「梨泰院クラス」の悪役とは真逆！どこまでも謙虚で誠実なアン・ボヒョンが見せた好感度抜群のトーク

9月29日に最終回を迎えた竹内涼真主演ドラマ「六本木クラス」。最終回までもつれこんだ主人公・宮部新(竹内)と長屋グループの長男・龍河(早乙女太一)との因縁が注目を集めたが、その韓国オリジナル版「梨泰院クラス」でも、長家(チャンガ)グループの跡取り息子・グンウォンを演じたアン・ボヒョンの怪演は大いに話題を呼んだ。

その人気ぶりは日本にも広く波及しており、9月17日には初の来日が実現。10月26日(水)より日本初放送される、待望の初主演ドラマ「軍検事ドーベルマン」の上陸に先駆け、日本のファンを前にトークショーを行った。

「軍検事ドーベルマン」は、韓国でタブー視されてきた"軍法廷"を題材にした痛快かつスタイリッシュなアクション・ドラマ。"嚙みついたら離さない"猟犬のドーベルマンのような軍検事ド・ベマン(ボヒョン)が、チャ・ウイン(チョ・ボア)と共に軍の腐敗に斬り込んでいく。

そんな同作のトークショーで垣間見えたのは、野心に満ちたベマンとは見事なまでに対照的な謙虚でチャーミングなボヒョン自身の素の人柄だ。

その魅力は、トークショー冒頭から炸裂。期待に胸膨らませる観客の前に、ソロ～リと姿を現したボヒョン。大歓声に驚きを隠せない様子で、ドギマギしながらも可愛らしく照れ笑いを浮かべたり、おそるおそる手を振ってみたり...。堂々としたベマンと同一人物とは思えない等身大のリアクションを見せ、詰めかけたファンをとろけさせた。

トークショーでの誠実な受け答えも好感度抜群。「ドラマ『太陽の末裔 Love Under The Sun』(2016年)で軍服を着たんですが、もう一度カッコイイ軍服を着て軍隊もののドラマをやってみたい、皆さんにもう一度男らしさを見せたいと思いました」と、ベマン役を引き受けた経緯を語ったボヒョン。

司会者から「筋肉質で足も長くてカッコイイ！」とべた褒めされると、照れ笑いを浮かべながら日本語で「いえいえ...(笑)。ありがとうございます」とつぶやくなど、何気ない反応の1つ1つに謙虚な人柄がにじみ出る。

一方で、アクションシーンの話題では、真剣な"仕事"の顔に。「身長が大きいので代役(スタント)を探すのが難しかった」と、代役なしで挑んだアクションの背景も明かしつつ、「僕自身、中学時代からボクシングをやっていたので、拳(パンチ)を使うシーンが多かった。過去にもご一緒したことがあるアクション監督さんだったので『君に任せるから、やりたいようにやってごらん』と提案していただくこともありました」と振り返った。

トークショー中盤、司会者から「ご自身は"ベマン"と似ているところはあると思いますか？」と尋ねられると、「50％以上は似ていると思います」と答えて会場を沸かせたボヒョン。

実際、軍検事として非凡な才能を発揮するベマンさながら、クレバーな魅力を覗かせる場面も。それは、キム・ゴウンと共演した「ユミの細胞たち」(2021年)や、ハン・ソヒと共演した「マイネーム：偽りと復讐」(2021年)など、「梨泰院クラス」以降も大ヒットドラマへの出演が続くボヒョンが、自身の"作品選び"について言及した時だ。

「ボヒョンさんも、ベマンと同じように勘が鋭い？」の質問に、「全ての面において僕は勘が良いと思います」ときっぱりと名言し、「今まで出演した全ての作品がうまくいっていると思うんですが、それらの作品には『必ず自分が出るべきだ、やるべきだ』とピンとくるものがあるんです。特に『梨泰院クラス』の時はそうでした」と、自身の"勘が鋭い"理由も鮮やかに説明してみせた。この発言には、今の人気ぶりも納得の、俳優としてのプライドや覚悟が垣間見えた気がした。

集まったファンからの質問にも気さくに答え、ファンと交流する微笑ましい姿も見せてくれたボヒョン。初のトークショーからは、アクの強い悪役から人気女優とのロマンスまで、作品ごとに多彩な表情を見せる"俳優の顔"とはまた違った、チャーミングな素顔に溢れていた。

文＝酒寄美智子