日本初放送のクライム・ミステリー「ALERT 失踪者緊急警報」の醍醐味を映画・海外ドラマライター・今祥枝が語る「謎の真相がトリッキーで二転三転どころじゃなく、何回転もしていく」

毎年およそ60万人が行方不明になるというアメリカ。息子が失踪した過去を持つ捜査官が「失踪者捜索班MPU」の一員として事件に向き合いながら、息子の事件の謎も追うクライム・ミステリー「ALERT 失踪者緊急警報」が、Dlifeで3月25日(月)より日本初放送される。

どんでん返しの連続だったドラマ「ブラックリスト」の製作総指揮を務めたジョン・アイゼンドレイスがジェイミー・フォックスと共同ショーランナーを務め、「ワンス・アポン・ア・タイム」のダニア・ラミレスと「HAWAII FIVE-0」のスコット・カーンが主人公を演じる本作。

海外ドラマに詳しいライターの今祥枝さんは「『ブラックリスト』のファンはあのトリッキーさが好きなのだと思いますが、ショーランナーの一人が同じ人なので、同様の魅力がふんだんに盛り込まれているドラマだと思います」と語る。

■失踪した息子の正体が二転三転!? 「ブラックリスト」並みのトリッキーさが面白い

行方不明者の捜索を専門とする「失踪者捜索班MPU(Missing Persons Unit)」に所属する警察官のニッキー・バティスタ(ダニア・ラミレス)と、すご腕の軍事コントラクターだったジェイソン・グラント(スコット・カーン)は元夫婦。６年前に息子のキースが誘拐されたことをきっかけに、妻のニッキーはMPUに異動。息子への思いを抱きつつ、日々起こる失踪事件に取り組んでいた。一方、夫のジェイソンは友人と警備会社を設立し、独自に捜索をするも夫婦間に距離ができ二人は別居する。そんな中、ニッキーが新たなパートナーにプロポーズされたその日に、成長したキースの写真がジェイソンのスマホに送られてくる。それを機に夫婦は協力して捜索に乗り出すも驚きの展開が繰り広げられていく。

「このシリーズの面白さは、シーズンを通して追う息子の誘拐事件の真相がかなりトリッキーであるところだと思います。子どもは６年もたてば容姿がすっかり変わってしまうことも考えられますが、我が子だと判別できないわけでもないが...というところもトリッキー。その後、そのキースが本当に自分たちの息子なのか？という問題点を含めて『ブラックリスト』のように二転三転どころじゃなく、何回転もしていくことが予想され、そこが今作の醍醐味になるであろうと思われます」

■息子の存在を通して縮まる元夫婦の距離と、妻の現婚約者との三角関係が勃発!?

子どもの失踪事件という深刻なテーマを描いているが、ニッキーを「ワンス・アポン・ア・タイム」のダニア・ラミレスが、そして、元夫のジェイソンをスコット・カーンが演じることからもエンターテインメント性の高さがうかがえる。今さんも「スコット・カーンは『HAWAII FIVE-0』でもそうですが、「ネアカ」にしか見えないキャラクターです。その彼を物語の中心に持ってきている時点でエンタメ性と華やかさを重視し、『ブラックリスト』的なケレン味を表に出してくるのであろうことが序盤から予想できると思います」と語る。その彼が演じるジェイソンは、もともとアフガニスタンで活躍していた捜査官でタダ者ではない。そのため、警察でもないのに第１話から捜査に参加し、活躍していくことになる。

そんなジェイソンとの三角関係で気になる存在になるのが、ニッキーの彼氏のマイク・シャーマン(ライアン・ブルサード)だ。彼は第１話でニッキーの婚約者となるが、キースの登場によって微妙な立場に立たされる。

「息子の捜索などでニッキーと元夫の距離が縮まるため、マイクは切ない状況に立たされる予感が満載ですね。彼はニッキーを愛し、彼女の幸せを心から願っていると思うので、彼女の幸せは自分とではないのかも...となる可能性もなきにしもあらず...。演じるライアン・ブルサードは、マイナーリーグの野球選手から俳優に転身した異色の経歴の持ち主で、注目されている俳優の一人です。今回のキャラクターも興味深く、彼の動向を見守っていきたいところです」

■息子の事件や一話完結の失踪事件など、最終話まで驚きの展開が連続

「ALERT 失踪者緊急警報」は、シーズンを通して追う息子の失踪事件の真相と元夫婦の関係の変化、それに加えて一話完結の失踪事件とアクションも見逃せない。

「失踪者を無事に保護できる確率の高いタイムリミットと闘いながら捜査していくサスペンスでもあり、そのスリルも本作の醍醐味でしょう。アメリカなどでの評判を聞きますと、やはり大きな注目ポイントは『ブラックリスト』的トリッキーさにあるようです。最大の謎は全10話を通して解かれていくわけですが、スコット・カーンらは最終話の撮影当日まで脚本を受け取らなかったそうです。米国ドラマで制作チームがギリギリまで脚本を渡さないのはよくある話で、一番の理由はネタバレ防止ですが、キャストの新鮮な演技を引き出す目的もあります。スコット・カーンをはじめ、キャストらは結末を知らずに演じてきたということで、素に近い演技が楽しめるはず。そして、それだけ練りに練った驚きのあるラストが待ち構えているということで、ぜひ期待したいです」

取材・文＝及川静