小芝風花が繊細な演技で体現した、感情を持たないモノの気持ちがわかる不思議な感性を持つ主人公の成長物語!ドラマ「モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~」
華のある容姿と繊細な演技で、観る者を惹き込む実力派女優・小芝風花。彼女を主演に据え、花や物と対話できる不思議な感性を持った女性の成長を描いた注目のドラマが、2021年に放送された「モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~」だ。
小芝が演じるのは、主人公の清水萌子美。幼い頃からぬいぐるみや花といった、感情がないとされる"モノ"の気持ちがわかる独特の感覚を持っている。だがそれ故に、他人から嘘つき呼ばわりされ、変わり者と思われてしまう。怒られたり、いじめられたりすることもあったため、萌子美は小学校5年の時に不登校となり、人ともほとんど接しなくなっていた。
(C)テレビ朝日・MMJ
本作は大人になった萌子美がさまざまな出会いや経験を経て、自分の道を歩み出すまでの過程を温かなタッチで描き出した物語。小芝の演技も冴えていて、人と違う感性を持った萌子美をどう演じたのか注目してみたい。
■萌子美が抱える"生きづらさ"を小芝風花が繊細な演技で体現
(C)テレビ朝日・MMJ
幼い頃の回想シーンが冒頭に流れた後、視点は現在の萌子美に移る。母・千華子(富田靖子)の勧めもあって、萌子美は工場で検品のバイトをしていた。銀色に光るネジを1つ1つチェックする何気ないシーンでも、どこか萌子美には人とは違う空気が感じられる。部品を"見る"というよりは、何かを"感じ取っている"ような雰囲気がある。実は"モノ"の気持ちがわかる萌子美は、目視ではなく、部品から滲み出る空気で不良品を見分けているのだが、そのため作業も早く、他のスタッフも一目置く存在となっていた。
しかしスタッフたちと会話することはほとんどなく、萌子美は黙々と作業を進める。休憩時間に1人でお弁当を食べたり、工場のガラスの様子がおかしいことに気づいても、うまくチーフに伝えられなかったり。そんなシーンの萌子美からは、人と接するのが苦手なことが伝わってくる。
言ってみれば萌子美は、他の人と違うことから生じる"生きづらさ"を背負ってしまったキャラクターであるのだが、小芝はそれをぎこちない口調や、心が抑制されているような視線の動き、また時折唇を噛んだりと、繊細かつ自然な演技で見事に体現している。
■変わっていく萌子美の表情の変化に惹かれる!気になる男性と距離が縮まるシーンも
(C)テレビ朝日・MMJ
母方の祖父・須田観(橋爪功)が同居することになってから、少しずつ萌子美を取り巻く環境が変わり、萌子美自身も変わっていく。気になっていた工場のガラスを兄の俊祐(工藤阿須加)と観が綺麗にした後には心の曇りが晴れたような笑顔になったり、バイトを辞めたいと言った時には、家族にあれこれ言われて視線を泳がせたりもする。萌子美はバイトを辞めた後、俊祐が父方の祖父から継いだ生花店で働くことになるが、アレンジメントを作るよう促され、丸くした目を輝かせたりと、さまざまな表情を見せるようになる。
そんな中での一番の変化は、フードデリバリーのアルバイトをしている岸田佑矢(加藤清史郎)との出会いだろう。祐矢が配達中に落としたイヤホンを偶然拾ったことで、萌子美は彼を意識するようになる。
(C)テレビ朝日・MMJ
初めて祐矢に声を掛けた時には、それまでの萌子美にはなかった、芯のある温かなものがじんわり滲んでいるように感じられる。セリフがないシーンでも、萌子美の内面や心の動きを鮮明に画面に映し出す小芝の演技は、さすがというほかないだろう。
果たして萌子美は、最後にどんな道を選び、どんな未来を歩むのだろうか。小芝が秀逸な演技で伝えてくる萌子美の心情や、表情の変化を楽しみながら、ぜひ、ラストまで見届けてほしい作品だ。
文=堀慎二郎
放送情報【スカパー!】
モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~
放送日時:2025年11月24日(月)16:00~
チャンネル:テレ朝チャンネル1(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
出演:小芝風花 工藤阿須加 加藤清史郎 水沢エレナ 内藤理沙 田辺誠一 富田靖子 橋爪功 ほか
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