高橋一生の可愛らしさが爆発！黒木華演じる・凪の不器用な元彼を好演した「凪のお暇」

コナリミサトの人気漫画を原作に、黒木華が人生の再生を図るOLを演じた、人生リセットストーリー「凪のお暇」(2019年)が放送される。このドラマはいつも他人の顔色をうかがい、周囲に合わせて何事もなく過ごすことを目標に生きる28歳のOL・大島凪(黒木)が、あるきっかけで仕事も住んでいたマンションも、付き合っていた彼氏も捨てて、幸せになるために人生の再生を始める物語。

彼女が新たに住み始めたアパートの隣人に中村倫也が扮し、他にも吉田羊、三田佳子など豪華なキャストが個性的なキャラクターを演じた話題作だ。その中で注目したいのが、ヒロインの凪にすべてを断捨離するきっかけを作る、元カレの我聞慎二を演じた高橋一生。

我聞は営業部のエースで相手が欲しい言葉、態度を瞬時に察することができる、仕事仲間の人気者。しかし付き合っている凪には、支配的かつモラハラを感じさせる態度でしか接することができない男でもある。その彼が仕事仲間に言った一言で、凪はブチギレ、すべてを捨てようとするのだ。

■クズ男と思いきやナイーブな一面もあるギャップある役は話題性も抜群だった

最初はクズ男のように登場するが、本心では凪のことを深く思っている我聞の不器用な内面を、高橋一生がナイーブに演じて見せた。ドラマでは、凪が自由人で誰に対しても優しい中村倫也のゴンと、凪を巡って恋の三角関係になるのだが、一度決別を言い渡された我聞が、凪との仲をどのように修復していくかも見どころの一つになる。

「凪のお暇」に出演したころの高橋一生は、総理大臣と大学生の息子の人格が入れ替わる「民王」(2015年)で演じたクールで毒舌家の総理の秘書・貝原茂平役で注目され、映画「シン・ゴジラ」(2016年)の巨災対のメンバー・安田役でも異彩を放った。そして2017年には松たか子と共演した「カルテット」や、大河ドラマ「おんな城主　直虎」の小野但馬守政次役、連続テレビ小説「わろてんか」の伊能栞役で一気に人気がブレイク。

2018年には一風変わった大学の動物行動学の講師を演じた「僕らは奇跡でできている」で連続ドラマに初主演し、以降も「みかづき」(2019年)、「東京独身男子」(2019年)と主演を重ねて、多くのファンを獲得したころ。

■高橋の演技力で難しい役柄を演じきった

それまで「おんな城主　直虎」のヒロインを命がけで守る熱い情熱を持つ武士をやれば、「カルテット」ではから揚げにレモンを絞ることを嫌う独特のセンスを持った人物も演じてきた彼だが、ここでは凪に一度拒絶されたことで、自分の態度が相手にどんな影響を及ぼすかに気付かされていく、周りのことはわかるが自分がわからない男を絶妙のバランスで演じている。彼はこの我聞役で第102回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の助演男優賞に輝いた。

その後蒼井優と共演した映画「ロマンスドール」(2020年)や「スパイの妻」(2020年)、孤高の天才漫画家を演じた『岸辺露伴は動かない』シリーズ(2020～25年)などで、演技派のポジションを確立していく彼の、ドラマにおける代表作の一つとして、ファンには見逃せない作品だ。

文＝金澤誠