門脇麦が表情、目線、声色で表現!ワンシチュエーションドラマで活きる演技力

数々の映画賞を受賞し、映画やドラマ、舞台で主演から助演までこなす門脇麦。どんな役でも独特の存在感を発揮し、作品ごとに役者としての懐の深さを見せてくれる稀有な女優だ。そんな彼女の演技の素晴らしさが堪能できる作品がドラマ「THE LIMIT」だ。
本作は全6話のオムニバスドラマで、「限られた空間、限られた時間、限られた状況」で進行するワンシチュエーションドラマ。門脇は第2話の「タクシーの女」で、タクシーに乗った弁護士・宮田咲希を演じる。
弁護士の咲希(門脇)は、クライアントである玩具メーカーの商品で怪我をしてしまった消費者と示談の話し合いをするため福岡へ向かおうと、事務所の前に止まっていたタクシーに乗り込む。「羽田空港へ」と行き先を告げた後、うたた寝をしてしまった咲希が目を覚ますと、あろうことか車は高速道路を羽田空港とは逆の方向へ走っていた。慌てて運転手を問いただすと、運転しているのは妹・里美(古川琴音)だった。里美は、母親が危篤状態にあるため、母親との確執から10年近く実家に帰っていない咲希を母親と会わせようと強硬手段に出たのだった。

(C)HJホールディングス
高速道路上の車の中というワンシチュエーションであるため、咲希と里美の会話劇で構成されるのだが、30分足らずの作品の中で門脇は、1つ1つの「上質な芝居」が音符となり、それらが積み重なって生まれる抑揚で「演技」という美しいメロディーを奏でている。
例えば、タクシーに乗車し、行き先を告げる瞬間や仕事の電話の際にはせわしなく早いテンポでサバサバとした口調で弁護士らしさを表し、運転手が妹の里美だと分かった後では、肉親との会話らしく一瞬で姉妹の距離感に近づいてけんか口調に。さらに、姉妹と言う関係性を保持しながら、里美をなだめたり、怒ったり、諭したり...と、その時々の状況や感情に合わせて口調を変えることで、芝居に大きなうねりを発生させている。後部座席に座っているという状態であるため、表現方法は「表情」「目線」「口調」の3つだけという制限がある中、門脇が見せるその時々の感情表現が豊かで上質であるが故に、作品が一瞬のゆるみもなく楽しめるエンターテインメントへと昇華されているのだ。
気になる物語の展開と共に、門脇の上質な芝居で奏でられる演技のメロディーを堪能して、珠玉のエンターテインメント作品を楽しんでみてほしい。
文=原田健
放送情報【スカパー!】
THE LIMIT
放送日時:2023年1月9日(月)18:30~
チャンネル:日テレプラス
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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