「大唐流流」や「長相思」といった古装劇とは一変！タン・ジェンツー(檀健次)の新たな魅力を引き出した、「猟罪図鑑」シリーズに見る熱きブロマンス

「君、花海棠の紅にあらず」(2020年)の京劇役者役で注目を集め、「大唐流流～宮廷を支えた若き女官～」(2021年)や「長相思」シリーズといった"古装劇"で魅力を放っているタン・ジェンツー(檀健次)。

端正なビジュアルを生かしたロマンス作品の出演も多い彼が、犯罪捜査に参加する"天才画家"という当たり役で人気を不動のものにした主演ドラマが「猟罪図鑑」シリーズだ。バディを組む、ジン・シージャー(金世佳)演じる無骨な刑事との"ブロマンス"が支持を集め、2024年末に配信された続編も大反響。固い絆で結ばれた唯一無二のバディぶりにハマるファンも多く、シリーズ人気に拍車をかけている。

2022年に放送された第1シーズン「猟罪図鑑～見えない肖像画～」で誕生したこのバディ。タン・ジェンツー演じる沈翊(シェン・イー)は並外れた観察眼と記憶力を持ち、限られた情報から容疑者の顔を推測して的確な似顔絵を描くことができる"似顔絵捜査官"として犯罪捜査に加わった。空間把握能力にも長けていて、一つの顔を別の角度から描いたり、建物の全体構造から不審な密室空間に気づいたりと、"右脳派"の沈翊が、持てる能力を捜査に遺憾なく発揮していく。

そんな沈翊のバディが、ジン・シージャー演じる警察隊隊長・杜城(ドゥー・チョン)。硬派で行動力あふれる杜城は、尊敬する上司の死に間接的に関わっていた沈翊のことを初めは信用せず、反発する。だが共に捜査に臨む中で、事件に関わる人間の本性を1つの面で決めつけず、多面的に見つめようとする沈翊に徐々に心を開いていく。

この繊細な天才画家・沈翊と、無骨な刑事・杜城がバディを組んで固い絆を育む展開が、本作の真骨頂。沈翊が現場から読み取った事件の手がかりや容疑者の感情を、杜城が粘り強くウラ取りし、解決へと導く。美しく細面のタン・ジェンツーと、189cmの長身で体格もいいジン・シージャーの対照的なビジュアルも、この2人ならではのマッチングの強みだ。

バディの絆が育つにつれ、視聴者人気もぐんぐん上昇。警察学校の美術教官でもある沈翊が名画にまつわるトリビアを推理に役立てるという、知的で爽快なサスペンス要素も人気を呼び、第1シーズンは配信20日で9億回再生を記録するほどの反響を巻き起こした。

そんなファンの熱烈な支持を追い風に、中国で昨年12月より配信され瞬く間に評判となった、待望の続編「猟罪図鑑II」が、8月10日(日)より衛星劇場にて日本初放送される(7月26日(土)に第1・2話が先行放送)。

前シーズンの最終回――沈翊が描いた似顔絵が切り裂かれ、その下から現れた"もう1つの似顔絵"が不気味な余韻をもたらした、衝撃のラストシーンを引き継ぐ今作。沈翊の謎めいた夢で幕を開ける第1話の冒頭など、どこか不穏さを漂わせた世界観は変わらずで、前シーズンにも増して上質ミステリーの香りが漂う滑り出しだ。

前作と違うのは、沈翊＆杜城が最初から互いを信頼できるバディと認めている点。容疑者に珍しく感情的な取り調べを行った沈翊に、杜城が「さっきのは何だ」「(演技が)上手すぎるだろ」と声を掛けるなど、互いに心を許し、理解し合えている2人ならではの会話が展開する。沈翊が「"人間性"とは複雑な多面体」と語る横で、杜城が「罪は罪だ。償う必要がある」とバッサリ断罪していく爽快感。知的な会話の応酬しかり、何ともいえない中毒性がある"ケミ"だ。

沈翊＆杜城を支えるチームのメンバーとして、優秀な法医・何溶月(ホー・ロンユエ)役のチャン・ボージア、杜城が信頼を置く部下・蒋峰(ジャン・フォン)役のジュー・ジアチーら、「猟罪図鑑」シリーズおなじみのキャストも再集結。さらに、「三千鴉（がらす）の恋歌」(2020年)の主題歌で注目を浴びた、ミュージカルでも活躍する人気俳優ジェン・ユンロンが謎めいた科学者・方凱毅(ファン・カイイー)役で、新たに参戦している点も注目だ。

中国では早くもシーズン3への期待が高まっている人気シリーズだけに、タン・ジェンツー＆ジン・シージャーの"胸熱バディ"に注目しながら、「猟罪図鑑」の沼にハマってほしい。

文＝酒寄美智子