佐々木蔵之介演じる刑事の多彩な魅力に惹きつけられる人気作「ハンチョウ〜神南署安積班〜」シリーズ

幕末の時代に感染症に立ち向かう医師たちの奮闘を描いた2026年公開予定の映画「幕末ヒポクラテスたち」で主演を務める佐々木蔵之介。京都府出身の佐々木が演じるのは、京都療養院の蘭方医(=江戸時代に西洋医学を学んだ医師)・大倉太吉だ。舞台、映画、ドラマと幅広く活躍する佐々木は、演じる役柄のキャパシティも広く、近年では映画化もされた「マイホームヒーロー」で娘を守るために半グレ集団組織と対決するサラリーマンを、大河ドラマ「光る君へ」では紫式部の夫・藤原宣孝を演じた。
そんな佐々木が主演を務め、シリーズ化もされた人気刑事ドラマが「ハンチョウ〜神南署安積班〜」だ。原作は今野敏の警察小説「安積班」シリーズで、2009年から2011年にかけて放送された。その後、佐々木演じる主人公・安積剛志が神南署から警視庁へ異動になり、キャストを一新して「ハンチョウ〜警視庁安積班〜」として2013年まで続くロングシリーズとなった。

約4年の長きにわたって放送されたのは、刑事課強行犯係の安積警部補(通称・ハンチョウ)を演じる佐々木の魅力によるところも大きいだろう。現在もスレンダーな体型を維持している佐々木は、昭和世代の泥臭い刑事とは一味違う、スタイリッシュなスーツ姿で、部下たちを怒るのではなく信じることで成長させていくリーダーを演じている。そんな安積の5人の部下を演じるのは中村俊介、塚地武雅、黒谷友香、賀集利樹、山口翔悟の面々。
今回は、シリーズ化するまでのヒットのキッカケになった第1作で、佐々木が見せる多彩な顔とその演技にフォーカスを当ててみたい。
■チャーミングな笑顔と命知らずの迫力のギャップが魅力のハンチョウ

周囲が緊迫するような状況にあってもいつも平常心を保っているのが、佐々木演じる安積。容疑者の話に耳を傾け、取り調べでも滅多に感情的にならずに、相手の目を真っ直ぐ見てじっくりと話を聞くタイプだ。
須田(塚地)の"刑事の勘"を信用していない気が強い水野(黒谷)、熱血刑事の黒木(賀集)、クールで生真面目な村雨(中村)、最年少でみんなからかわいがられている桜井(山口)たち部下5人をまとめ、心から信頼している。部下が疑われた時には否定し、なぜ言い切れるのかと問われると「私の部下だからです」ときっぱり。普段は肩の力が抜けていて、同期で交通課の速水(細川茂樹)とは軽口を叩き合う仲。やもめ暮らしのため、看護師として働く娘・涼子(渋谷飛鳥)からは私生活についてたびたび怒られている。一方で、凶器を持った犯人と対峙する時には、顔色ひとつ変えずに相手の目を見据えて向かっていく命知らずな一面も。
そんな多面性を持つ主人公を、佐々木はまなざしや仕草で緻密に表現。安積がミステリアスな魅力を持つ刑事なのも、佐々木という俳優の個性が反映されているからなのかもしれない。
■身近に起こり得る事件が題材になる本作は、ゲスト俳優の演技も見どころ

本作が放送されたのは今から16年前だが、作中で取り扱うのは貧困に苦しむ故の犯罪や連続通り魔事件、夫のDVに心がすり減る妻、老老介護に若者のドラッグなど、今もなお現実に起こっている社会問題も多い。そんなリアリティがあり、ヒューマンドラマとしても見応えのあるものになっている。
安積の洞察力を物語るのは「安積さんの目を見て思いました。この人はだませない」と容疑者が漏らしたセリフ。市原悦子、岸本加世子、泉ピン子、川上麻衣子、美保純、浅野ゆう子など各話にゲストとして出演する俳優陣と佐々木の共演も見どころのひとつ。
TBSチャンネル1では、「ハンチョウ」第1シリーズに加えて、続く第2シリーズも6月に放送。佐々木の熱い刑事魂を秘めた軽やかな演技と共に、安積班の活躍がたっぷり堪能できる作品を、ぜひご覧いただきたい。
文=山本弘子
放送情報【スカパー!】
ハンチョウ〜神南署安積班〜 #1
放送日時:2025年6月2日(月)10:00~
ハンチョウ~神南署安積班~シリーズ2 #1
放送日時:2025年6月24日(火)10:00~
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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