中国版「太陽の末裔」と評判！バイ・ジンティンによる「シンデレラ・ヒロイン3部作」の系譜を継ぐ甘いロマンス演技

「陳情令」(2019年)の爆発的ヒットをきっかけに"武侠ブロマンス"という新たな人気ジャンルが浸透し、多彩なバリエーションでファン層を拡大している中国ドラマ。最近も新作「男狐聊斎(おぎつねりょうさい)～狐の恩返し～」が日本で大きな話題を呼ぶなど、武侠ブロマンス人気はますます過熱している。

その一方で、日本人気の主流と言えるのは、やはり顔面偏差値の高い美男美女による王道ロマンス。その火付け役として、少女漫画のようなキラキラの世界観を持つ「シンデレラ・ヒロイン3部作」が広く知られているが、その系譜に連なる2021年のドラマ「キミだけのヒーローになりたい」をご存じだろうか。

「キミだけのヒーローになりたい」は、新米女性医師と特殊部隊のエリート隊長によるラブストーリー。中国版TwitterとされるWeiboでトレンド入りを連発したほか、数々のドラマランキングで1位を獲得、男性主人公の隊長を演じたバイ・ジンティンが「ソウルドラマアワード2021」男性演技者賞にノミネートされるなど、広くその名を轟かせた話題作だ。

「キミだけのヒーローになりたい」の反響ぶりからも分かるように、恋愛ドラマが圧倒的な強さを見せる近年の中国ドラマ。この潮流を作ったのが、ネット小説家グー・マンと脚本家チームのタッグで生み出された「シンデレラ・ヒロイン3部作」だ。

2014年のドラマ「お昼12時のシンデレラ」を皮切りに、2015年の「マイ・サンシャイン～何以笙簫默～」、2016年の「シンデレラはオンライン中！」で描かれた甘くとろける恋模様が女性ユーザーの心をがっちり掴み、いずれも社会現象級のヒットを記録。日本でもセンセーションを巻き起こし、3作に共通する"ごく普通の女子と王子様級イケメンとのラブコメ"が、中国ドラマの人気ジャンルに躍り出たのだった。

中でも3部作完結編の「シンデレラはオンライン中！」は、ネットゲーム好きな女子大生がゲーム内でも現実でも"男神"と呼ばれる超絶イケメンとパートナーとなり、二重で恋が進行する...という漫画的ストーリーにハマる視聴者が続出。ヤン・ヤンとジェン・シュアンというトップスターの共演も評判で、累計再生回数160億回超えという驚異の反響を叩き出した。

さらに、「シンデレラ・ヒロイン3部作」の制作チームの下、人気女優ヤン・ズーがツンデレ男にひと目ぼれする天然ヒロインを演じた「Go！Go！シンデレラは片想い」（2019年）、そのヤン・ズーが「陳情令」のシャオ・ジャンとベタ甘ラブストーリーを演じた「これから先の恋」(2022年)も、同じ制作会社による作品。この2作も日本での反響は大きく、「シンデレラ・ヒロイン3部作」がもたらした影響力は計り知れない...。

「キミだけのヒーローになりたい」もその流れに連なるラブロマンスだ。主人公となるのは、人気女優マー・スーチュン演じる仕事に恋に真っ直ぐな新米女性医師ミー・カーと、バイ・ジンティン演じる優秀な特殊部隊の最年少隊長シン・コーレイ。この戦線で育まれる医師と特殊部隊員の恋...というストーリーは、日本にもファンの多い韓国の人気ドラマ「太陽の末裔」と重なるもので、実際似たようなシチュエーションが劇中にも数多く登場する。

任務を完璧にこなし部下からは"鬼"と恐れられるコーレイ。「ときめき・旋風ガール」（2015年）で癒し系イケメンを演じたジンティンがガラリと雰囲気を変え、強盗犯にも爆弾にもたじろがない"戦う男"を好演しているのもポイントが高い。一方で、恋には不器用な彼がカーの前だけではタジタジになってしまい、ギャップ溢れる姿で精いっぱいアプローチする姿はなんとも言えず愛おしい。

王子様級イケメンに愛される「シンデレラ・ヒロイン3部作」のエッセンスを多分に受けた王道の恋愛ストーリーが展開する本作。中国版「太陽の末裔」とも言える手に汗握るレスキューアクションが甘いロマンスをさらに引き立たせ、その世界観に引き込まれること必至。この機会に、その沼にどっぷりとハマってみては？

文＝酒寄美智子