岡田将生は残念なイケメン役に溶け込み、清原果耶は心で語る静の演技が印象的!山下敦弘監督×宮藤官九郎脚本「1秒先の彼」

台湾映画界で熱狂的な人気を誇るチェン・ユーシュン監督が20年もの間温めていた脚本を基に撮りあげた映画「1秒先の彼女」を、岡田将生と清原果耶のW主演で日本版にリメイクしたのが映画「1秒先の彼」だ。
監督は、岡田がデビュー間もない18歳の時に出演した「天然コケッコー」でもメガホンをとり、近年では綾野剛主演の「カラオケ行こ!」なども記憶に新しい山下敦弘が務めた。脚本をドラマ「ゆとりですがなにか」、「不適切にもほどがある!」などで知られるヒットメーカー・宮藤官九郎が担当した。
京都で生まれ育ち、中賀茂郵便局の窓口で働くハジメ(岡田)は、何をするにもとにかく"1秒早い"。小学校の頃はかけっこでフライング、写真撮影の時には必ず目を閉じてしまい、漫才を見て笑うタイミングも人より少し早い、周囲とはいつもワンテンポずれているハジメ。高校卒業から12年間は郵便局の配達員として働いていたが、信号無視にスピード違反と度重なる交通違反で免許停止となり、現在は窓口業務を担当している。とにかく生き急いでいる青年だ。そんなハジメは、ある日街中で歌っていた路上ミュージシャン・桜子(福室莉音)を見つけ、恋に落ちる。連絡先を交換したり、桜子からお弁当をもらったりとやり取りを交わし、ついに花火大会デートの約束を取り付ける。しかし、デートを楽しみに眠りにつき、目が覚めるとなぜか約束の翌日になっていた。約束の日の朝に家を出た時の記憶や、日焼けした顔。寝過ごしたはずはなく、"消えた1日"を不思議に思うハジメ。その秘密を握るのは、毎日郵便局に切手を買いにやってくる、"何でも1秒遅い"大学7回生のレイカ(清原)だった...。
■生き急ぎがちで"1秒早い"、周囲からは残念なイケメンと評されるハジメ

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会
岡田が演じているのは、慌ただしく生きている郵便局員の青年・ハジメ。同僚からは「見た目は100点、性格0点」と評される、いわゆる"残念なイケメン"だ。岡田は端正な顔立ちと抜群のスタイルを持ちながらも、二枚目だけではなく、本作のようなどこか残念で小物感溢れるキャラにもスッと溶け込むことのできる、不思議な俳優だ。捻くれたことを言い、何かと一言多い。かと思えば桜子の持ってきたお弁当を開けて無邪気に喜び、彼女を助けるために行動する純粋さもある。そんなどこか憎めない愛嬌のあるハジメを、岡田が好演している。
■口数は少ないが想いはある、"1秒遅い"レイカ

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会
一方の清原が演じるのは、ハジメとは対照的に、周囲からワンテンポ遅い少女・レイカ。留年し続けて現在7回生の25歳、学費を払うためにアルバイトに勤しんでいる。いつもカメラを持ち歩いて写真を撮ることを趣味にしており、ハジメの働く郵便局に毎日のように切手を買いに行っている。
レイカは決して口数が多くなく、どちらかというと自分の思いをすぐに口には出せない内向的な女性だ。そんなレイカを、清原は表情や静かなセリフ回しなどあえて感情を抑えたで演じている。しかし、そんな中でも、レイカの心の中には何か深い想いがあるのだろうと感じさせる、"口ではなく心で語っている"様子を映し出すような芝居が印象的だ。また、桜子との会話の中でレイカの感情があらわになるシーンでは、それまでの静の演技から一転、レイカの熱い想いが湧き出るさまをナチュラルに表現。普段は控えめな性格のレイカだが、内に秘めている想いは確かにあり、そのためには行動的になれるし、感情もあらわになる。そんなレイカの芯の強さが伝わってくる。
ハジメとレイカ、どちらも周囲からワンテンポずれている2人のそれぞれの視点から描かれる本作。"消えた1日"の真相や、レイカが毎日郵便局を訪れて出している手紙の行方、そしてそれをきっかけに、レイカとハジメの繋がりも物語が進むにつれて明らかになっていく。随所に散りばめられた伏線や巧妙な仕掛けが、後半のレイカの視点で次々と回収されていくのも爽快だ。
原作の映画「1秒先の彼女」からは男女逆転で配役された日本リメイク版。岡田と清原の演技だからこそ紡ぎだされた世界を楽しんでほしい。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
1秒先の彼
放送日時:2025年6月5日(木)21:00~、2025年6月18日(水)13:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
こちら