織田裕二が人気シリーズで魅せた名演!「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」

織田裕二といえば、ドラマ「東京ラブストーリー」(1991年、フジテレビ系)、ドラマ「振り返れば奴がいる」(1993年、フジテレビ系)、ドラマ「SUITS」シリーズ(2018年、2020年、フジテレビ系)、映画「就職戦線異状なし」(1991年)、映画「県庁の星」(2006年)、映画「アマルフィ 女神の報酬」(2009年)など、代表作は枚挙にいとまがないが、やはり最も印象的な作品は「踊る大捜査線」(1997年~)シリーズだろう。
同シリーズは、1997年の連続ドラマから始まり、SPドラマ、劇場版、スピンオフドラマ、スピンオフ映画と大きな広がりを見せ、社会現象を巻き起こした人気作品。織田演じる脱サラして警察官になった青島俊作が仲間たちと共にさまざまな事件を解決する姿を描いた刑事ドラマなのだが、事件を追うだけでなく、警察組織内のキャリア制度の問題や官僚主義の問題、縦割り行政の問題、警視庁と所轄の面子など、組織論をテーマにした内容が斬新で人気を博した。中でも、劇場版第2作の映画「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(2003年)は、いまだ実写邦画の興行収入ナンバーワンの座を守り続けているほど。
そして、映画「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」(2012年)でシリーズ15年の歴史に一旦幕を閉じるも、2024年に「踊るプロジェクト」が再始動。柳葉敏郎演じる室井慎次のエピソードを描いた映画「室井慎次 敗けざる者」と映画「室井慎次 生き続ける者」が立て続けに公開され、2026年には映画「踊る大捜査線 N.E.W.」の公開も決まっており、その熱は再燃中だ。
■コミカルからシリアスまで、青島刑事のさまざまな顔を表現する織田裕二の名演

(C)2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー
そんな人気シリーズの中で、織田のコミカルからシリアスまで幅広い演技力が存分に堪能できるのが映画「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」だろう。公開当時は人気シリーズのファイナルということで、制作陣のこだわりやさまざまな思いが結集した15年間の集大成となる名作となっている。
湾岸署管内で行われている国際環境エネルギーサミットの会場で誘拐事件が発生し、被害者は射殺体で発見される。鳥飼管理官(小栗旬)を本部長に捜査本部が立ち上がるが、使用された拳銃が警察の押収物で、捜査一課の刑事による犯行であることが発覚したことから、その隠蔽のために所轄は捜査に参加できないという異例の捜査体制が敷かれる。やがて、捜査本部は1人の男性を"身がわり"として被疑者に仕立てあげて事態の収束を図るが、その矢先に2つ目の殺人事件が発生。そんな中、上層部たちの不審な動きに気付いて独自に動いていた青島は、鳥飼の策によって「誤認逮捕」と「自白強要」という冤罪を着せられ、室井もその責任を取る形で共に辞職勧告を受けてしまう...。

(C)2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー
15年という長い時間によって醸成されたものもあるが、同作での織田の演技はまさに「集大成」にふさわしい幅広いものになっている。例えば、苦楽を共にしてきた同僚の恩田すみれ(深津絵里)が人知れず職を辞する覚悟を決めた場面では、彼女を気遣いながら寄り添う同僚としての一面を見せる。また、部下の発注ミスを隠蔽しようと奮闘する自分本位な一面や、上層部の汚いやり方に思わずこぶしを握って悔しい思いを露わにする一面、仲間のために規律を無視して動く真剣な一面、室井との固い絆を確認し合う同志にしか見せない一面など、少し間の抜けたコミカルな表情から、がんじがらめの警察組織に風穴を開ける行動を支える強い信念が全面に出たシリアスな表情まで、2時間あまりの中に多種多様な一面を詰め込んでいる。
「集大成」にふさわしいハラハラドキドキする展開はもちろん、深津、柳葉、ユースケ・サンタマリアといった主要キャストに加えて、小栗旬、香取慎吾、小泉孝太郎ら同作で登場したキャストたちの演技を楽しみつつ、その中でさまざまな表情を見せる織田の名演にも注目していただきたい。
文=原田健
放送情報【スカパー!】
踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望
放送日時:2025年8月9日(土)15:45~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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