長澤まさみが的確な心情表現で魅せる、自由奔放な北斎の娘・お栄――永瀬正敏との共演で絵師親子の絆を描いた「おーい、応為」
今年11月に公開予定の映画「このごにおよんで愛など」で主演を務める俳優・長澤まさみ。是枝裕和監督や西川美和監督の監督助手を務めた経験もある新鋭・広瀬奈々子監督による2本目のオリジナル長編映画となる同作。柄本佑、石橋静河とともに、一筋縄ではいかない"多様な愛"の物語を描き出す。
最新主演作にも期待の集まる長澤。12歳で芸能界入りして以降。幅広い役柄を演じてキャリアを重ねてきたが、2025年には時代劇映画の初主演も果たした。それが世界でも名を知られる浮世絵師である葛飾北斎の娘・お栄を演じた「おーい、応為」だ。
「おーい、応為」高橋海人(※「高」は正しくは「はしご高」)のインタビューはこちら
葛飾北斎の娘・お栄(長澤)は、とある絵師のもとに嫁いだものの、かっこうばかりの夫の絵を非難したことが原因で離縁することに。嫁ぎ先を出ることになったお栄は北斎(永瀬正敏)のもとへ出戻るが、北斎からは邪魔者扱い。気にも留めないお栄は、絵が散乱して足の踏み場もない古びた長屋で北斎との二人暮らしを始める。北斎の門下生で美人画の天才・善次郎(高橋海人※「高」は正しくは「はしご高」)との友情や兄弟子・初五郎(大谷亮平)への淡い恋心、愛犬・さくらとの出会い...そんな日常の中でお栄は絵の才を発揮し始め、北斎から「葛飾応為」の名を与えられ、浮世絵師として腕を上げていく...。
(C)2025「おーい、応為」製作委員会
「日日是好日」などで知られる大森立嗣が脚本・監督を担当した同作。長澤とは2020年の「MOTHER マザー」以来のタッグとなった。
長澤が演じているのは、北斎の娘で後に葛飾応為の名を授かる、お栄。彼女の怒鳴り声が響く、冒頭のシーン。夫の下手な絵を見て苛立ちを募らせたお栄は、啖呵を切り、威勢よく家を飛び出していく。カラッとした佇まいの長澤は、お栄が男勝りでかっこいい女性だと一瞬で印象付ける。
その後、北斎が暮らす家に出戻ってからも、彼女の自由奔放さは際立つ。元夫の文句を言いながら煙草をふかし、北斎に邪魔者扱いされながらも「しばらく厄介になる」と言って床にごろんと寝転がる。火事を見ることが好きで、朝まで見物しては煤だらけの顔で明け方の道を歩いたり、北斎に反対されながらも犬を飼いだしたりと、うらやましいほどに気ままだ。しかし、そんなお栄も好意を抱く初五郎の前では少女のような表情を見せ、北斎と言い合いになった時には怒りをあらわにすることも。芯が強いようで脆さもあり、荒々しいようで優しくもある。お栄の入り組んだ内面を表現する長澤の演技が見事だ。
一方の北斎は、出戻って来た娘に優しい言葉をかけるでも歓迎するでもなく、無骨な態度をとる。それに負けじと言い返すお栄とは似たもの親子だ。北斎は絵に夢中になるあまりお栄をしかりつけたり、こき使ったりもする反面、彼女に絵の才を見出し、その技術はしっかりと認めている。師弟でもある2人はいわゆる親子の関係とは少し違うのかもしれないが、互いへの確かな情と尊敬を感じられる。そんな親子の関係性を、永瀬と長澤は緻密に映し出している。
特に、晩年にかけての北斎を演じている時の永瀬の演技は圧巻だ。メイクによる見た目の変化ももちろんあるのだが、年老いて少しずつ体が小さくなり仙人のような風貌になっていく過程、そしてそれでもなお、北斎の中に燃え続けている絵画への熱を体現している。老境の北斎とそれを支えようとするお栄を映すシーンでの、永瀬と長澤の演技の応酬も迫力がある。
(C)2025「おーい、応為」製作委員会
お栄と姉弟のような友情を築く善次郎を飄々と演じた高橋など、魅力的なキャスト陣によって、芸術に魂を捧げた絵師たちの生きざまが描かれた作品だ。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
おーい、応為
放送日時:2026年7月23日(木)14:20~、8月7日(金)16:30~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
出演:長澤まさみ 高橋海人 大谷亮平 篠井英介 奥野瑛太 寺島しのぶ 永瀬正敏
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