竹野内豊が演じたハマり役"異分子裁判官"!黒木華や新田真剣佑との共演が楽しい「イチケイのカラス」

フジテレビ月9枠の得意ジャンルである"お仕事チームもの"。木村拓哉が型破りな検事を演じた「HERO」シリーズ以来、医師、刑事、弁護士という3大人気職業はもちろん、さまざまな職業に就いている主人公が登場してきた。
2021年放送のヒット作「イチケイのカラス」は、検事でも弁護士でもなく、裁判所の裁判官が主人公。竹野内豊が演じる入間みちおは、東京地裁第3支部第1刑事部、通称イチケイに所属する刑事裁判官だ。

もともとは弁護士で、12年前、現在の上司である駒沢部長裁判官(小日向文世)にスカウトされたみちお。他の裁判官が検察から上がってくるたくさんの案件をこなすことばかり考えている中、納得できないことがあるとすぐに「職権を発動します!」と宣言して、裁判所主導の再捜査を始めてしまう。イチケイに異動してきた東大法学部卒のエリート裁判官・坂間(黒木華)は、常識破りなみちおのやり方に驚き、これでは部署に課せられたタスクをこなせないと猛反発するが、あくまで一般人の被疑者や被害者の目線に立って真実を明らかにしようとする彼の態度に、司法に携わる者として最も大切なことを思い出すのだ。

みちおが裁判官になったのは、12年前に殺人罪で起訴された会社員を無罪だとして弁護したものの、裁判で無期懲役の判決が出て、彼が自殺してしまったという過去があるから。駒沢や、坂間の同郷の先輩である最高裁の日高判事(草刈民代)が担当したその裁判が見直されることになり、物語の大きな転換点になっていく。

竹野内はそんなみちおを緩急自在な芝居で好演している。裁判官なのにひげを生やしてスーツは着ず、オフィスにはふるさと納税の返礼品をズラリと並べるという変人ぶりで、出世ばかりを考えている公務員の中でかなりの異分子ぶりを発揮。坂間たちと話すときも、人を食ったような物言いで冗談ばかり言っている。

しかし、何かを隠したり嘘をついたりしている人に対しては、静かな口調だがまっすぐな目線で正義を成すべきだと訴える。そんなみちおだからファンも多く、元・傍聴オタクで裁判官書記官の石倉(新田真剣佑)も、みちおに振り回されつつも彼を慕い、サポートし続けるのだ。

今でこそ"イケオジ"の代表のような竹野内だが、20代の頃はソフトなイメージの青年の役が多く、「ビーチボーイズ」(1997年フジテレビ系)などでイケメンの代表格となり、30代に入ってからは「ヤンキー母校に帰る」(2003年TBS系)などがターニングポイントになって、ややワイルドなイメージに。40代に入ると「素敵な選TAXI」(2014年フジテレビ系 関西テレビ制作)で茶目っ気を全開にした。チャーミングな男性として知られ、50代に入っても役柄の幅を広げている、とても良い年齢の重ね方をしている俳優だといえるだろう。このみちお役は「古畑任三郎」シリーズの古畑にも近いキャラクターで、竹野内はポスト田村正和とも言える存在になってきている。
2023年には劇場版も公開される「イチケイのカラス」。未見の人は11月2日(水)からフジテレビTWOで連日放送されるので、今のうちにチェックしておきたい。キャスティングセンスが良く、黒木華がおでこ全開の髪型で実は人情に厚い優等生を演じ、新田真剣佑は美形だけれど欲がなく、坂間を女性として意識しながらも強くアピールできない石倉役にハマった。野球の得意な井出検事を演じた山崎育三郎もコミカルで、絶妙なアクセントになっている。
文=小田慶子
放送情報【スカパー!】
イチケイのカラス
放送日時:2022年11月2日(水)12:10~
チャンネル:フジテレビTWO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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