ワン・ホーディー(王鶴棣)、「花より男子」の道明寺司役から一変、「蒼蘭訣ロス」を巻き起こしたツンデレ魔王という中毒性

日本の大人気コミック「花より男子」をドラマ化し、華流ドラマ人気の火付け役ともなった「流星花園～花より男子～」(2001年)から17年後。フレッシュなキャストでリメイクし、再びアジアに"花男"ブームを巻き起こした中国ドラマ「流星花園2018」(2018年)。

アジア各国でドラマ化された"花男"の道明寺司役は、台湾のジェリー・イェンを皮切りに、松本潤(日本)、イ・ミンホ(韓国)、ブライト(タイ)...とスター揃い。「流星花園2018」のワン・ホーディー(王鶴棣)もその1人で、この道明寺役で一躍脚光を浴びた後、ロマンス史劇「蒼蘭訣(そうらんけつ)～エターナル・ラブ～」(2022年)の大ヒットで一気にスターダムへと駆け上がった。　

「蒼蘭訣(そうらんけつ)～エターナル・ラブ～」は、ツンデレ魔王と天真爛漫な仙女の心と体が"同期"してしまうというファンタジックなロマンス時代劇。2022年に中国大手動画配信サイト・iQIYIでリリースされると、そのゴージャス＆ロマンティックな世界観と極甘なストーリーにドハマりするファンが続出。視聴数・注目度・検索数・閲覧数など、あらゆるドラマランキングの首位を獲得するなど、中国で大きな反響を巻き起こした。

この作品でホーディーが演じているのが、暴虐の限りを尽くしていた冷酷な魔王・東方青蒼(とうほうせいそう)。感情を持たず笑顔も見せないその姿はまさに恐ろしい魔王だが、表情豊かで純真な仙女の小蘭花と出会い、"同期"した彼女を通して喜怒哀楽を共有させられていくうちに"人の心"を知り、その彫刻のようだった表情も徐々に色づいていく。

小蘭花の感情だけでなく痛みも共有する体になり、初めは「あの者が殺されたら私も生きられぬ」と"自分のために"小蘭花を守ろうとしていた東方青蒼だが、次第にその口から「偽りを言うな。心で泣いているのは分かる。私の前で我慢をするな」と小蘭花自身を気遣う言葉が出始める。そこからは"花男"の道明寺顔負けのツンデレぶりで、冷たく研ぎ澄まされた圧倒的なビジュアルとのギャップも相まって、見る者のハートを鷲掴みにしていく。

ヒロインの小蘭花を演じるユー・シューシンは、「若様！私がお守りします」(2020年)などで注目を集める傍ら、オーディション番組「青春有你2」でデビューを勝ち取り、期間限定のガールズユニット・THE9 のメンバーとしても活躍した経歴の持ち主。

本作で演じた小蘭花は落ちこぼれの仙女だが、その生まれ持った純粋さで冷酷な魔王を振り回すという天然の小悪魔っぷりをキュートに体現。「あなたが去って、また独りになるのが怖い」「甘さを味わったら、もう苦い思いはしたくない」と、東方青蒼を真っ直ぐに求める純真さが、東方青蒼の固く閉ざされた心を溶かしていく。クールなホーディーと甘いシューシンの相性も抜群で、最旬スター2人が繰り広げるロマンスが一度ハマったら抜け出せない"沼"を作り出す。

序盤、東方青蒼と小蘭花の"同期"が起こる直前には、とあるアクシデントから初対面で口づけを交わした2人の心が入れ替わってしまう場面も。冷酷無比な東方青蒼が一転して可憐な乙女の表情を、そして可憐な小蘭花が氷のような表情を見せる"入れ替わり演技"が面白く、ファンタジックな世界観に一気に引き込まれてしまうこと必至だ。

魔王と仙女のドラマティックな恋模様は最終話まで視聴者の心を掴み続け、配信終了後にはファンの間で"蒼蘭訣ロス"が巻き起こったほど。"花男"の道明寺司役のイメージが根強いホーディーが、"ツンデレ魔王"という特異なキャラクターで新たに開拓した、この極甘な世界観にハマってみては？

文＝酒寄美智子