騙されたい女性続出?ディーン・フジオカが映画「結婚」で演じる結婚詐欺師が魅力的すぎる!

香港や台湾で数多くの人気ドラマに出演して名を馳せ、2011年からは日本でも活動を開始。2015~2016年放送の連続テレビ小説「あさが来た」に出演したことがきっかけで、一躍有名になった俳優のディーン・フジオカ。
整った面立ちから送られる思慮深げな視線。包み込むような親しみと存在感に満ちた声。セリフのないシーンでも画面に映し出される美しさに見入ってしまうほどの魅力を持つ彼が、その容姿と巧みな手口で女性を騙す結婚詐欺師を演じたのが、2017年に公開された映画「結婚」だ。

(C)2017「結婚」製作委員会
本作は直木賞作家・井上荒野氏の同名小説を原作とし、「あさが来た」で演出を担当した際にディーンに惚れ込んだという西谷真一氏が監督を務める。それだけに、この映画は、ディーンが持つ「色気」、西谷監督が舞台挨拶で語った「男でもコロッといくような色気」が存分に堪能できる作品に仕上がっている。
ディーンが演じるのは、妻がありながら結婚詐欺師で生計を立てている男・古海健司。相棒の女性・千石るり子(柊子)がターゲットに選んだ女性を次々に落として、金を巻き上げていく。
川沿いの歩道やホテルのロビーを歩くだけでも絵になるディーンだが、その本領は女性を落とす時に発揮される。工藤麻美(中村映里子)に「結婚しよう」と誘いをかけた時の力強いセリフには揺るぎない説得力があり、突然のプロポーズに戸惑う麻美を見つめる視線には包容力がある。

(C)2017「結婚」製作委員会
ディーンのような容姿の男に優しく、逞しく、さらに自身の性格に合わせた口説き方をされれば、大抵の女性は落ちてしまうだろう。しかし、騙すための手口として、新居とする予定のマンションに連れて行った麻美がはしゃぐ姿を見つめる目には、どこか冷めたものが漂っている。相手に溺れることのない結婚詐欺師として、また妻を持つ男としての古海という人物が、そんなところから感じ取れる。
女性を食い物にする結婚詐欺師を存分に演じる一方で、るり子とのやり取りの最中に突然鼻をすすったり、物語の終盤、古海を気に入った柊泰江(萬田久子)に核心を突く質問をぶつける時の息を飲むような仕草など、気を引かれる細かい演技も随所に見られる。

(C)2017「結婚」製作委員会
この作品でディーンは、ジェスチャーなどの動作1つ1つに意味を持たせるため、西谷監督と話し合いを重ねて演技に臨んだという。ポケットに手を入れた立ち方、グラスの持ち方など、ディーンがこだわった部分に注目して見るのも、本作の1つの楽しみ方と言えるだろう。
また、本作において注目してほしいのが、時折、奇妙なシーンが挿入されるところだ。マンションの一室で1人でボールを壁にぶつけたり、飛びついてキャッチしたり。公園のブランコに座ってルービックキューブをいじり回したり。見ていて不思議な気分になるのだが、そこに古海が抱える鬱屈とした思いや過去の悲しい経験が潜んでいるようにも思われる。

(C)2017「結婚」製作委員会
古海はなぜ結婚詐欺師という道を選んだのか?幼い頃の彼はどんな経験をしたのか?貫地谷しほり演じる妻・初音との生活はどんなものなのか?考え抜かれた緻密な演技と挿入されるさまざまなシーンから、「古海健司」という人物を推察したり、感じ取ったりすることで、より深くこの映画を楽しむことができるだろう。
ご存知のようにディーンはミュージシャンとしても活動していて、本作の主題歌「Permanent Vacation」も手掛けている。ディーン・フジオカという俳優の才能と魅力がこれでもかと詰め込まれた本作を、ぜひご堪能いただきたい。
文=堀慎二郎
放送情報【スカパー!】
結婚
放送日時:2023年2月10日(金)20:45~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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