天海祐希が演じる鬼教師に志田未来ら小学生が立ち向かうドラマ「女王の教室」

2005年7月から9月にかけて、「この物語は、悪魔のような鬼教師に、小学6年の子供たちが戦いを挑んだ一年間の記録」というナレーションからはじまる1本の連続ドラマが放送された。「GTO」「さとうきび畑の唄」など数々のヒット作を生み出した脚本家・遊川和彦が、プロデューサーたちと「現代の学校教育にもの申すドラマを作ろう」という思いで作りあげたドラマ「女王の教室」がそれである。

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天海祐希演じる阿久津真矢の鬼教師ぶりが話題を集めた本作だが、当時の新聞に掲載された大平太プロデューサーのインタビューによると、企画を練り上げる段階では、壺井栄の名作「二十四の瞳」の大石先生のような優しい先生を描こうという案もあったという。だがちょうどその頃に、親戚から現実の小学校の事なかれ主義ともいうべき学校の現状を聞きおよぶこととなり、自己反省も込めて「厳しい教師」を描くことにしたのだという。

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物語は、神田和美(志田未来)が通う半崎小学校の6年3組に、阿久津真矢(天海祐希)という新任の教師がやってくるところから始まる。冷酷で笑顔を見せない真矢は「いい加減に目覚めなさい」と生徒に厳しく言い放ち、現代社会の厳しい現実を突きつける。さらに日々のテストの成績で生徒を差別し、教え子たちの秘密を握り、親まで手なずける......。まさに冷酷で悪魔のような鬼教師だった!

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そんな真矢の"恐怖の支配"は日に日にエスカレートしていき、罰におびえてビクビクしていた生徒たちの心はどんどんバラバラになっていく。だが「みんなで仲良く学校生活を送りたい」という主人公・和美の思いが少しずつ伝播。クラスの24人の生徒たちは次第にひとつにまとまり、やがて鬼教師の真矢に敢然と立ち向かうようになる......。
元宝塚歌劇団月組トップスターとして絶大なる人気を誇った天海は、宝塚退団後はドラマ、映画などに活躍の場を広げ、ドラマ「離婚弁護士」「ラストプレゼント」といった話題作にも出演するなど、好感度も高かった。そんな当時の天海にとって、氷のような表情で子どもたちを追い詰める阿久津真矢という鬼教師は「これまでとはタイプの違う、なかなかできない役」だと感じたという。それだけに周囲では、お茶の間を敵にまわしかねない役どころに心配する声もあったというが、天海本人の意志はぶれることなく、覚悟を持って真矢役に挑んだという。

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だが番組が放送されるや、放送局の番組ホームページには、通常のドラマのおよそ4倍近い量となる、1万件以上ものコメントが寄せられた。さらには視聴者からの電話も初回から放送局に殺到するなど、その反響は予想以上だった。その内容も、当初は「教師のいじめがヒドすぎる」「気分が悪くなる」「放送を打ち切ってほしい」といった非難の声が多かったという。だが脚本の遊川、プロデューサーらは「覚悟を決めよう。こちらに信念があれば大丈夫」との思いで、その非難の嵐に立ち向かった。
その一方で「このドラマは大切なことをわれわれに教えてくれている」といった意見もぶつけられるなど、ドラマをめぐっては賛否両論だったが、次第にドラマに賛同する意見も増えてきたという。そして最終回を迎える頃までには、視聴者の大きな関心を呼ぶドラマとなり、放送終了後にコメント欄が閉鎖されるまで、のべで10数万件近いコメントが寄せられたという。
物語が進むにしたがって和美たちは、真矢の厳しさの裏にあるものを少しずつ感じ取るようになる。特に10話で「なぜ勉強をしなくてはいけないんですか?」という質問をされた真矢の答えは圧巻だ。その手法は賛否両論あるが、それでも真矢の授業を通して、自信とたくましさを身につけるようになる生徒たちの姿は非常に頼もしい。ちなみに志田未来、福田麻由子、伊藤沙莉といった、現在も活躍する女優陣も出演しており、彼女たちの子役時代の姿を見ることができる作品としても貴重である。
文=壬生智裕
放送情報【スカパー!】
女王の教室
放送日時:2022年6月25日(土)18:30~
チャンネル:ホームドラマチャンネル 韓流・時代劇・国内ドラマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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