに先手番を取り合う展開が続いたが、第6局で後手番の藤井が買って、4勝2敗での防衛となっている。
佐々木は前回の竜王戦が初のタイトル戦登場で、今年も挑戦権を獲得した。準決勝でタイトル戦常連の永瀬拓矢九段、挑戦者決定戦では竜王戦ドリームを目指した石田直裕六段を2連勝で破っている。
前期は初のタイトル戦、それも二日制七番勝負ながら、2勝をあげて接戦を演じた。経験を生かせる今回は、昨年よりもプラス要素があるだろう。大きな結果こそ竜王挑戦のみだが、安定した将棋で高勝率を重ねている。
過去の対戦成績は藤井が10勝、佐々木が4勝となっている。昨年の竜王戦以降では8月に将棋日本シリーズで対戦し、藤井が勝っているが早指し戦でもあり、二日制の前としてはあまり参考にならないだろう。昨年の七番勝負は佐々木が先後問わず様々な作戦を用意してきた。特に先手でも角換わり、矢倉、相掛かりと作戦を散らし、うまく主導権を握る展開が目立った。中でも第4局で見せた早繰り銀から腰掛け銀の組み換えは、秀逸なアイデアだった。

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昨年と異なる点は、藤井が2手目に△3四歩を指すようになったため、佐々木としても作戦を絞りにくくなったことだろう。事実、先述した将棋日本シリーズでは後手番の藤井が雁木を採用している。
昨年のシリーズでは佐々木がダイレクト向かい飛車を採用した将棋もあったが、基本的には横歩取りを除く相居飛車の将棋全般が中心となるだろう。藤井、佐々木、それに永瀬や伊藤匠叡王のタイトル戦は常に相居飛車の最先端と言える。
今回の藤井には5連覇、そして永世竜王の資格が掛かっている。竜王の永世は5連覇か通算7期なので、ここを逃すと少々遠のくため、落とせないシリーズだ。2年連続のカードとは言っても、それ以降の二日制七番勝負は永瀬九段の挑戦が続いていたため、新鮮な七番勝負だろう。
七番勝負は10月3、4日に東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」で開幕している。永世竜王か、初タイトルか、今年最後のタイトル戦にふさわしい注目のシリーズだ。果たして栄冠を手にするのはどちらになるか。昨年以上の白熱したシリーズとなることを期待したい。
文=渡部壮大
放送情報【スカパー!】
[生]第73期 王座戦 五番勝負 第5局 午前[藤井聡太登場] 藤井聡太王座 vs 伊藤匠叡王
放送日時:10月28日(火)8:45~
放送チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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