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主演・山口馬木也の豊富な経験から生み出される演技に脱帽!「侍タイムスリッパー」

2025/05/31

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どんな年にも口コミで広がる映画というものがある。今回は、昨年口コミから大ヒットし、6月14日(土)に時代劇専門チャンネルでTV初放送される「侍タイムスリッパー」を紹介しよう。

山口馬木也が演じる「斬られ役」として現代に生きる侍・高坂新左衛門
山口馬木也が演じる「斬られ役」として現代に生きる侍・高坂新左衛門

「侍タイムスリッパー」はタイムスリップ系のコメディ映画。京都の幕末で会津藩士・高坂新左衛門が長州藩士を襲撃した夜に落雷によって現代の時代劇撮影所にタイムスリップしてしまうという設定。侍が時空を超える邦画はいくつかあるが、秀逸なのは新左衛門が現代時代劇中「斬られ役」として生きていくということ。その設定がシュールで非常に面白い。作中で高坂は頭を打ち、入院するもその病院を抜け出し路頭に迷ってしまう。そしてとある寺に厄介になるのだが、そこで何気なく見ていた時代劇に深く感動。斬られ役になるためプロ集団「剣心会」へ入門する。順調にキャリアを積み上げていく新左衛門のもとにスター俳優・風見恭一郎から、自らが主演する映画への出演オファーが舞い込み...。

■驚きの展開、山口馬木也の熱情溢れる侍芝居

この作品はともかく脚本がまず面白い。展開を予測できないのだ。興行収入と口コミから「カメ止め」の再来と言われた本作だが脚本の波乱万丈さも似ている。また、東映京都撮影所が全面協力したというだけあり自主製作映画とは思えないクオリティの高さで時代劇の街並み等は引き込まれる世界観だ。

俳優陣の魅力も存分に出ている。主演を務めた山口馬木也はその筆頭、本作で数々の賞を受賞した。端正な顔立ちながら斬られ役としてかなり不格好な姿をさらし幕末の侍としての言動という設定が観客を笑いに導く。山口はタイムスリップしてきた侍が本気で時代劇の撮影所に紛れこんだことに困惑している物語序盤と、斬られ役として力をつけていく中盤で芝居をしっかりと変えている。それは単純に芝居が「うまい」ということで、劇の中で劇をするというメタ的な視点にしっかりリアリズムを与えている。

そして何より、最後の殺陣のシーンは外せない。ストーリーが魅力の本作のネタバレはあまりしたくないので情報を少し削ってお伝えさせていただくが、とにかく殺陣が素晴らしい。息を吞むような、緊迫した長い間から繰り出される斬撃の数々は、劇中でコメディとして描かれていた斬られ役としての殺陣から一変。むしろ序盤のそれらがあるから活きるともいえよう。とにかく見応えのあるシーンだ。また、山口の動きも見事でキレがある。山口がこれまで多くの時代劇に出演してきたことによる殺陣に対する場慣れといったものが、転じてタイムスリップしてきた新左衛門の侍としての場慣れに通じているるように思う。この場面が山口の代表シーンになることは間違いない。

百聞は一見に如かず。ぜひ、観てみてほしい。きっと誰も後悔させない作品だ。

文=田中諒

放送情報【スカパー!】

侍タイムスリッパー
放送日時:2025年6月14日(土)19:00~ほか
放送チャンネル:時代劇専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
※本編後にチャンネルオリジナルの特別番組も放送

詳しくは
こちら

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