永山瑛太&上野樹里のフレッシュな演技!『四畳半タイムマシンブルース』で再注目の青春SF映画

アニメーション映画『四畳半タイムマシンブルース』が9月14日から先行配信、9月30日(金)から3週間限定で全国公開される。2010年のTVアニメ版も人気を博した森見登美彦による傑作小説「四畳半神話大系」の登場人物が、劇団"ヨーロッパ企画"の上田誠による青春SF戯曲「サマータイムマシン・ブルース」の世界で右往左往する...という物語。まさしく"悪魔的融合"を果たしたこの作品によって、2005年の実写映画『サマータイムマシン・ブルース』も再び注目を集めている。

(C) 2005 ROBOT/ショウゲート/博報堂DYメディアパートナーズ/IMAGICA
ヨーロッパ企画で何度も舞台化されたヒット作を映画化した『サマータイムマシン・ブルース』。物語の舞台は地方大学のSF研究会。冴えない男子学生5人組は夏休みをだらだらと過ごしていたが、部室に備え付けられたエアコンのリモコンを壊してしまう。翌日、部室にはタイムマシンらしい不思議な機械が鎮座していた。半信半疑の冗談半分で「壊れる前のリモコンを取ってこい」と仲間の一人を"昨日"へ送り出す。しかし、「過去を変えたらすべてが消えてしまう」ということの重大さに気づき、彼らは全てを元に戻して"今日"に戻って来るために、昨日と今日を右往左往する。
「踊る大捜査線」シリーズなどで知られる日本を代表するヒットメーカー・本広克行が、当時、新鋭と呼ばれたヨーロッパ企画の同名舞台に惚れ込み、映画を初プロデュースした。劇団の脚本を手がける上田誠により、伏線を見事に回収する構成でスピード感のある会話が飛び交うストーリーが展開していく。

(C) 2005 ROBOT/ショウゲート/博報堂DYメディアパートナーズ/IMAGICA
主演を務めたのは「WATER BOYS」(2003年)や「オレンジデイズ」(2004年)など、当時の若手注目株だった瑛太(永山瑛太)。映画初主演となる本作で、草野球に興じ銭湯で馬鹿騒ぎするなど、モラトリアムを満喫する等身大の大学生・甲本をイキイキと演じている。甲本はおバカな仲間たちが次々と巻き起こすトラブルに対処。必死に走り回ったり、謎のマスコット像を運んだり...と、真剣な顔でコミカルな演技を見せた。そんな中で淡い恋心を抱く柴田へ向ける表情には切なさも漂わせている。ぎこちない微笑みも含め絶妙に垢抜けない大学生を見事に体現した。
ヒロインには2003年の連続テレビ小説『てるてる家族』や『ジョゼと虎と魚たち』(2003年)などで注目され、『スウィングガールズ』(2004年)で各新人賞を受賞した上野樹里が抜擢された。少し天然な柴田を爽やかに演じているが、甲本の視点から映し出される柴田は透明感満点だ。全容がいまいち分かっていない感じも可愛らしく、その天然ぶりに振り回されてしまう気持ちも分かる。映画の誘いを断る一瞬の切ない表情にも惹きつけられてしまうはずだ。
当時すでに頭角を現していた瑛太と上野のほかにも、真木よう子、ムロツヨシ、佐々木蔵之介など実力派たちが出演。大量に伏線が張られた昨日と今日をひたすら往復するストーリーだけでなく、細かなキャストの動きも見逃せない。
瑛太と上野は、「のだめカンタービレ」(2006年)や「ラスト・フレンズ」(2008年)でも再共演するなど、後々も相性の良さを発揮しているが、何度も見返したくなるこの青春SF映画で2人が見せた初々しいフレッシュさは、今改めて新鮮に映るはずだ。
文=中川菜都美
放送情報【スカパー!】
サマータイムマシン・ブルース
放送日時:2022年10月15日(土)14:25~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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