「シークレット・ガーデン」から10数年...40代となった今も美しいキム・サランの強気なヒロイン像

「愛の不時着」(2019年)から遡ること10年、ヒョンビンの兵役前最後の作品としても話題を呼び、今も韓流ドラマファンに愛され続ける大ヒットドラマ「シークレット・ガーデン」(2010年)。ヒョンビン演じる"オレ様CEO"とハ・ジウォン演じるスタントウーマンが織り成す恋愛模様が人気を集めた本作で、もう1人のヒロインとして存在感を放っていたのが、CM監督ユン・スル役のキム・サランだ。

44歳となった今もその美貌は健在で、女性チャンネル♪LaLa TVで9月4日(日)より放送される主演ドラマ「復讐せよ～あなたの恨み晴らします～」(2021年)でも、見る者を圧倒する迫力のヒロインを演じている。

今や主役級スターとなったイ・ジョンソクやユ・インナらも出演していた人気作「シークレット・ガーデン」において、CM監督として成功を収めるユン・スルは、ヒョンビン演じるジュウォンの従兄で韓流スターのオスカー(ユン・サンヒョン)の元恋人。

演じるサランは、2000年のミスコリア大会の"真(グランプリ)"に選ばれるほどの美貌の持ち主で、「シークレット・ガーデン」でもそのゴージャスなビジュアルを活かし、自信満々でプライドの高いお嬢様を熱演した。オスカーを見返すためにジュウォンに接近するなど、強かな振る舞いは向かうところ敵なしといった様相だ。

そんな彼女が、世間の憧れを一身に集める美容系インフルエンサー役を演じたのが「復讐せよ～あなたの恨み晴らします～」だ。仕組まれた不倫スキャンダルによって、一夜にして人気が転落したヘラ(サラン)が、復讐の代行者へと変貌していくサスペンス。

六本木に舞台を移した日本版「六本木クラス」が制作・放送されるなど、日本でも反響を呼んだ大ヒットドラマ「梨泰院クラス」(2020年)の演出家カン・ミングが手掛けていることでも話題を集めた。

国民的な司会者・フンソク(チョン・ウク)と結婚し、インフルエンサーとして順風満帆な毎日を過ごしていたヘラは、ある日突然、身に覚えのない不倫スキャンダルで名声を一気に失ってしまう。だが、そのスキャンダルはほかでもないフンソクが仕組んだものだった。

そんな折、救いの手を差し伸べた弁護士ミンジュン(ユン・ヒョンミン)と手を結ぶことを決めたヘラは、自らフンソクとその背後にある権力への復讐を誓う。また、弁護の見返りにミンジュンから依頼された復讐の代行も始めるが、その様々な復讐の裏には、ある大きな陰謀が隠されていて――というストーリーが繰り広げられる。

冒頭、お肌をお手入れする様子を生配信するヘラは、顔こそフェイスパックで隠しているものの、雰囲気からして抜群のカリスマ性を漂わせる。サイン会での神々しいまでの笑顔といい、"愛(サラン)"を名に持つ自身の魅力がそのまま溢れ出た"愛され力"に圧倒される。

だが配信後、ヘラがフェイスパックをはがすとその下には、夫・フンソクのDVでできたアザがくっきり...。配信中にはキラキラと輝いていた瞳は、怒りとも諦めとも取れる沈んだ色に変わり、見ているだけで背筋が寒くなる。この強烈な二面性こそが、復讐の鬼と化すヘラの最大の魅力だ。

バッシングに晒され、どんなに窮地に陥っても、怒りの炎を絶やさず、優秀な探偵で友人でもあるウネ(ユン・ソイ)の力を借り、権力に立ち向かっていくヘラ。"やられたらやり返す"とばかりに、一つのエピソードごとにきっちりターゲットを社会的に抹殺していく展開は爽快の一言だ。

「シークレット・ガーデン」から10数年が経つ今も、変わらない美貌もさることながら、自身の存在価値を賭けて、どん底から這い上がっていくヘラの強かさには、つい惹き込まれてしまう。容赦のない反撃は、壮絶ではあるが、見ていて病みつきになること間違いなしだ。

文＝酒寄美智子