眞栄田郷敦&渡邉美穂が「星になりたかった君と」で魅せた、口より雄弁に語る目の芝居

デビュー後、数々の話題作に出演し、俳優の道を着実に進んでいる眞栄田郷敦。一方、日向坂46のグループ活動中に演技力の高さが見つかり、卒業後は女優としての将来が期待される渡邉美穂。これからの俳優界をけん引する存在になるであろう両者が初めて共演した作品がドラマ「星になりたかった君と」だ。
同作品は、第1回令和小説大賞を受賞した遊歩新夢の同名小説を原案に、天文学者を志望するも進路や人生で悩み大学を休学している青年と、心臓を患い余命幾ばくもない女性が織り成す恋模様を描いたラブファンタジー。関東一帯でたびたび大規模な通信障害が起こる中、大学を休学しプラネタリウムでアルバイトしている秀星(眞栄田)と心臓を患い闘病生活を送っている大学生・那沙(渡邉)は、それぞれ他人には心を開くことなく星に魅せられていた。ある日、同じプラネタリウムを見に来ていたことから2人の運命は交錯していく、というストーリー。眞栄田は地上波ドラマ初主演、渡邉は地上波ドラマで初ヒロインを務めた。

(C)NTV
この作品は、パラレルワールドの存在に触れたファンタジックな世界観の中で、秀星と那沙によるラブストーリーが紡がれていくのだが、2人は粗削りながらも観る者を惹きつける演技を披露している。中でも、特筆すべきは2人の目の芝居だろう。
人生に悩んでいる秀星、病気に苦しんでいる那沙。同じ"苦悩"でも"未来を見据えた不安"と"未来が見えない不安"という対極の"苦悩"を持つ2人が、"苦悩"という共通項により惹かれ合うという展開は切なさに胸が締め付けられるのだが、それを成立させているのは2人の芝居にほかならない。前後編合わせて1時間という短い尺の中でファンタジーを描きながら、急ピッチで惹かれ合う2人の心情の変化も描いているのだが、2人の繊細な芝居が"時間的な無理やりさ"を感じさせない。役柄的にも口数は決して多くはないのだが、感情が十二分に伝わるのは、2人が「目は口程に物を言う」を体現しているからだ。

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他人に心を開かない理由と葛藤、出会った時の戸惑い、本心を語れない苦しさやもどかしさ、相手の言葉に感じたときめき、思わず溢れてしまう不安といら立ち...といったさまざま感情を、伏し目、まばたき、目線を逸らす、見上げる、見下ろす、流し目などで表現。全ての感情に視線の動きを付けることで、口数は少ないながらその時の心情を雄弁に語る芝居を披露している。
これほど細かく分析した芝居に言及してしまうと物語の"楽しみ"を損なってしまうかもしれないが、この視点から2人の芝居を観ると、どれだけのポテンシャルを秘めた俳優であるかが分かっていただけるだろう。ぜひ、初見で作品を楽しんでいただいた後、2人の目の芝居に着目した2回目の視聴をお薦めしたい!
文=原田健
放送情報【スカパー!】
星になりたかった君と
放送日時:2022年11月3日(木)21:30~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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