ヤン・チャオユエとディン・ユーシー共演の神仙ラブコメ「七時吉祥〜エンドレス・ラブ～」 の見どころを華流ドラマライター・沢井メグが解説「七回転生で二人の変化が7度も楽しめる」

中国の人気スター、ヤン・チャオユエとディン・ユーシーが主演し、メガヒットドラマ「蒼蘭訣〜エターナル・ラブ」(2022年)のスタッフが再集結して手掛けた、神仙ファンタジードラマ「七時吉祥(しちじきっしょう)〜エンドレス・ラブ〜」。誤って赤い糸で結ばれてしまった天界の戦神と仙女が７回の転生を繰り返し、壮大な愛を紡ぐ物語だ。本作を「一粒で７度おいしいドラマ」と評する華流ドラマに精通するライター・翻訳者の沢井メグさんに、見どころを聞いた。

■主人公の二人が立場も年齢も異なる転生を７度繰り返し、７つの物語が楽しめる！

物語の主人公は、男女の縁をつかさどる天界の婚縁閣で働く仙女の祥雲(しょううん／ヤン・チャオユエ)と、戦神の初空(しょこう／ディン・ユーシー)の二人。３万年前に妖魔・滄海(そうかい)との戦いで深手を負い記憶を失った初空は、治癒のため、人間界に情愛の転生修行に赴くことに。仙女の間で人気のイケメンだが、3万年間も縁談を断ってきた『鉄壁の恋愛NG男子』でもあった。婚縁閣の祥雲はそんな初空のパートナー探しを担当するが、誤って自分と初空を赤い糸で結んでしまい、転生に付き合うことになるのだが、毎回違った境遇に転生するところが面白いポイントとなる。

「『七時吉祥』(しちじきっしょう)とは７回転生する物語で、一粒で7度おいしい作品と言えると思います。最初に展開を知った時は、こういう転生物があったのか!?と驚かされました。幼なじみ同士に始まり、師匠と弟子、皇女と将軍など、いろいろな姿になりますし、年齢差も異なる関係にもなります。祥雲が年上になることもあり、もともと戦神と仙女という立場が逆転するところも面白いです。また、最初は祥雲のみが前世の記憶を持っていますが、その後は初空だけだったり、どちらも持っていなかったりと、記憶の有無も変わっていくので、全く異なる物語として楽しむことができると思います」

また、７つの物語を見ているうちに、自然と神仙ファンタジーの世界観が理解できるので、華流ドラマ特有の「転生ジャンル」初心者にもお薦めだと語る沢井さん。

「転生する物語を楽しんでいるうちに複雑さを感じることなく、天界での関係性などが自然と理解できる作品です。また、一つ一つの物語が『師弟モノ』だったり、男女入れ替わりだったりと、中国時代劇の定番ジャンルになっているので、入門編としてもお薦めです。ちなみにオープニングやエンディングで二人が転生した際の姿がイラストで描かれているので、チェックしておくと期待が膨らむと思いますよ！」

■転生した物語を楽しんでいるうちに、天界での人間関係や因縁が明らかに！

祥雲と初空だけでなく、二人のロマンスを邪魔するキャラクターも転生を果たしていく。初空を熱烈に慕う鶯時(おうし／チャン・シュエハン)や、祥雲に好意を抱く初空の友人、皇子・修茗(しゅうめい／シン・ゼ)、初空と敵対している錦蓮(きんれん／リン・バイルイ)、天界から錦蓮に奪われ人間界に投げ込まれた石が化けた妖怪の紫輝(しき／ジャイ・シャンヤン)らも転生ごとに違った役どころで登場する。その中でも沢井さんが注目するのは、錦蓮と紫輝の二人だ。

「錦蓮は、初空が倒した滄海をよみがえらせようとしている人物で、悪役として描かれていますが、『第三世 人間界～師弟(男教主と女弟子)』(#15～21)では紫輝と仲良くなるシーンも出てきます。この二人の関係性をよく見ておくと後半のある転生の際にとても泣けるので、ぜひご注目ください。この二人の関係のように、転生した一つ一つの物語を楽しく見ているうちにさまざまなものがつながり、本当の関係性や因縁が明らかになっていきます。クライマックスで物語の本筋にグッと戻され、やられた！という気持ちになると思います(笑)」

■キュートなヤン・チャオユエだけでなく、かわいいディン・ユーシーも必見！

今、中国で引っ張りだこのヤン・チャオユエとディン・ユーシーの二人が主演を務める本作。ヤン・チャオユエは、サバイバルオーディション番組でアイドルとしてデビューし、その後、俳優になった。

「韓流メークも似合いつつ、古装劇(時代劇)も似合う方です。ビジュアル通り、凜とした勝ち気で美しい女性を演じるのが得意な俳優ですね。これまで似合う役が限られているという辛口の意見もありましたが、今回の作品で殻を破った感があるのではないかと思います。ディン・ユーシーは、武侠ドラマで演じた東方不敗という悪役や、ラブコメ時代劇で演じたツンデレ若君など、いろいろな役を演じられることに定評があります。今回は１作で本当にいろいろな顔を見せていて、演技力の高さを痛感しました」

中でも沢井さんが注目しているエピソードは「第四世 人間界～男将軍と皇女(ただし男女入れ替わり）」(＃22～24)だという。

「ディン・ユーシーのかわいいしぐさは必見です。初空は将軍の格好をしていますが、中身が祥雲なのでふとしたときに『あら、どうしましょう』と首を傾げたりするんです。髪がふわっとしたり、繊細な乙女を思わせる演技が光っているので、ディン・ユーシーファンはため息ものだと思いますよ！」

(プロフィール)さわい・めぐ●中国や台湾の中華圏のグルメからドラマまで幅広く手掛けるライター。取材やコラム執筆の他、ドラマ原作本の翻訳も行う。

取材・文＝及川静