ムロツヨシ&宮沢氷魚が語る「ドラフトキング」続編の深淵―戦力外、夢の終わり..."ボーダーライン"の向こう側を描く喜び
2023年に放送された、ムロツヨシ主演のドラマ「ドラフトキング」の続編となる連続ドラマW-30「ドラフトキング-BORDER LINE-」(WOWOWプライムほか)が、2026年5月15日(金)より放送・配信される。
プロ野球チーム・横浜ベイゴールズのスカウト・郷原眼力(ごうはら・オーラ/ムロツヨシ)が、並外れた『眼』で全国に埋もれた選手たちの才能を見出し、華やかなスポーツの裏側で繰り広げられるスカウトたちの活躍を描く作品だ。
ムロツヨシが郷原を、後輩スカウトで元プロ野球選手の神木良輔を宮沢氷魚が前作に引き続き演じる。そんな2人にインタビューを敢行し、現場での裏話から、強烈なキャラクター陣の見どころまで、今作の魅力を熱く語ってもらった。
――3年ぶりの続編となりましたが、お互いの変化は感じましたか?
ムロ「いや、3年ぶりという感じはあまりしていないですね。前作の時から続編をやりたいねとはお互いに話してもいたし、とてもスムーズに撮影に入れました」
宮沢「僕も3年という時間が全くブランクに感じなかったんですよね。ムロさんはじめ、共演者の皆さんやスタッフの方々ともついこの間まで撮っていて、また集まったような感覚でしたから。前作の時のチームワークがすごく良くて、本当に楽しく撮影できたので、その世界観がすぐに蘇った感じでした」
――今回の共演で改めて気づいた、お互いの魅力はありますか?
宮沢「本作は非常に多くのエキストラさんに協力をいただいていますが、暑い日や寒い日、強い風の中での撮影もあり、皆さん本当に大変だったはずです。でもムロさんが一生懸命に皆さんの士気を高める声掛けをしてくれて...。キャストもスタッフも、全員が現場に行きたくなるような、そんな楽しい現場作りに努めてくれました。現場でムロさんが大勢の人を救っている姿を間近に見て、本当に尊敬できますね」
ムロ「前作より神木との場面は少ないのですが、氷魚くんがまとっている優しい雰囲気が、僕には全くないものなので、うらやましい。自分のことをしっかりわかっていて、自分がやるべきことを常にやってくれる役者さんなので、共演者として本当に安心できます。これからどんな役者さんになっていくのか、共演した仲間としても、これから見届けていきたいなと思っています」

――今作の注目ポイントはいかかでしょうか?
ムロ「前作の時点で、日本のプロ野球に関心がない人に対しても、ドラマとして面白い作品を作れたという自信はありました。ドラフトの光と闇を描く中で、球団同士の駆け引きがあったり、選手と球団が相思相愛でも指名できない場合もあったりする...。選手の夢や人生を左右する重みがある世界観。それが1日に詰まっているドラフト会議の凄みを描いています」
宮沢「前作では、主に神木の成長を描いていましたが、今回は郷原を中心に、その周囲で動いていることがより鮮明になっていきます。そこも面白いですし、神木も成長し続けます。また、ベイゴールズを強くしたいというスカウト部の思いもより強く描かれていますし、さまざまな見どころを大いに楽しんでいただきたいです」
ムロ「あと、ドラフト会議の2巡目指名からウェーバー方式になるという、この大事な説明の場面を、下辺スカウト部長役のでんでんさんが担うという、まさかの展開がありまして...(笑)。本来なら神木の役割だと思うんですが...でんでんさんがやってしまうので、ここは間違いなく見どころだと思いますね(笑)」
――演技について前回と変えたところや、今回でより意識したことはありますか?
ムロ「前回の序盤は、郷原の人間性を視聴者に伝える脚本にもなっていて、それを踏まえて演じていました。今作では、そこは必要ないと思いますので、郷原の人柄を誇張するような、説明的にならないようには意識しましたね」
宮沢「前回同様ですが、本作の登場人物では、神木が一番視聴者の目線に近い人物になっています。選手や先輩スカウトに疑問を投げ掛け、トライアウトやプロテストについても『これって、やる意味あるんですか?』というセリフもあります。神木の目を通して、野球にあまり詳しくない視聴者の方が理解ができ、野球に詳しい人もより興味が深まっていきますので、そんな神木の役割を意識しながら演じています」
ムロ「郷原という人間は、手段を選ばない男でもありますが、常に選手ファーストです。戦力外選手の話を描いた第3話では、それが顕著に出ています。どんな一流スカウトでも、担当した全員が活躍できることはない。この回では、かつて自分が入団させた選手が戦力外を通告されます。トライアウトに向かう彼に対して、郷原がどう声を掛けるのか...そんな姿も描いています。郷原のより深い一面が見られるストーリーは、前作とはひと味違うと思うので、注目してほしいと思いますね」
宮沢「今回は、神木自身もスカウトとしてボーダーラインにいる。なかなか成果を上げられず、ある意味で崖っぷち...。ただ、崖っぷちに立っているからこそ、より燃えるんですね。この選手をなんとしても成功させたいと必死に頑張る。前作の時より成長し、スカウトとしてのプロ意識が芽生えた神木を見てもらいたいですね」

