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松平健をはじめとした名優たちが集結!日本人の琴線に触れる時代劇「忠臣蔵」の色褪せない魅力

2024/12/01

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時代劇の定番コンテンツとして、今も根強い人気を誇る「忠臣蔵」。2004年に「テレビ朝日開局45周年記念企画作品」として放送されたドラマ「忠臣蔵」は、大石内蔵助役を松平健が演じ、敵役の吉良上野介役に伊東四朗が扮した大作。脚本は古田求が手掛けているが、古田は日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した1994年の映画「忠臣蔵外伝 四谷怪談」などで高い評価を受けている。

■わずかな目の動きで心情を表現する松平健の演技力に脱帽

物語の舞台となるのは、賄賂が公然と横行する管理社会と化した元禄時代。武士道はもはや時代遅れの無用なものと軽視され、腐敗した権力者たちの犠牲となる形で、赤穂藩主の浅野内匠頭(沢村一樹)は、切腹を命じられる。主君の無念を晴らすために家臣団をまとめるのが大石内蔵助(松平健)だ。松平の風格と存在感が抜群で、"これぞ大石内蔵助"と思わせてくれる。大石役は時代劇役者なら誰もが一度は演じたいだろう、一種の到達点のような重い役だが、さすが松平は歴代の名優たちにまったく見劣りしない。「静と動」の使い分けが抜群で、わずかな目の動きだけで心情を表現する巧みな芝居が絶妙だ。

史実を基にしながらも「忠臣蔵」は浄瑠璃や歌舞伎の題材として磨き上げられており、物語としての完成度が極めて高い。これまで日本人の琴線に触れ、深く広く愛されてきたのは、理不尽なものを正すために全てを投げ打った人間の「はかなさと美しさ」にある。

特に、敵の目を欺くために遊興に溺れる大石が嘲笑されても、本懐のために反論できない浪士たちは辛い目に遭う。「忠臣蔵」は群像劇なので、浪士たちにも個性と魅力がある。堀部安兵衛(宇梶剛士)、片岡源五右衛門(羽場裕一)、岡野金右衛門(要潤)、大石主税(山崎裕太)、寺坂吉右衛門(梨本謙次郎)、大高源五(石丸謙二郎)、赤埴源蔵(永島敏行)、不破数右衛門(寺島進)といったおなじみの面々が活躍するが、それぞれに見せ場が用意されている。

「忠臣蔵」(主演:松平健)
「忠臣蔵」(主演:松平健)

(c)東映

■日本人の心を打ち、いつまでも色褪せない物語

敵方では、やはり伊東四朗の吉良役が圧巻で、これまでも数多くの名優たちが演じてきた。伊東の吉良は一段と粘着質で嫌みもたっぷり。「忠臣蔵」は吉良が憎らしくないと視聴者も感情移入がしにくいのだが、本作の伊東はその点で申し分ない。ほかに敵方では、上杉家家老・千坂兵部を演じた夏八木勲も迫力のある表情の演技が印象的だ。剣豪の風格を感じさせた清水一角役の松重豊も見事で討ち入りの際の死にざまも圧巻だった。

浪士たちを支える女性陣も素晴らしく、大石の妻・りくを演じた田中好子の健気さ、内匠頭の妻・阿久里(瑤泉院)役の櫻井淳子の気品あふれる佇まいが印象深い。ほかにも、野際陽子、戸田恵子、池上季実子、美保純らの実力派女優がしっかりした芝居で脇を固めている。「忠臣蔵」は男たちが主役の物語には違いないが、本作は女優陣の奮闘が印象に残る点も特徴だろう。

幕府の力が強大となり、権力にたてつくものなど誰一人いなかったこの時代に、「武士の誇り」のためだけに立ち上がった男たちと、それを支える女たち。苦悩や葛藤の末、47人の浪士たちが亡き主君の無念を晴らす「忠臣蔵」のストーリーは、日本人の心を打ち、いつまでも色褪せない。主演の松平健を中心に、豪華キャストが集結した全9話の本作は、「忠臣蔵」のエッセンスを余すところなくまとめ上げた力作だ。昔は年末に「忠臣蔵」を観ないと年を越せないという人も珍しくなかったが、令和の現代でも胸を打つ物語に違いない。そんな時代劇の王道をあらためて満喫してほしい。



放送情報

忠臣蔵(主演:松平健)#1~#9

放送日時:2024年12月5日(木)、6日(金)、9日(月)~13日(金)、16日(月)、17日(火)

21:00~

放送チャンネル:時代劇専門チャンネル

※放送スケジュールは変更になる場合があります



文=渡辺敏樹

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