イ・ソンギュンの妻チョン・ヘジンの2年ぶりの女優復帰作！「役を通して励ましてあげたい」と明かす、母親役への想いとは？

「パラサイト 半地下の家族」(2019年)でも知られる名優イ・ソンギュンの妻で、自身も「ごめん、愛してる」(2004年)など多くのヒット作に出演する人気女優チョン・ヘジンの主演ドラマ「ライディング人生」が6月14日(土)よりKNTVにて日本初放送される。

2023年末に48歳で死去した夫イ・ソンギュンの訃報から1年以上が経ち、女優復帰した本作には韓国でも格別な関心が寄せられた。

本作はヘジンにとって、少女時代・スヨンと一風変わった母娘を演じた「ラブ・パッセンジャー ～私たちの恋愛事情～」(2023年)以来、約2年ぶりの女優復帰作。前作では、ヘジンがその美貌を活かし、現役アイドルのスヨンと"姉妹のような母娘"を好演。以前からヘジンの大ファンだと公言していたスヨンが会見で「泣いてもいいでしょうか」と漏らし、"憧れの先輩"との共演の喜びを爆発させたことも話題になった。

そして言葉に尽くせない悲しみを乗り越え、臨んだ主演最新作「ライディング人生」のテーマは、過熱する未就学児の塾戦争。ソウルでも特に塾がひしめく"大峙洞(テチドン)"を舞台に、熾烈な"7歳入試"に挑む親子たちを描いた物語で、日本で言うところの"お受験"戦争のような状況だ。

化粧品メーカーで働くジョンウン(ヘジン)は、7歳になる娘の受験を控えた熱血ワーキングママ。もとから娘の塾の"送り迎え(ライディング)"は頭の痛い問題だったが、それを担っていたシッターが急に仕事を辞めることになり、限界を感じて自分の母親のジア(チョ・ミンス)にヘルプを頼むことに...。

水面下でのママ友たちとのさまざまな競争や対立もある中、自分と価値観の違う母親と協力して娘の送迎をすることになったものの、たびたび衝突するようになり、ジョンウンの感情は大きく揺さぶられていく。

自身も2児の母であるヘジン自身も、ライディング経験者。韓国での放送開始前に行われた制作発表会見(「ライディング人生」制作発表SPは6月13日(金)深夜にKNTVにて放送)では、「私も子どもが生まれてからずっとライディングをしてきました。今も天気が悪い時にはやっています」というほど、彼女にとっても身近なテーマだったという。

本作に出演するにあたり、「私も一人の母親ですが、ジョンウンを通してお母さんたちを応援したいです。励ましてあげたい。何であれ"あなたは本当に最善を尽くしている"と」と作品への思いを語っていた。

そんな"リアルママ"が演じるママたちのお受験戦争はとにかくリアル。名門小学校の面接抽選会で"赤を身につけていくといい"というジンクスを聞けば、どの母親も赤を差し色にしたファッションで臨み、ゲンを担ぐためには山にも登ったり...。表向きは持ちつ持たれつだが、裏ではバチバチにやり合うママ友たちの対立など、生活感あふれる日常が生々しく描かれていく。

その中で悩み、焦り、怒りもしながら、時にはホッとして涙するジョンウンのひたむきな姿に共感し、応援したくなる――そんな作品が「ライディング人生」だ。

ジョンウンとジア、ともに家族を何よりも大切に思う2人だからこその対立も切なく、やるせない。家族とはいったい何なのか？そんなことまで考えさせられる、深みのあるドラマが繰り広げられていく。そしてジョンウンが化粧品マーケターとして真っ赤なリップを塗った時の顔つきもまた、今年49歳とは思えないほど凛とした美しさを放っている。

チョン・ヘジンと、ジア役のチョ・ミンスとの"母娘ケミ"もリアルで楽しく、ジアに降ってわいたロマンスなど、サブストーリーも魅力的。愛娘・ソユンを演じたキム・サランをはじめとする子役たちの愛らしさもさることながら、「ジョンウンを通してお母さんたちを励ましたい」――そう語っていたヘジンの想いがヒシヒシと感じられる珠玉のヒューマンドラマとなっている。

文＝酒寄美智子