――副題でもある「ボーダーライン」について、どんな思いがありますか?
ムロ「プロ野球選手になれる人は『選ばれし者』だけ。それでも一軍で活躍できる選手は一握りかもしれません。しかし、ボーダーラインの向こう側にいる人たちにも人生があるわけです。今作では、そんな人たちを描いているところも魅力だと思います。トライアウトにしても、戦力外になった選手が踏ん切りをつける場でもある。夢をかなえる素晴らしさだけじゃない。そこを描くのが『ドラフトキング』の素晴らしさ。あらゆる視点を描くからこそ、僕たちも演じる喜びがあるし、この作品のカッコよさだと思っています」
――確かに、「ボーダーライン」には光と影の両面がありますね
ムロ「僕自身は演劇をやってきた人間ですが、ボーダーラインを越えずに演劇以外の道を選択した友人を思い出す...。ボーダーラインを超えた側と越えない側。あるいは、越えられるのを待つ人、越えるまで続ける人...。そんなさまざまな人生が描かれた作品なのです」
宮沢「いやあ、全部言ってくれましたね...(笑)。僕も18年間野球をやってきて、プロに進んだ先輩方も多いし、3年で戦力外になった先輩なども実際にいるし、好きな野球を続ける中で多くの苦しみがあり、家族や友人に支えらながら夢を追い続けている姿もよく知っています。ただ、みなさんに共通するのは『野球が大好き』だということ。自分の限界というボーダーラインを突破することも、この物語の見どころだと思います」


――個性的な選手、スカウトたちが登場するシリーズですが、今作の登場人物の中で、特に注目すべきキャラクターを教えてください
ムロ「前作から引き続いての登場となる北畠翔(木戸大聖)に関しては、高校野球をドロップアウトしてからの再起を目指していて、まずはポイントになる一人。あとは天性の身体能力を誇る外野手・柳川大也(佐藤寛太)。まさにボーダーライン上にいる彼ら2人が、わずかな可能性に賭けて懸命に努力する姿が後半の核になっていきます。さらに、戦力外となってプロの道を断念し、社会人で野球を続ける選手の話も。あとは、でんでんさんにもぜひ注目してもらって...ハイ(笑)。あ、忘れちゃいけない! 片岡鶴太郎さんも! 選手育成に長けた名監督・千葉を演じていまして、非常に強烈ですから」
宮沢「僕は社会人の万田自動車の捕手・速水勇悟(深澤冠太)一択です。スカウトとして神木がこの選手を担当するので、思い入れが人一倍強いですから」
――そんな個性的な選手たちも楽しみですが、2人が実際に好きだった野球選手のタイプは?
宮沢「僕は子供の頃から『ドカベン』を愛読していて、悪球打ちの『岩鬼』みたいに欠点はあっても飛び抜けたものを持つ選手に魅力を感じます。曲者タイプのスペシャリストが好きで、特に元横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)の金城龍彦選手のファンでした。あのオープンスタンスの独特な打撃フォームが印象的に残っています」
ムロ「僕が野球で最初に守ったのがセカンドだったので、どうしてもセカンドに目がいってしまいます。昔、大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)のファンになって、高木豊選手の大ファンでした。今なら牧秀悟選手です! サードやショートのほうが華やかなイメージはありますが、どうしてもセカンドを見てしまいます。ただ『ドラフトキング』に出演した影響もあって、ついスカウト目線で野球を見てしまうことはありますね(笑)」

撮影=中川容邦 取材・文=渡辺敏樹
スタイリスト=森川雅代(ムロツヨシ)、末廣昂大(宮沢氷魚)
ヘアメーク=池田真希(ムロツヨシ)、石川ユウキ(宮沢氷魚)
衣装協力=イレニサ(宮沢氷魚)
放送情報【スカパー!】
連続ドラマW-30「ドラフトキング-BORDER LINE-」※全10話
放送日時: 2026年5月15日(金)23:00~ ※毎週(金)23:00放送 ※第1話無料放送
チャンネル: WOWOWプライム(スカパー!)ほか
原作=『ドラフトキング』クロマツテツロウ(集英社「グランドジャンプ」連載中)
出演=ムロツヨシ 宮沢氷魚 三浦貴大 平山祐介 藤間爽子 川久保拓司 阪田マサノブ/上地雄輔 伊武雅刀/でんでん
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