これぞ男神！チャオ・ルースーとの「結婚初夜のキス」が注目を集めたヤン・ヤンの武侠劇「且試天下」が反響を呼ぶワケ

中国の"顔面国宝"と言えば必ず名前が挙がる「瓔珞～紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃～」(2018年)のシュー・カイや「陳情令」(2018年)のシャオ・ジャン、「流星花園2018」(2018年)のワン・ホーディーといったイケメン俳優たち。中でも"眉目秀麗"という言葉が最もハマる正統派美男子は、「シンデレラはオンライン中！」(2016年)の"男神"ヤン・ヤンではないだろうか。

「シンデレラはオンライン中！」では、女子学生から"男神"と崇められているシャオ・ナイを圧倒的な説得力で好演。ゲーム内で出会ったヒロインに対して、涼しげな表情で繰り出すツンデレ、壁ドン、床ドン、おでこキス...といった王道アプローチの数々が、ファンを大いにときめかせた。

"中国版Twitter"として知られるWeiboのフォロワー数が7800万人を誇る人気女優 ディリラバと共演した「プラチナの恋人たち」(2021年)では、クールな雰囲気のハイスペック男子を演じ、とろけるような大人のキスシーンを連発。まさに"リアル白馬の王子様"のイメージを確立したと言っていい中国スター俳優の代表格だ。

そんなヤン・ヤンの最新作として注目を集めた時代劇が、今最も人気のある中国トップ女優の1人、チャオ・ルースーと共演した「黒豊(こくほう)と白夕(はくせき)～天下を守る恋人たち～(原題：且試天下)」だ。

舞台となるのは、大東国が権勢を振るい、六州が割拠する戦国の世。大東国が持っていた権力の象徴である"玄極令"を巡り、六州の猛者たちが争奪戦を繰り広げる中で、女侠客・白風夕(チャオ・ルースー)が危機に瀕するところから物語が始まる。

崖から落ちた彼女を助けたのが、10年来の腐れ縁で、共に悪と戦ってきた侠客仲間の黒豊息(ヤン・ヤン)だった。高貴な身分でありながら、互いにその正体を隠していた2人が、天下をめぐる覇権争いに巻き込まれるうちに自分の使命と愛に目覚めていく。

ダイナミックな武侠ドラマ、王朝に渦巻く陰謀劇、そして美男美女によるロマンスと、まさに中国史劇の醍醐味を凝縮させたような娯楽大作と言えるが、何と言っても目を引くのはヤン・ヤン演じる黒豊息の気品溢れるビジュアルだ。

劇中では、凛々しい侠客姿に始まり、煌びやかな王族スタイルや、年齢を重ねた白髪姿まで披露。そうしたヤン・ヤンの様々な古装スタイルはまさに眼福モノで、特に大きな話題を呼んだ。

また、ヤン・ヤンは扇子、チャオ・ルースーは"白綾"と呼ばれる白絹の細長い帯を使った流麗なアクションも迫力たっぷり。臨場感に溢れたワイヤーアクションは中国史劇ならではの魅力の1つだが、手練れの侠客同士である2人のアクションはスピード感に富み、画面から飛び出してきそうなほどにダイナミックに展開する。

戦いの中で芽生える白風夕と黒豊息のロマンスも必見だ。どちらかというと"同じ目的を持った同志"といったサバサバとした雰囲気だった序盤に対し、命を懸けた戦いを重ねるうちに、2人の距離感は近づき、いつしか熱を帯びるようになっていく...。

眉目秀麗なヤン・ヤンと、時にドキリとする色気を放つチャオ・ルースーのキスシーンは、「美しい」の一言。雪中のキスから結婚初夜のキスまで、中国2大スターが織り成すロマンスは、配信されると毎回SNSで絶賛の声が溢れるほどの盛り上がりを見せたというが、それも納得だ。

世界中の中国史劇ファンの心を捉え、総再生数37億回という桁外れの数字を叩き出す大ヒットとなった本作。現代劇での王子様のようなスタイルも素敵だが、ヤン・ヤンの端正なビジュアルは、麗しい長髪＆古装姿でこそ引き立つような気がする。

王族と侠客。2つの身分を使い分け、武侠アクションでの凛々しさが魅力を増殖させる――ヤン・ヤンのポテンシャルの高さを改めて感じさせてくれる、新たな代表作の誕生と言えそうだ。

文＝酒寄美智子