「オールド・ボーイ」「破墓／パミョ」の怪優チェ・ミンシクの凄み...26年ぶりのドラマ復帰作「カジノ」の演技合戦

韓国映画界の"重鎮"チェ・ミンシクが実に26年ぶりにドラマ復帰したことでも話題を呼んだクライム超大作「カジノ」(シーズン1が3月21日(金)よりKNTVにて一挙放送)。シーズン1の好評を受け、早くも"新章"といえるシーズン2が配信されるなど、韓国ノワールの真髄が味わえるシリーズとして注目を集めている。

1981年に舞台俳優としてキャリアをスタートさせたチェ・ミンシクは、韓国映画の歴史を変えた大ヒット作「シュリ」(1999年)でその名を知らしめ、カンヌ映画祭でグランプリを受賞した鬼才パク・チャヌク監督の「オールド・ボーイ」(2003年)や初の海外進出となったハリウッド映画「LUCY／ルーシー」(2014年)、近年でも第45回青龍映画賞で4冠を達成した「破墓／パミョ」(2024年)など幅広い作品で活躍。ドラマは「愛と別れ」(1997年)以来ずっと遠のいていたこともあり、今作の出演には驚きの反応が多く寄せられた。

"カジノ王"になる伝説の男の波乱万丈な人生を描く本作。ミンシクが演じるのは、貧しい幼少期を過ごすも大人になって裏社会で成功を収める主人公チャ・ムシクだ。故郷の後輩にカジノビジネスの提案を持ちかけられ、誰もがうらやむ韓国カジノ界のトップの座に上り詰めたムシクだったが、国税庁の査察から逃れるためにフィリピンへ逃亡する。だが、とある事件をきっかけに全てを失うことに。それでも諦めず、人生を賭けた勝負に出るムシクはフィリピンで再びのし上がっていく。

その場にいるだけで画が引き締まる重量級のオーラはもちろん、凄みのある芝居や激しいアクションも劇中で光るミンシク。

ムシクはやがてカジノのジャンケットルームの経営を任されることになり、そこで「イカゲーム」(2021年)で一躍ブレイクしたホ・ソンテ演じるギャンブラーのソ・テソクと出会う。テソクがムシクに嫉妬して目の敵にするシーンは、大物俳優同士の得も言われぬ迫力に恐れ入る。

また、本作にはドラマ「私の解放日誌」(2022年)で人気を集めた俳優ソン・ソックも出演。ある日突然フィリピンに派遣された警察庁のチーム長で、執拗にムシクを追う役どころを、成熟した演技で表現している。

チェ・ミンシクを筆頭に、ホ・ソンテ、ソン・ソック...といった韓国を代表する演技派たちが集結した本格ノワールドラマ「カジノ」。贅沢な演技対決シーンや圧倒的な没入感はもちろん、ミンシクが醸し出す骨太で重厚感のある空気感に興奮させられること必至だ。

文＝川倉由起子