小林薫が醸し出す"近すぎず遠すぎない距離感"...名優の"いぶし銀"な芝居が光る「深夜食堂 5」
1977年「はなれ瞽女おりん」で映画デビューして以降、長年にわたり映画、ドラマ、舞台で俳優として活躍する小林薫。NHK連続テレビ小説「虎に翼」(2024年)では、主人公を弁護士の道に誘った穂高重親役を好演するなど、物語を支える重要な役どころを演じてきた。
そんな小林が2009年から出演し続けている作品が「深夜食堂」シリーズだ。繁華街の路地裏にある小さな食堂の店主で、やってくる客の人間模様を優しく見守るマスターを長年務めている。その第5弾となる「深夜食堂 5」(2019年)でも、マスターとしての小林の魅力が存分に発揮されている。
©2019 安倍夜郎・小学館/「深夜食堂 -Tokyo Stories Season2-」製作委員会
安倍夜郎の人気コミックを原作とする本シリーズの舞台は、深夜0時から朝7時頃までひっそりと暖簾を掲げる「めしや」。常連客からは「深夜食堂」と呼ばれている店だ。メニューには酒と豚汁定食しかないが、材料さえあれば、マスターが客の注文に応じていろいろな料理を作ってくれる。
本作にも、チキンライスやささみチーズかつ、焼きそばパンなど、どこか懐かしさを感じさせる料理が登場。そうした一品をきっかけに、客が自身の過去や思いを語り、物語が進んでいく。何気ない料理でも、誰かにとって忘れられない記憶につながっている――。そんな日常の機微を感じられることが「深夜食堂」の魅力である。
©2019 安倍夜郎・小学館/「深夜食堂 -Tokyo Stories Season2-」製作委員会
マスターを演じている小林薫は、過度に感情を表に出さない飾らない演技が印象的だ。とりわけ、料理を作りながら客の話を聞く場面では、小林の細やかな所作が光る。相手の言葉に無理に反応することなく、その落ち着いた佇まいや言葉を返す際の絶妙な間などによって客との距離感を丁寧に伝えている。
大きな身振りや表情で感情を説明するのではなく、自然な立ち居振る舞いで相手の言葉を受け止める。そうした抑制の利いた芝居は、マスターの存在感を前面に出すことなく、客たちが紡ぐ物語を密かに引き立てている。
また、本作には、不破万作、綾田俊樹、松重豊ら「めしや」の常連客を演じるキャスト陣も出演。彼らがカウンターに集まり、料理を食べながら何気ない会話を楽しむ姿は、お店が長年愛され続ける場所であることを感じさせる。
©2019 安倍夜郎・小学館/「深夜食堂 -Tokyo Stories Season2-」製作委員会
「めしや」に集まる客の人生に、料理や短いやり取りを通してそっと寄り添うマスターの人柄を、小林は丁寧な芝居の積み重ねによって、説得力をもって演じている。今秋に新シリーズ「深夜食堂 6」の放送を控える中、「深夜食堂 5」で描かれるさまざまな人間模様とともに、小林薫が長年かけて作り上げてきたマスター、そして「めしや」の心地良い雰囲気を味わっておくと良いだろう。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
深夜食堂 5
放送日時:10月9日(金)22:55~ ほか
チャンネル:ファミリー劇場(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
出演:小林薫 不破万作 綾田俊樹 安藤玉恵 松重豊 余貴美子 オダギリジョー ほか
こちら