NFLが開幕！ 史上初の３連覇を目指すチーフスを中心に激戦必至の新シーズン

いよいよ9月6日(金)(※現地9月5日(木))に開幕するNFLの2024-2025シーズンが、今年も日テレジータスで生中継を中心に放送される。昨季の第58回スーパーボウルを制して連覇を果たした王者のカンザスシティ・チーフスは、本拠地カンザスシティのアローヘッド・スタジアムにボルチモア・レイブンズを迎え撃つ。昨季は地区優勝こそ果たしたもののAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)第3シードでプレーオフに臨み、苦戦しながらも頂点に立ったチーフス。一方、スーパーボウルであと一歩まで王者を追い詰めた、NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)覇者のサンフランシスコ・49ersは接戦に強く、勝負強さが光った。

■AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)の今季展望

新シーズンの展望だが、まずはAFCから見ていこう。史上初の３連覇を目指す王者チーフスは、MVPに輝いたQB(クォーターバック)のP・マホームズが北米スポーツ界で過去最大の契約となる10年5億300万ドルで契約延長。今季も優勝候補の最右翼となりそう。ただ、昨季は守備陣の頑張りが連覇を支えた印象もあり、自慢の攻撃陣に陰りが見える。今季は非常にタイトな日程が組まれ、チーフスはレギュラーシーズン中に6つの曜日で試合に臨むことになる。これはNFL史上初のことで、MLBニューヨーク・ヤンキースが1927年シーズンに経験して以来のこと。日程の厳しさが3連覇への意外な壁となって立ちふさがるかもしれない。

対抗馬としては、昨季13勝4敗の好成績で北地区を制したボルチモア・レイブンズが一番手か。昨季のシーズンMVPに輝いたQBのL・ジャクソンが大黒柱となり、守備もAFC最強の強力な布陣。大物RB(ランニングバック)のD・ヘンリーを補強し、プロボウル4度選出の実力者だけに頼もしい存在だ。ジャクソンの故障離脱がなければ、今季も上位に食い込みそう。チーフスとの開幕戦は今季の優勝争いを占う上でも必見だ。低迷期を脱したヒューストン・テキサンズも面白い存在。昨季は新任のライアンズHCが手腕を発揮し、新人QBのC・J・ストラウドが大活躍。ルーキーながら平均パス獲得ヤードなど各部門でNFL首位となり、一躍スターの仲間入りを果たした。今季も彼を中心に攻撃陣が爆発すれば、頂点も見えてくる。

昨季東地区を制したマイアミ・ドルフィンズにも注目。左腕QBのT・タゴヴァイロアを中心とする攻撃力が看板で、特に100ｍ10秒台の快速RBで、NFL最速とも称されるR・モスタートの脚力が大きな武器。彼の突出した走りを見るだけでも価値があり、ビギナーはぜひドルフィンズを見てほしい。優勝争いという点では物足りないが、インディアナポリス・コルツで印象的な活躍をしたQBのG・ミンシューを獲得したラスベガス・レイダースにも注目したい。新人ながら昨季の主力を務めたA・オコンネルとの2枚看板で台風の目になるかもしれない。

■NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)の展望

一方のNFCは、昨季の覇者であるサンフランシスコ・49ersを中心に混戦模様になりそうだ。安定感抜群のQB、B・パーディを擁し、最優秀攻撃選手賞を獲得したエースRBのC・マキャフリーも健在の49ersは、守備陣も堅固でバランスのいい好チーム。バックアップQBとして補強したJ・ドブスの存在も心強い。対抗馬としては、ダラス・カウボーイズとデトロイト・ライオンズの両チームをまず挙げたい。カウボーイズはQBのD・プレスコットとWR(ワイドレシーバー)のCD・ラムというリーグ随一のホットラインが看板だ。昨季の総得点509点は堂々NFL1位である。守備陣も強く、CB(コーナーバック)のD・ブランドは昨季のインターセプト王。地味ながらK(キッカー)のB・オーブリーも得点数1位の名キッカーだ。

昨季49ersとNFC王者を争って3点差の激戦を展開したライオンズも侮れない。昨季は30年ぶりに地区優勝を果たし、QBのJ・ゴフを中心に攻撃力は抜群。失点が多いのが気がかりだが、今季こそはNFCで唯一のスーパーボウル未出場という汚名を晴らすチャンスかもしれない。上記3チームに絡んでくるのは、フィラデルフィア・イーグルス、タンパベイ・バッカニアーズ、グリーンベイ・パッカーズあたりか。特に昨季は不調だったQBのJ・ハーツが本来のプレーを見せれば、イーグルスにもチャンスは大いにある。バッカニアーズは、QBのB・メイフィールドを核に、実績十分なWRのM・エバンス、RBのB・アーヴィングらが攻撃の中心。やや安定感に欠けるが、走力もあるメイフィールドが好調を持続すれば面白い。NFL唯一の市民球団で熱狂的なファンの多いパッカーズも例年盛り上げてくれる印象が強く、今季も注目したいチームのひとつだ。

また、今季ドラフトで全体1位指名のC・ウィリアムズ(シカゴ・ベアーズ)、同2位のJ・ダニエルズ(ワシントン・コマンダース）、同3位のD・メイ(ニューイングランド・ペイトリオッツ)ら新人QBの活躍にも注目したい。

文＝渡辺敏樹