観月ありさの映画デビューを飾った学園サイキック・ホラー「超少女REIKO」は"伝説の少女"時代の神秘的な美しさを体現

30年続けて連続ドラマの主演を務める記録を2021年に達成、2月末まで放送されていた時代劇「雲霧仁左衛門ファイナル」でドラマ「じゃじゃ馬ならし」以来、31年ぶりに中井貴一と共演している観月ありさ。4才の頃からモデルとして活動していた観月が注目を集めたのは黒髪の美しい少女が口笛を吹いているレナウンのCM。同じくCMから人気に火がついた宮沢りえ、牧瀬里穂と共に頭文字をとって「3M」と形容された。1991年5月には尾崎亜美が作詞、作曲を手がけた「伝説の少女」でデビューを飾り、第33回日本レコード大賞新人賞を受賞。そのヴィジュアルとシンクロする透明感のある歌声が多くのリスナーの心をつかんだ。

(C)1991 東宝
そんな観月が歌手デビューした同年に公開されたのが主演で映画デビュー作となったサイキック・ホラー「超少女REIKO」だ。脚本、監督は後に「誘拐」や平成ゴジラシリーズを手がける大河原孝夫。観月が演じているのは霊能者の祖母(菅井きん)の血を受け継ぐ九藤玲子。幽霊の存在を否定しながらも生徒たちに巻き込まれる山川教諭役を当時、30才の佐藤浩市が演じ、超常現象に立ち向かうべく結成された「ESP研究会」のメンバーのひとり、内藤由美を今も観月と交流のある島崎和歌子が演じた。
ヒロインの玲子はほとんど笑顔を見せることがないが、当時の観月も「ナースのお仕事」のような元気でコミカルな役とは異なるイメージ。「伝説の少女」時代の神秘的な美しさを焼き付けたという意味でも貴重な作品だ。
■登場からしてミステリアス。観月の"静"の演技はまさに"超少女"

(C)1991 東宝
誰もいない音楽室からピアノの音が響くなど、怪奇現象が教室のあちこちで起こる中、学校の平和を守るべく、立ち上がったのが生徒会長の緒方(大沢健)と副会長の由美(島崎和歌子)だ。山川(佐藤浩市)はイタズラだろうと相手にしないが、ペン入れの缶が宙に浮き、中に入っていたカッターが飛んでくるポルターガイスト現象が起きる中で平然と立ち、「あなたは誰?」と問いかける玲子(観月ありさ)の後ろ姿に流石に顔色を変える。

(C)1991 東宝
教室に吹き荒れる風に長い黒髪をなびかせ、振り向く観月の清楚で謎めいた雰囲気は、まさに"超少女"。その後、オレンジ色の制服を着た見知らぬ少女が放課後に姿を表し、研究会のメンバーがパニックになる中、玲子だけは目を閉じて集中し、彼女が伝えたいことを穏やかなトーンで聞き出そうとする。ドラマでは生意気な女子高生を演じたり、10代の頃から型にハマっていなかった観月だが、玲子役では透明感のある声を活かしたせりふも含めて、「伝説の少女」のイメージに近い顔を見せてくれる。
■サイキックバトルでは流血、特殊メイクにも挑戦

(C)1991 東宝
研究会は霊媒師である玲子の祖母の力を借りて謎の少女を成仏させる降霊会を行うことを提案。だが、高齢の祖母を気づかい、玲子は自分で仕切ることを決意。収まらない騒動に山川も参加し、祖母も孫を守る事態にまで発展していく。少女はなぜ死ななければならず、玲子たちの通う学校に出現することになったのか。その謎が明らかになる後半では賑やかな文化祭で収まったはずだった怪奇現象があちこちで爆発。玲子が所属する演劇部の公演ではビデオカメラが勝手に動き出し、生徒たちが吹き飛ばされる。
そして事件の鍵を握るもうひとりの超能力を持つ女子生徒と玲子とのサイキックバトルは当時のSFXを駆使したこだわり映像が今見ると斬新。後半では額から血を流し、怒りに声を荒げる玲子役に観月が瑞々しくも体当たりで挑んでいる。美脚スタイルをそのままに現在では妙齢な美しい悪女役もこなすマルチ女優として活躍する観月の原点が垣間見ることができる。
文=山本弘子
放送情報【スカパー!】
超少女REIKO
放送日時: 3月8日(土)11:00~
チャンネル: 衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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